新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、岡山県内の観光農園では最盛期を迎えたイチゴ狩りの来園者が減少している。旅行やイベントの自粛ムードが広がる中、団体客のキャンセルが相次いでいるためで、摘み取られるはずだったイチゴを格安販売に振り替えるなどして対応。4月以降に始まるタケノコ収穫体験の予約状況も厳しいものの、経営者たちは苦境を乗り越えようと懸命だ。

 

 「2、3月はイチゴの収穫量が増える書き入れ時。例年なら、週末を中心に入場を断るほど多くの来園があるのだが」。美作農園(美作市奥)の河合佑樹常務(30)は鈴なりになったイチゴ畑を見つめる。

 

 イチゴ狩り用のハウス3棟(60アール)を持つが、3月は団体予約の大半の約千人がキャンセル。家族連れら個人を中心にした利用客はいるものの、熟した果実が例年以上に残る。このため職員が摘み取り、格安で直売しているほか、ジャムやプリンなどの加工用に回して対応している。

 

 17棟(180アール)のハウスを構える「七区いちご園」(岡山市南区西七区)は、2月末に一斉休校の要請が報じられた直後の土日曜の来園者が、通常の半分以下となった。団体予約もバスツアーや子ども会など、4月末までの9割以上が取りやめに。赤磐市の農園でも、3月の団体予約の9割から断りの連絡が入っているという。

 

 七区いちご園の藤井邦昭社長(67)は「社会の風潮もあり、集団での移動を避ける傾向があるのだろう」としたうえで、「今が一番おいしい時期。消毒液を置いたりハウスの頻繁な換気といった対策に努め、出迎えたい」という。

 

 影響はイチゴ狩りにとどまらない。美作市北原の「美作しいたけ園」は、4月中旬から始まるタケノコとワラビ狩りの予約客が見通せない。旅行代理店のバスツアーを中心に5月のゴールデンウイーク終了までに約千人を見込むが、例年この時期には代理店から届くはずの集客状況の連絡が全く来ない。

 

 「春はタケノコ狩りが売り上げの大半を占めるのに」と園を経営する岡崎産業の岡崎和己さん(67)は不安げ。「産直市での販売を増やすなどして、どうにか頑張っていきたい」と話した。

 

イチゴの観光農園以外にも新型肺炎の地域産業への影響は、今後拡大しそうです。

産直のインターネット販売も考えるべきです。