再度言う。中村哲さんの遺志はJICAが受け継ぐべきだ
2020-03-15
-きょう3月15日の朝日新聞が一段の小さな記事で報じた。
中村哲さんが殺害された事件で、逮捕されていた容疑者二人が、事件とは無関係だったと判断されたことがわかったと。
治安当局者や州政府幹部が朝日新聞の取材に対して明らかにしたと。
犯人特定につながる情報は乏しく、捜査は難航していると。
やはり、そうかと思った。
おそらく犯人が特定されないまま、中村哲殺害事件は風化していくだろう。
なぜ特定されないのか。
それはもちろんアフガン政府の能力のなさにあるのだろう。
しかしもうひとつの理由として考えられるのが、今のアフガン政府に対立する組織が関与している場合だ。
そうだとしたら特定できるはずがないからだ。
特定すればますます対立が深まる。
そして、もしアフガン政府に対立している組織の犯行なら、かつて伊勢崎賢治氏が週刊プレーボーイ誌上で指摘していた通り、中村さんがアフガン政府から表彰状をもらい、アフガン政府と一体と見なされていたから狙われた、という見方が現実味を帯びる。
中村哲氏殺害の犯人と動機は何としてでもはっきりさせなければいけない。
もしそれが困難なら、ペシャワールの活動は今後も危険にさらされる。
それだけは避けるべきだ。
だからといって、あそこまで成果を上げた中村さんの偉業を無駄にするのは、もっと残念だ。
いまこそ日本政府の出番だ。
その為には、ペシャワール会はアフガン政府に申し入れるのだ。
アフガン政府から日本政府に対して、中村哲さんが命を懸けて残したプロジェクトを発展させ、完成させるために、アフガン政府から日本政府に支援を要請して欲しいと。
ペシャワール会が直接日本政府に支援を要請しても、日本政府は受け入れない。
現地要請主義、つまり日本の援助は相手国の要請をまって初めて行うという杓子定規のマニュアルがあるからだ。
日本の援助を担当した私がそういうのだから間違いない。
そしてアフガン政府からの要請があれば日本政府は断れない。
いまやアフガン復興支援は日本政府の国策となって久しいからだ。
そして日本政府が支援するプロジェクトなら、反政府勢力もそう簡単には妨害出来ない。
なぜなら日本政府を敵に回すからだ。
中村哲さんが試みたプロジェクトは、アフガン全体を豊かにするプロジェクトだ。
だからこそ、反政府勢力はそれがアフガン政府に独占されるを妨害するのだ。
もしそうなら、日本政府がアフガン政府に注文をつければいい。
アフガン国民が等しくその恩恵を被るプロジェクトにしなければいけないと。
そしてそれを反政府に伝わるように公表するのだ。
日本の援助がきっかけでアフガン政府と反政府の部分停戦が成立する可能性もある。
そしてそれが全面停戦につながることも期待できる。
日本政府はそうなるよう働きかけていくべきだ。
その時こそ、中村哲さんの遺志が実現する時だ。
中村哲さんの後を引き継いだペシャワール会の人たちは、いますぐ日本政府に働きかけるべきだ。
ペシャワール会と日本政府の共同プロジェクトにして発展、完成して行きたいと。
「日本政府の支援は受けない」というのは、決して中村さんの本意ではないはずである(了)