私は5月16日のメルマガ第383号「国際機関の幹部人事に見る日本
の地位の低下」で書いた。
外務省が天下りポストとして独占して来た世界貿易機関(WTO)の
上級委員のポストを失ったと。
今度は財務官僚の番だ。
しかし財務省は外務省ほど甘くはない。
いざとなれば税金で集めたカネを使うこともできる。
おそらく暫くはそのポストを死守するだろう。
しかし早晩それを手放さなくなる日がくるだろう。
ADB総裁ポストをめぐる財務官僚の動きについては、新聞や
メディアではこれまで一切報道してこなかった。
だから国民は誰も知らない。
しかし、きょう(5月28日)発売の週刊現代6月9日号が「霞ヶ関
24時」の中で要旨次のように教えてくれた。
すなわち5月上旬にマニラで開かれたアジア開発銀行の年次総会に
出席した安住財務大臣は同銀行の基金規模の増額に向けて1571億円
を拠出することを発表した。財務省の指定ポストである基金総裁ポスト
確保のために存在感を見せつけるためだ。しかしADB総裁ポストに
ついては、かねてから東南アジア諸国連合から「日本はいつまでも独占
するのは不自然」(シンガポール外交筋)という意見が出ていた。それが、
ここにきて2010年までADBの米国理事を務めていたカーティス・
チン氏までもが5月2日付ウオール・ストリート・ジャーナルに
「東京によるADB支配に終止符を」という論文を投稿したため一気に
表面化した。1965年のADB発足以来、総裁ポストを独占して
財務省にとって「絶対死守」が至上命題だか、包囲網は確実に狭まって
いる、と。
この記事で思い出すのが今年4月に決まった世銀総裁のポストである。
米国が独占してきたこのポストについて、いつまでも米国に独占させ
ておくのはおかしいという声があがった。
そしてついに今回の改選ではコロンビアやナイジェリアの財務大臣が
立候補してあらそった。
米国はその声を考慮して韓国系米人のキム氏(ダートマス大学学長)
を立てて総裁選を勝った。
その時に、米国についで二番目に大きい投票権を持つ日本の安住財務
大臣はいち早くキム氏支持を表明し米国に忠誠をつくした。
この時の日本の報道の中には、いつまでも米国が世銀総裁を独占する
時代ではないというものもあった。
毎日新聞の社説(4月4日)に至っては安易な対米追従と見られても
仕方がない。どのような材料をもとに、どういった基準でキム氏支持を
固めたのか、説明する義務と責任が日本政府にはある、とまで書いて
いた。
その日本が、ADB総裁について米国から独占支配はやめろといわれ
ているのだ。
それでも財務官僚の天下りポストを死守するために安住財務相は
1500億円もの税金を使っているのだ。
野田民主党政権が米国にいかにコケにされているかということだ。
野田民主党政権が財務省にいかに財務省の言いなりであるかだ。
こんな事は週刊現代だけの記事で終わらせてはけない。
大手新聞、テレビはこれを大きく報道し、国民が広く知るように
しなければならない。
この事を国民が知れば野田、安住などに消費税増税などさせては
いけないということになる。
だから大手新聞やテレビは報道しないに違いない。
了
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