■「ビリー・ジーンの伝説/The Legend Of Billie Jean」(1985年・アメリカ)
監督=マシュー・ロビンス
主演=ヘレン・スレイター クリスチャン・スレイター ピーター・コヨーテ
80年代組には、ヘレン・スレイターというと「スーパーガール」や「摩天楼はバラ色に」のヒロイン役が思い出されることだろう。本作は日本未公開作で、「スーパーガール」の次に出演した青春映画。弟のバイク(ホンダのスクーター)が町の不良に壊されたので、姉のビリー・ジーンはその父親たる男に弁償を迫った。ところが家の貧しさを悪く言われた上に手込めにされそうになる。彼女は逃げるが弟が握った銃が発砲し、男に怪我を負わせてしまう。逃げ出したビリー・ジーンとその仲間は、男の証言で不利になるが、次第に若者やマスコミの理解を得て彼女の支持者がアメリカのあちこちに出てくる社会現象を起こしてしまう。果たして彼女は望み通り謝罪と弁償金を手にすることができるのか?・・・というお話。
何とも都合のいいエピソードもあるのだけれど、それでも観客を飽きさせないのは、やはり撮影当時20歳くらいだったヘレン・スレイターのピチピチした魅力!。映画の冒頭、弟と川で泳ぐ場面はとびきりセクシーなコスチュームでサービスショットの連続だし、長い髪を切り落としてボーイッシュになってからの活躍がまたかっこいい。あなたが彼女のファンならこの映画は必見。ジャンヌ・ダルクの映画を観て触発されたビリー・ジーンは、ティーンたちの支持を集めてカリスマと化す。だが大人や世間に対する若者の怒りという描写は皆無なので、ヒロインを勝手に支持することで勝手に若者が盛り上がっているだけにしか見えないところもある。それだけに、ヒロインをジャンヌ・ダルクに重ねるのはやりすぎだろう?と感じてしまう。しかし逃走する主人公をラジオのDJが英雄にしていく様は、ピーター・フォンダの「アウトロー・ブルース」(古っ!)に通ずる痛快さがある。パット・ベネターの Invincible が主題歌で全米トップ10ヒットを記録した。
(2004年筆)