『◇全国から注目 大学で建築を学んだ新卒を正社員に採用、大工や左官の技能者として育てる、異色の経営方針を貫く沼津市大岡の建設会社「平成建設」に、全国から入社希望が殺到している。来春採用予定50人のうち県内は4人だけで、建築を志す学生にとって全国区の企業 同社は89年に秋元久雄社長(61)=写真=が創立。創業20年を迎え、人材育成とものづくりにかける思いを書いた「高学歴大工集団」(PHP研究所)を、このほど出版した。ゼネコンの営業マンから会社を興した秋元社長は「コスト優先でマニュアル化された仕事では人間の尊厳が失われる。ものづくりを真剣に考える一流の大工を育てたい」と語る。 著書では、「中小企業はニッチな世界の金メダルを目指せ」や、人材採用の際には「何か一つでも取り柄があれば、それでいい」など企業経営の考え方も披露し、厳しい時代を生き抜く指針ともなりそうだ。 在来工法の木造住宅や、マンション建設を手がける同社は建設不況にもかかわらず、今年10月期決算で売上高103億円(前期96億円)と好調。社員数は不動産のグループ企業と合わせて415人。今年4月に採用した大卒50人の出身地は青森から沖縄にわたる。来春採用予定者(50人)も全国各地から志望、入社希望は約1000人に上ったという。』12月3日11時0分配信 毎日新聞
大學工学部建築学科卒業の大工さん、家業が工務店や建築会社の跡取りで長男なら後を継いでいますから不自然なことでは有りません。今のままでは、長年の経験と技術を積んだ大工さんや左官屋さんは少なくなるばかりです。木を電気鋸で切ったりや電動鉋で木を削ったりする事が出来ても、木の特質や癖と木目や木の美しさを生かし建物は、出来ないでしょうか。大工さんの長年の経験や技が今までの日本建築には生かされていると思います。鋸で木を上手く切ること、木に鉋をくるいなく掛けるや鑿で木に穴を開けることも長年の経験が要ると思います。亡くなられた宮大工の棟梁西岡常一さんの言葉「人に聞いたらじき忘れる木と対話して仕事しなはれ。( NHK・プロジェクトXより ) 」の自分で学び、経験を積む世界です。日本の本当の木造建築は、大地震や風水害に強いと言われいます。壁土は、四季のある日本の風土を考えて、夏は涼しく、冬は暖かい家造りに欠かせない古来より伝わる材料です。左官屋さんの壁を塗る技術と経験です。今忘れられている手作りの強さです。ものづくりの原点と手造りで、便利な電動工具では作れないところも有ると思います。大學で学んだ建築学の理論と実際の建築現場大工さんや左官屋さんとして学んだ実践経験は、将来理論と実践で身に付けた技術が生かされ、建築理論と実践的建築技術を持った建築家が誕生すると思います。立派な建築理論も建築技術や実践経験が無いと机上の空論で未来に残せる素晴らしい建物は、立ててられないのではないでしょうか。自動の大手メーカー日産自動車は、「技術の日産」言い続けて来ました。日本の伝統ある建築技術や伝統工法も後継者に継承され、代々生かされなければなりません。天然資源の無い日本は、ものづくりを大切にし、他に類を見ない技術開発を生かした産業立国目指さ続けなければ世界では生き残れません。
宮大工西岡常一さんの言葉
『「うまい大工の動きに無駄はない
見習うとはよく言ったもの仕事は見て覚えるものだ」
「木の枠組は人組なり 人組は癖組なり」
「建物は良い木ばかりでは建たない 北側で育った
「アテ」というどうしようもない木がある
しかし日当たりの悪い場所に使うと何百年も我慢する
良い木になる 」
「道具が落ちれば 大工の心も落ちる 」
「若者に告ぐ親方に授けられるべからず
一意専心親方を乗り越す工風を切磋琢磨すべし
これ匠の道の心髄なり 」
「わしが全部責任とったる 思いきりせい」 』
NHK・プロジェクトXより 引用