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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

Wの悲劇 - 80's Movie Hits ! -

2012-12-14 | 80's Movie Hits !

■Woman~Wの悲劇/薬師丸ひろ子
From「Wの悲劇」(1985年・日本)

監督=澤井信一郎
主演=薬師丸ひろ子 世良公則 三田佳子

 80年代の日本映画界は角川映画全盛期。銀幕アイドルを語る上で角川三人娘に触れない訳にはいかないでしょう。”お父さんを殺しに来るよ・・・”というCFが印象的だった「野性の証明」。高倉健の娘役で鮮烈なデビューを飾ったのが、薬師丸ひろ子。代表作といえば何と言っても故相米慎二監督作の「セーラー服と機関銃」。「翔んだカップル」や「ねらわれた学園」もあるけれど、僕が一番好きなのは「Wの悲劇」だ。2012年にはテレビドラマにもなった。

 夏木静子の同名小説を、劇中劇に使用するという大胆で凝った脚本。演劇界の舞台裏と、そこに青春を賭けるヒロインの姿を追った意欲作である。監督は澤井信一郎で、「野菊の墓」では松田聖子、「めぞん一刻」では石原真理子、「早春物語」では原田知世と。この時期アイドルを手がけることが多かった。その作品を通じて今までにない魅力を発揮した者も多い。特に本作の薬師丸ひろ子は、ちょうどアイドルから女優への転換期の作品。その熱演故に耳に残る台詞も場面も多い。ラストシーンの泣き笑いの表情も、「顔ぶたないで!私女優なんだから」といった台詞もよく覚えていることだろう。それに冒頭いきなり処女喪失場面から始まるんだから、熱狂的ファンは度肝を抜かれたことだろう。彼女だけでなく、三田佳子やデビュー作だった高木美保ら女の愛憎劇も見どころ。世良公則の好演も忘れちゃいけない。そして薬師丸ひろ子にとってはこれが角川事務所最後の作品となった。

 さて主題歌の ♪Woman~Wの悲劇 は角川映画の慣例どおりもちろん薬師丸ひろ子自身が歌っている。低いつぶやくようなフレーズの前半から一変してハイトーンが続くサビのフレーズが印象的で、ここにも彼女の意気込みが感じられる。主題歌作曲は呉田軽穂こと松任谷由実。ユーミンが他のアーティストに提供した曲の中でも、僕は特に好きな曲だ。昔からユーミンはそういう曲のセルフカバーアルバムをやって欲しいと思っているけど、是非ユーミンの歌唱でも聴いてみたい・・・と、当時思っていた。2003年にユーミンはアルバム「Yuming Compositions : Faces」にセルフカバーを収録している。映画全体のスコアは久石譲が担当しており、舞台の場面ではサティのジムノペディ1番やベルディのレクイエムも使用されている。

 僕は角川三人娘では知世たん派だったので、薬師丸ひろ子はあまり好きではなかった。でも今考えるに、それまでのアイドルたちはキラキラした業界に作られたような方々が多かったのだけれど、薬師丸ひろ子はそういうタイプではない。むしろ地味で自然な印象があり、当時の僕は彼女の写真集がバカ売れしているのが理解できなかった(水着姿さえないし・笑)。でも隣のお嬢さん的なところが彼女の魅力だと思う。80年代はアイドルに親しみやすさが重視された時代だったのだな。まぁその頂点がおニャン子だったのだろうけど。

※薬師丸ひろ子の歌が聴ける80年代の主な映画
1981年・「セーラー服と機関銃」 = セーラー服と機関銃(夢の途中)
1983年・「探偵物語」 = 探偵物語
1984年・「メインテーマ」 = メインテーマ
1984年・「Wの悲劇」 = Woman~Wの悲劇
1985年・「野蛮人のように」 = ステキな恋の忘れ方
1986年・「紳士同盟」 = 紳士同盟
1988年・「ダウンタウン・ヒーロ-ズ」 = 時代
1989年・「READY!LADY!」 = Windy Boy

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