3/2(月) 8:01配信 現代ビジネス
新型コロナ、「マスク売り切れ」騒動だけじゃすまない「日本の大問題」
写真:現代ビジネス
新型コロナでわかった「日本の問題」
まず、武漢肺炎で亡くなった世界中の方々のご冥福と、感染された方々の早期のご回復を祈念する。また、これ以上の感染の拡大は避けなければならない。
死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い
もちろん、感染症は自然災害の1つと言ってよいであろうし、ウイルスに罪はない。意外に知られていないが、そもそも細胞膜を持たず、独立して存在できないウイルスは生物学的には、チリや埃と同じ「無生物」に準じる扱いであり、あくまで「生物」である「細菌」とは異なった存在だ。
しかし、自然災害や不可避の事故も、「人間の備え」によって大きく変化する。
投資の神様ウォーレン・バフェットの「私には未来は予測できない。もし、そんなことができるという人がいたら、私の前に来て実証してほしいものだ」という言葉は正しい。いまだにバフェットの目の前で「実証する」人は現れていない。
「それでは、あなたはどのように投資判断をするのですか」と質問されたときの答えが「ある出来事が、何月、何日、何時、何分に起こるかは予想できないが、『何かの災害がいつか起こることはわかる』。だから、市場がどのようになっても大丈夫なように『備え』をしておくのが私のやり方だ」である。
つまり、地震予知をはじめとした災害の予測はほとんどうまくいっていないが、防災訓練や堤防の建設を行うことは重要であるということだ。それが一体どのようなもので、いつ起こるのかはまったくわからないが、「まさかの事態」が「いつか必ず」起こるのは必然だということである。
その観点で言えば、今回の武漢肺炎という世界的大災害は、パンデミックだけではなく、「まさかの事態=有事」のことを日本が十分考えていなかったことを我々に教えてくれた。
新型コロナ、「マスク売り切れ」騒動だけじゃすまない「日本の大問題」
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もし防護服やマスクが100%輸入製品であったなら…
「グローバル化」という美辞麗句に踊らされて、潜在的なリスクを十分考慮せず「まさかの備え」を行わずに海外進出した日本企業はいま青ざめているであろう。
彼らがリスクに対して鈍感であることは、12月24日の記事「ウイグル人権法案、じつは『日本企業』が他人事とはいえない可能性」などで述べてきた。泥縄式といえないこともないが、ビジネス・経済のグローバル化のリスクに今から「まさかの備え」を行っても、何とか間に合うかもしれない(今回の武漢肺炎の影響で壊滅的ダメージを受けなければの話だが……)。
グローバル化の潜在リスクについては、2月20日の記事「新型コロナが突きつけた『グローバル化は人類のリスクか』という問い」や、2018年1月30日の記事「やっぱりグローバリズムの不利益を再認識すべきときが来た」などで詳しく述べてきた。
問題はパンデミックだけではない。もし世界がグローバル化によって「1つ」になれば、バックアップ(文明)が存在しなくなり、人類滅亡の危機にさらされることは前記「新型コロナが突きつけた『グローバル化は人類のリスクか』という問い」の冒頭で、イースター島を例に挙げて詳しく解説した。
そして、経済活動においても同じことが言える。
例えば、今回の「マスク売り切れ騒ぎ」の中で、多数の政治家、官僚、役人が、国民の迷惑など顧みず、共産主義中国に忖度してマスクや防護服を「贈呈」したことについては、騒ぎが落ち着いてからゆっくり論じることにして、そもそも「マスク売り切れ騒ぎ」の大きな原因の1つは、マスクの(中国を中心とした国々からの)輸入比率の高さである。
一般社団法人日本衛生材料工業連合会(JHPIA)の資料によれば、2018年に日本で約55億枚流通したマスクのうち、国産は約11億枚で残りの約44億枚は輸入品である。つまり、輸入比率が80%にも達していたのだ。
平時であれば、マスクが輸入品であろうと国産品であろうと、「安く手に入ればそれに越したことはない」と考えられるであろう。
しかし、武漢肺炎のような事態が起こって初めてそのリスクに気付く。
もっとも、サージカルマスクは直径5μm(マイクロメートル)までの粒子を除去するようできているが、細菌の大きさは約1μm、ウイルスは0.02~0.1μm程度で「自由通行」するから意味を成さない。
ただし、咳やくしゃみは、粒子の周りに水分を含んだ直径約5μmの飛沫となって飛ぶためサージカルマスクも意味がある。他人に感染させないエチケットとしてマスクは重要なのだ。