◆新年早々、うれしいことがあった。それは、朝日新聞が1月1日付け朝刊の「2面」に全5段組みで新潮社の広告を掲載、この全面を使って米コロンビア大学のドナルド・キーン教授が「日本人よ、勇気を持ちましょう」というタイトルの一文(写真つき)を寄せていたからであった。
「昭和二十年の冬、私は東京にいました。あの時の東京は、見渡すと、焼け残った蔵と煙突があるだけでした。預言者がいたら、決して『日本は良くなる』とは言わなかったでしょう。しかし、日本人は奇跡を起こしました。東北にも同じ奇跡が起こるのではないかと私は思っています。なぜなら、日本人は勁いからです。私は今年六月で九十歳になります。『卒寿』です。震災を機に日本人になることを決意し、昨年、帰化の申請をしました。晴れて国籍をいただけたら、私も日本人の一員として、日本の心、日本の文化を守り育てていくことに微力を尽くします。新しい作品の執筆に向けて、毎日、勉強を続けています。勁健なるみなさん、物事を再開する勇気をもち、自分や社会のありかたを良い方向に変えることを恐れず、勁く歩を運び続けようではありませんか」
ドナルド・キーン名誉教授は、「つよい」ということを表すのに、「強い」ではなく「勁(つよ)い」という文字を使っている。「勁(ケイ)」とも読む。立命館大学の白川静名誉教授の名著「字通」には、こう説明してある。
「巠は織機のたて糸を張りかけた形。上下の力の緊張した関係にあるものを示す。力は筋力の意。頚部は人体においても最も力の強健なところである」
ドナルド・キーン名誉教授は、単なる「強さ」ではなく、日本人の個々人が全身で、日本の復興に力を振るうことを、この「勁」という文字に託してとくに期待していると思える。
頁をめくつていくと、朝日新聞「文化面」(23面)で、ドナルド・キーン名誉教授は「抒情詩となって蘇る」と題する文章のなかで、「多くの人にとって、昨年は辛い記憶の残る1年となった。今年こそは素晴らしい記憶にあふれる年となることを祈っている」というメッゼージを発信している。
◆私は、いまから約50年前、つまり半世紀前、高校2年生のころ、ドナルド・キーン名誉教授の講演を聞いた経験がある。会場は、東京・有楽町近くにあった朝日新聞東京本社(南町武技要所跡地)の講堂だった。はっきりした記憶は残っていないが、ドナルド・キーン名誉教授は、「源氏物語」のことを話されたと思う。
当時、40歳前後の若い学者だった。米国人が、日本最初の女流文学作品に魅せられて、深く研究され、この成果を発表されていることに驚嘆したことを覚えている。私は、友人とともに、文芸講演会をハシゴしていた。別な会場では、文豪・谷崎潤一郎、円地文子、
水上勉、伊藤整らの講演も聞いたことがある。三島由紀夫は、九段会館で開催された盾の会の集会で、勇姿を見ながら演説を聞いた。その後は、京都国際会議場で、歴史学者のアーノルド・トインビー博士の話も聞いたことがある。いまになって振り返ってみると、話の内容は、記憶には残っていないけれど、いい思い出となっている。
◆このなかでも、ドナルド・キーン名誉教授は、日本人以上に日本人らしく、日本の心をよく把握され、古典の素晴らしさを多くの日本人に教えておられる。これはもう、日本の宝というしか絶賛のしようがない。
日本に帰ってこられて、新潟県内をはじめ、各地で講演活動に忙しい日々を送って折られる。東京都内での講演に参加しようとその都度申し込んではいるが、残念ながらなかなか当らない。それほど人気抜群なのだ。その意味でとりあえず、新年早々、朝日新聞紙上で、玉文に触れることができたのは、このうえない喜びであった。いつかは、講演会参加券を当てようと思っている。これが私の新年の決意表明だ。
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
日本は「王道」を歩もうとしているのに、世界は「覇道」を「第三次世界大戦」へと突っ走っており、野田佳彦首相と小沢一郎元代表は、善玉、悪玉を役割分担して、日本を守ろうとしている ◆〔特別情報①〕
野田佳彦首相は、善玉か悪玉か、保守政治家か改革者か、f果たして正体は何か。現代人が、モザイク的多面体の顔をしているとはいえ、善悪の価値評価の尺度を当て嵌めてみると、野田佳彦首相の正体は、ますます複雑さを増して見えてくる。この複雑系多面体から発せられる情報からその正体に迫るには、やはり「表、裏、陰、闇」という「情報の4重構造」から分析するしかない。
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