2010年2月18日
『東京大学合格者に54万円渡します――。茨城県立下妻第一高校(生徒数834人)の同窓会が後輩のためにこんな制度をつくった。生徒の意欲を高め、地域の「名門校復活」を狙うのが目的だ。ただ、「公立高校で、特定の大学の進学者だけに、お金を支給するような制度には違和感がある」という疑問の声も出ている。 対象となるのは今春の合格者から。現役・浪人を問わず、東大へ進む卒業生に1年分の授業料にあたる53万5800円、筑波大医学類には入学金相当の28万2千円を同窓会費から支給する。同校によると、今年は現役生2人が東大を受験予定という。また成績優秀な高校の新入生6人にも年間授業料の11万8800円を渡す。 下妻一高は、1897年に県尋常中学校下妻分校(旧制)としてつくられた地元の伝統校。横倉和夫校長は「昔は大学を志す地域の子なら全員ここに来た」。しかし、最近は、地元の成績がいい中学生が、20キロ離れたつくば市の高校や、東京都内の私立高校へ通うケースも増えていた。 そこで同窓会が生徒集めの「目玉」として奨学金を考案。昨秋に制度を決め、地元中学校や塾などへ説明したところ、2008年度1.02倍、09年度1.07倍だった一般入試倍率が10年度は1.34倍にアップした。横倉校長は「これほど数字に表れるとは思わなかった」と驚く。 東大志望という2年生は「さらに頑張る動機づけになった」と奨学金を歓迎する。「親への負担を考えると私立大には行けない。以前は模試の結果が悪いと志望校変更を考えたが、あきらめたくない気持ちが強まった」という。 一方で、同校の在学生や保護者の中には、「先生が成績のいい子だけに目をかけるようになるのではないか」「学校にはそれぞれの個性を伸ばしてもらうために進むのに、大学受験という一つの尺度だけで評価するのは変だと思う」と心配する声もある。 また、同校で教諭を務めた経験もある男性は「特定の大学に入ることを、金で釣るような手法は教育になじまない。かえって学校の名を落とす」と批判した。 鉄羅(てつら)正樹同窓会長(70)によると、同窓会内にも大学を絞ることに異論があり、当初は対象を「難関校」とする案があったという。ただ、「学校名を明示した方が、あとあともめない」との考えで決着。過去10年で4人が進んだ東大のほか、地域医療への貢献を望み筑波大を加えた。 合格者が出た時は、学校が同窓会長に連絡し、校長室で奨学金を渡す予定だ。新入生6人については、ほかの対象者が分からないように個別に渡すという。今回の制度について茨城県教育委員会は「公立高校で特定の大学に入った生徒や、成績優秀な新入生にお金を出す制度は聞いたことがないが、あくまで同窓会という任意団体の活動と考えている」としている。 鉄羅会長は「抵抗を感じる方もいると思うが、私たちも母校の生き残りのために必死だ。東大は高い目標の象徴に過ぎず、全生徒に志を高く持ってほしい」と話した。』アサヒコム
未曾有世界恐慌なので、成績優秀な高校の新入生6人にも年間授業料の11万8800円を渡す となれば、茨城県立下妻第一高校に志願者が一時増えるかも分かりません。それが東京大学の合格者数の増加にすぐに繋がるとは思えません。今や公立高校離れが定置し、東京都内の私立の難関中高一貫校に流れている現在の状況では、3年間のカリキュラムと授業で対抗するのは難しく、1897年に県尋常中学校下妻分校としてつくられた地元の伝統校でも昔と今は学校の状況が違います。東京大學に進む卒業生に1年分の授業料にあたる53万5800円、筑波大学の医学類には入学金相当の28万2千円を同窓会費から支給されてもどれだけ効果があるか未知数です。昨年度の東京大学合格者は、一名のようです。鉄羅会長は「抵抗を感じる方もいると思うが、私たちも母校の生き残りのために必死だ。東大は高い目標の象徴に過ぎず、全生徒に志を高く持ってほしい」と話した。』同窓会長としての母校愛への発言と真剣さも分かりますが。同窓会としては、茨城県教育委員会に進学重点高校に指定して貰う運動をするなり、学力向上の為に推薦入学の廃止や大學への進学を目指す為のカリキュラムの充実や難関国立大学を目指す特進クラスの設置と優秀な教員の確保に支援協力し、同窓会としては学校の教育設備に寄付金を出したしたほうが、成績優秀な高校の新入生6人にも年間授業料の11万8800円を渡すより、皆が納得する良い教育的方法と思います。在学生や保護者が先生が成績のいい子だけに目をかけるようになるのではないの声も有りますので、生徒間に差別意識が生まれないように良く考えて欲しいと思います。同窓会や卒業生、PTAの代表者と保護者が、十分話し合って茨城県立下妻第一高校を今後どのような高校にしたいのか、皆さんの希望や意見も取り入れて考えるべきでは有りませんか。茨城県立下妻第一高校の教育内容を改革しても、東京大学への現役合格者を二桁出すに、最低10年の教育的努力を要るのではないでしょうか。 平成21年度の茨城県立下妻第一高校のwww.shimotsuma1-h.ed.jpホームページによる国公立大学の合格者数より一部抜粋。 国公立大学 102名(現役86名) |
東京大 | 1 | 京都大 | 1 | 東北大 | 2 | ||
大阪大 | 1 | 筑波大 | 12 | 千葉大 | 2 | ||
茨城大 | 25 | 埼玉大 | 13 | 宇都宮大 | 12 | ||
電通大 | 2 | 福島大 | 1 | 北見工大 | 1 | ||
富山大 | 1 | 静岡大 | 1 | 三重大 | 1 | ||
鳥取大 | 1 |
茨城県立医療大 | 5 | 高崎経済大 | 4 | |
埼玉県立大 | 3 | 山梨県立大 | 3 | |
秋田県立大 | 2 | 群馬健康科学大 | 2 | |
首都大東京 | 1 | 千葉保健医療大 | 1 | |