「キル・ビル」のルーツを探せ!(その3)★青葉屋の大立ち回り・殺陣は「子連れ狼」
■「子連れ狼 三途の川の乳母車/Baby Cart At The River Styx」(1972年・日本)
監督=三隅研次
主演=若山富三郎 松尾嘉代 大木実 新田昌玄
青葉屋で繰り広げられる大立ち回り。人体メッタ斬りと血の海に唖然としたり、やりすぎだろっ!と笑ってしまったりしたことだろう。手が飛び、足が飛ぶのは当たり前。國村隼オヤブンの首が斬られて血が噴水のように飛ぶところも含め、「キル・ビル」は本当に血まみれの映画だ。タランティーノは「子連れ狼/三途の川の乳母車」のようにやりたい!とスタッフに言ったのであった。
「子連れ狼」シリーズは勝新太郎がプロデュースした大ヒットシリーズで、「三途の川の乳母車」はシリーズ最高傑作とも言われる第2作。トム・ハンクス主演「ロード・トゥ・パーディション」の原作は「子連れ狼」をベースにしている、というのも有名な話だ。映画史研究家によると、このシリーズが後の残酷スプラッター映画の原点だとも言われている。いきなり冒頭で虚無僧姿の二人組から襲われる主人公拝一刀(おがみいっとう)。拝の刀を真剣白羽取りで押さえた一人。既に刀は彼の額に食い込んでいる。その男の肩に飛び乗り、ジャンプしてさらにもう一人が襲いかかる!。「機動戦士ガンダム」ファンにはトリプル・ドムのジェット・ストリーム・アタックか!と感じさせる攻撃だ。そんな見せ場から始まるこの映画は、とにかくチャンバラシーンの多いこと多いこと。息をつかせぬ緊張が全編に漂って飽きさせることはない。足手まといと思われがちな大五郎が意外に大活躍するし、乳母車の仕掛けも見どころ。また仇役の松尾嘉代が女としての感情に揺れる様子も印象的だ。
タランティーノが真似た残酷描写”人体メッタ斬り”は、随所に出てくるが、中でもうわっ!ここまでやる!と感じさせるのが、女だけの明石柳生一派に腕利きとされる忍びが挑む場面。指が落ち、腕が落ち、足が斬られ・・・胴体と頭だけの肉の塊にされてしまう。ここは「キル・ビルvol.1」のラスト、ジュリー・ドレフュス拷問シーンにつながっているのだろうか。映画のクライマックスでは三人の殺し屋と砂丘で対決するのだが、この三兄弟が鉄の爪やら鉄のこん棒やら個性的な武器を得意とする恐ろしい奴ら。意外にすんなり決着は着くのだがそれぞれの殺され方がまたすごい。魚の開きのように真っ二つにされる残酷描写はオオッ!と驚くけれど「キル・ビル」同様”やりすぎ”。最後に喉を切られた男は、”喉を斬られると息が笛みたいに聞こえるというが、それを自分で聞くとはなぁ・・・”とご丁寧な説明の後、血しぶきをあげて果てる。とにかくこの時代のアクション時代劇ってすごかったんだなぁ・・・と改めて思う。
そして「vol.2」で死んだと思っていた娘と再会する後半。娘が寝る前に観ているテレビ。そこに流れていたのは・・・「子連れ狼」!だめだよ、そんなの見ちゃ!
■「子連れ狼 三途の川の乳母車/Baby Cart At The River Styx」(1972年・日本)
監督=三隅研次
主演=若山富三郎 松尾嘉代 大木実 新田昌玄
青葉屋で繰り広げられる大立ち回り。人体メッタ斬りと血の海に唖然としたり、やりすぎだろっ!と笑ってしまったりしたことだろう。手が飛び、足が飛ぶのは当たり前。國村隼オヤブンの首が斬られて血が噴水のように飛ぶところも含め、「キル・ビル」は本当に血まみれの映画だ。タランティーノは「子連れ狼/三途の川の乳母車」のようにやりたい!とスタッフに言ったのであった。
「子連れ狼」シリーズは勝新太郎がプロデュースした大ヒットシリーズで、「三途の川の乳母車」はシリーズ最高傑作とも言われる第2作。トム・ハンクス主演「ロード・トゥ・パーディション」の原作は「子連れ狼」をベースにしている、というのも有名な話だ。映画史研究家によると、このシリーズが後の残酷スプラッター映画の原点だとも言われている。いきなり冒頭で虚無僧姿の二人組から襲われる主人公拝一刀(おがみいっとう)。拝の刀を真剣白羽取りで押さえた一人。既に刀は彼の額に食い込んでいる。その男の肩に飛び乗り、ジャンプしてさらにもう一人が襲いかかる!。「機動戦士ガンダム」ファンにはトリプル・ドムのジェット・ストリーム・アタックか!と感じさせる攻撃だ。そんな見せ場から始まるこの映画は、とにかくチャンバラシーンの多いこと多いこと。息をつかせぬ緊張が全編に漂って飽きさせることはない。足手まといと思われがちな大五郎が意外に大活躍するし、乳母車の仕掛けも見どころ。また仇役の松尾嘉代が女としての感情に揺れる様子も印象的だ。
タランティーノが真似た残酷描写”人体メッタ斬り”は、随所に出てくるが、中でもうわっ!ここまでやる!と感じさせるのが、女だけの明石柳生一派に腕利きとされる忍びが挑む場面。指が落ち、腕が落ち、足が斬られ・・・胴体と頭だけの肉の塊にされてしまう。ここは「キル・ビルvol.1」のラスト、ジュリー・ドレフュス拷問シーンにつながっているのだろうか。映画のクライマックスでは三人の殺し屋と砂丘で対決するのだが、この三兄弟が鉄の爪やら鉄のこん棒やら個性的な武器を得意とする恐ろしい奴ら。意外にすんなり決着は着くのだがそれぞれの殺され方がまたすごい。魚の開きのように真っ二つにされる残酷描写はオオッ!と驚くけれど「キル・ビル」同様”やりすぎ”。最後に喉を切られた男は、”喉を斬られると息が笛みたいに聞こえるというが、それを自分で聞くとはなぁ・・・”とご丁寧な説明の後、血しぶきをあげて果てる。とにかくこの時代のアクション時代劇ってすごかったんだなぁ・・・と改めて思う。
そして「vol.2」で死んだと思っていた娘と再会する後半。娘が寝る前に観ているテレビ。そこに流れていたのは・・・「子連れ狼」!だめだよ、そんなの見ちゃ!