3-1で勝利!
前節のホーム初敗戦、無得点負け、前回対戦で勝利を目前で逃した福島―――様々なネガティブ要素をはらみながら迎えた今節。
もしそのプレッシャーに屈するかたちで敗れてしまうようなことがあれば、単なる1敗どころではないダメージを被ることは明らかでしたが。
しかし、勝った。アウェイで勝ち点3を、勝利をもぎ取ってみせた。
首位の熊本も5連勝を達成する勝利を挙げたため、差を縮めることは出来なかったけれど。
それでも。
プレッシャーを跳ねのけ、勝ちきった意義というものは、大きいです。
まずは、東北アウェイ2連戦の初戦を制したカターレ。求めるはもちろん連勝、勝ち点6の持ち帰りです。
今シーズンここまでずっと右サイドバックとして出場してきた柳下が出場停止となった今節。代わって、今瀬が5月16日の第8節・沼津戦以来の先発出場となりました。
前節、途中出場ながら途中交代となってしまった花井は、やはり故障だったということか、メンバー外に。
今瀬のスタメン以外では鈴木がサブメンバーに入ったくらいで、概ね継続路線で臨むこととなりました。
それはすなわち、前節の雪辱を晴らすのは自分たち自身であるという自覚を促す起用という見方も出来たかもしれません。
運営会社の10周年を記念したメモリアルマッチとして今節を迎えた福島。
夏の中断を挟んで4連勝と勢いに乗り、エースであったイスマイラの移籍の懸念を払しょくするような躍進を見せていたなかで。ここ2試合は、藤枝と熊本に続けて0-1で敗戦。
上位に喰らいついていくためにホームで負けてなるものか!と、気合が入っていました。
特に目を惹いたのが、背番号10をつけたドイツ出身のトカチであったかと。
なんというか・・・言葉にするのは難しいのですが、“雰囲気を持った選手”であったと。素人目に見てすら「これはやるヤツだ」とわかるプレーの質とでも言いましょうか。
ただボールをさばく、前に抜け出すだけではなく、攻撃への可能性を感じさせるプレー。
ボールが審判に当たって阻止されるかたちになり、ドロップボールとなった場面でも。距離があったにもかかわらず、虚を突いて直接シュートを狙ってみたりと、油断ならないプレーでプレッシャーをかけてきたのでした。
そのほかにも、期待の若手・鎌田 大夢、豊富な運動量でサイドを駆ける田中 康介など、油断ならない福島の選手たち。
まさに、難敵。集中したプレーが求められました。
開始僅か2分で先制された前節の二の舞だけは、なんとしても回避せねばならなかったカターレ。前半からよく集中し、持ち味の前からのプレスも機能していたように思います。
けれども、相手の福島もさるもの。なかなか長野戦のような主導権をがっちり掌握する展開にまでは持ち込めず。
25分には遠目から狙った安藤のシュートがポストに嫌われてゴールならず、という場面もあったものの。どちらかと言えばポゼッション的にはカターレの側に分があったようにも見えたけれど、それが決定機にまでは繋がらず、という展開が続き。
ベテランGK山本 海人を中心とした福島の守備を崩しきるには至らず、スコアが動かないままに試合が進みました。
そんななかで迎えた、前半終了間際。CKのチャンスを獲得。
時間的にもラストプレーとなる状況で、メインスタンド側のコーナーから、キッカーは椎名。
左足で蹴り込まれたボールに、ニアで合わせた今瀬がヘッド!見事に決まり、待望の先制点を奪うことに成功したのでした。
久々のスタメン起用に燃えていたであろう今瀬が、その期待に応える見事な仕事ぶり。
そして、前節に同じような時間帯で失点し、それが敗戦につながってしまったことを思えば。その反省を今度は自分たちの勝利に繋げてやるんだ!そんな意志を感じるような、価値ある先制点でした。
あるいは、堅い展開のままにお互いに得点できずじまいでスコアレスドロー、という結果も、なくはなかったところでしょう。
けれど、それではダメだと、誰よりも選手たち自身が分かっていたはず。
そんななかで、勝利の要件をひとつクリアする先制点奪取であったかと。
迎えた後半、勝利のチャンスをしっかりと結果に結びつける試合運びが求められました。
それでなくとも、前回対戦で手にしかけた勝ち点3を寸前のところで逃すこととなってしまった相手である福島。油断など出来ようはずもなく。
勝利を手繰り寄せる次の1点が、求められました。
その、次の1点が決まったのが76分。
同点・逆転を目指して前掛りとなっていた福島の裏を狙うかたちで、自陣からロングボールを蹴りだすと。
数的には2対1であったなかで、あきらめずに全力疾走、くらいついていったマテウス。
その積極性が奏功、ボール奪取に成功すると、迷わず、しかし冷静に蹴り込み、見事にゴール!突き放す2点目となる得点を挙げたのでした。
この試合のプレビューでも、マテウスに対する期待を書き込みましたが・・・可能性を感じるプレーぶりでもってヒーローになってくれ、と願いましたが。これまでの試合でも見せてきた、あきらめることなくくらいついていく姿勢。それがしっかりと結果につながったかたち。
まさに、期待にパーフェクトに応えてくれました。
マテウスのファインゴールでもって、俄然勝利への期待が高まったカターレ。
それでも。前回対戦のこともあります。気を抜くわけには、決していきませんでした。
石﨑監督のもと、ハードワークを信条とするカターレ。その底力を見せるとき。
試合最終盤、アディショナルタイム1分でした。
自陣サイドで相手の侵攻をカット、素早く前に蹴りだしたところ、それを跳ね返すべくペナルティーエリア外に飛び出していたGK山本が、まさかの対処ミス。
それを油断なく掻っ攫った途中出場の大野。素早く倒れ込みながらも蹴り込むと、そのまま無人のゴールへ。今季6得点目となるゴールを挙げ、ダメ押し点としたのでした。
ただ・・・福島もさるもの。
決定的な3失点にも意気消沈することはなく。試合終了間際の94分、FW樋口 寛規にヘディングシュートを決められてしまい、失点。無失点勝利を寸前で逃すことに。
しかし、それでも。
確かに、それこそカターレがJ2に居たころから幾度となく立ちはだかってきた宿敵(と、個人的に思っている)樋口に決められたことはショックです。そして、そのアシストをしたのが前回対戦の同点ゴールに続き前カターレの池髙 暢希であったということも。
それでも、勝った。勝ちきった。
連敗などもってのほか、どうしても勝たねばならないというプレッシャーに、打ち克っての勝利。6ポイントマッチを制したという結果は、称賛されてしかるべきであろうと。
様々なネガティブ要素にのまれかねなかった、今節。しかし、逆境を跳ね返し、勝つべき試合に勝ちきりました。
鳥取戦の敗戦を、無かったことにはできません。それでも、優勝への道が閉ざされたわけでもなんでもないのだから。
やるべきことをやる、そのミッションを、ひとつクリアしてみせたカターレ。
ホーム無敗は途切れてしまったけれど。
優勝を目指すことは言うまでもないとして、それ以外でも。
前回対戦で勝てなかった福島を破ったことにより、「同一シーズン全クラブ勝ち」の可能性は残っています。
できるかどうかじゃない、やるかやらないかだ。
同一シーズン全クラブ負けを記録して降格の憂き目に遭った2014シーズン。そのとき、J1昇格を成し遂げた湘南は、同一シーズン全クラブ勝ちを成し遂げています。それこそ、当時湘南に所属していた樋口が富山戦でゴールを挙げて勝利に貢献していたりしたわけですが。
今節の結果で首位との差を縮めることはできなかったながらも。
必勝のモチベーションを保っていくならば、全クラブ勝ちを成し遂げるという強靭な意志力もまた、必要なのではなかろうかと。
東北アウェイ2連戦の初戦を制し、連勝を目指して臨む八戸戦。
中2日のスケジュールは厳しくとも。
やらねばならないことは、クリアなはず。
そう、勝ち点6を奪取して富山へと帰還すること。
勝って兜の緒を締めよ。
戦いは、続きます。