Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

フットルース - 80's Movie Hits ! -(その2)

2013-04-20 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

80年代を代表するサントラ盤「フットルース」第2回(第1回はこちら)。今回はケニー・ロギンスに続いて全米1位に輝いたデニース・ウィリアムズとシャラマー。

■Let's Hear It For The Boy/Deniece Williams
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)

 この曲は80年代青春組にとっては記憶に残る1曲だろう。「フットルース」サントラからの2枚目のシングルカットで全米No.1を獲得している。また映画での使われ方もよかった。リズム感のないクリス・ペンに、ウォークマンで音楽聴かせながらリズム取りの練習をするあのユーモラスな場面。そこに流れていたのがこの Let's Hear It For The Boy だった。ちなみにバックコーラスはシャノン・ルビカムとジョージ・メリル夫妻(あぁ懐かしのボーイ・ミーツ・ガール!大好きでした)。

 近頃よく出ているディスコ系のコンピにもこの曲をセレクトしているものがある。よーく考えるとディスコ定番の曲とは明らかに違うのだが、それでもこれが選曲されるあたりが80年代なのだ。ソウルでもロックでも踊れたらジャンルの区別はいらない。”洋楽”というひとくくり。それでよかった訳だし、だからこそ僕らは幅広い音楽的趣向になっていったわけでもあるんだ。でも実はこの曲でしか彼女を知らないという方も多いと思うのだ。

 5歳の頃からゴスペルを歌い始めた彼女は、高校生の頃にレコードショップの店主が彼女をマイナーレーベルに紹介してシングル3枚をリリースしていた。70年代にスティービー・ワンダーのバックコーラスとして活動していたところを、EW&Fのモーリス・ホワイトにスカウトされてデビュー。82年にはジョニー・マティスとのデュエット Too Much, Too Little, Too Late(涙のデュエット) が全米No.1を獲得しているし、ファーストアルバムからのシングル Free は多くのアーティストにカヴァーされている。「フットルース」に使われたこの曲が世界的なヒットになったので、日本では特に一発屋のイメージがあるようだが、決してそうではない。80年代後半からは信仰心から再びゴスペルシンガーとして活動し、現在に至っているそうだ。86年にはゴスペルアルバムでグラミー賞を獲得している。変わったところでは、91年に松田聖子の英語カヴァーという企画モノアルバムに参加、名曲 ガラスの林檎 を歌っている。また2003年にはモーニング娘。の同様の企画モノに参加、恋のダンスサイト を歌っている。まっ、この辺りは余裕の表れでしょうね。

HQ | Deniece Williams - Let's Hear It for the Boy [Footloose 1984]




※Deniece Williamsの歌が流れる80年代の主な映画
1984年・「フットルース」 = Let's Hear It For The Boy
1989年・「ベスト・コップ」 = Back Together

■Dancing In The Sheets/Shalamar
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)

 ”ロケンロールに乗ってバカをやった”神父の娘は、トラックに乗る男の子とハンバーガースタンドへ。そこは若者のたまり場だ。それは「アメリカン・グラフィティ」の頃とちっとも変わっちゃいない。心配して追いかけてきた友人たちを追い払い、彼女は車内のラジカセをトラックのボンネットに置いた。そこから流れてくるのが、シャラマーの Dancing In The Sheets 。店のあちこちで誰もがリズムに合わせて体をゆすり始める。店の外ではみんなが踊り始めた・・・。「フットルース」のサントラからシングルになった曲の中で、僕は当時この曲が好きになれなかった。それは80年代らしい軽いサウンドのダンスミュージックにノレなかったこと。これは今でもそうだ。そして、”シーツの中で踊ろう”という言葉の響き・・・すぐに妄想をかきたてられる男子高校生には刺激的な響きだったのだが、これにちょっと抵抗を感じたからだ(笑)。

 アメリカの人気音楽番組に「ソウルトレイン」がある(番組を知らなくても、あのお馴染みのテーマ曲はどこかで聴いたことがあるのでは)。同番組のプロデューサーであるドン・コーネリアスが、番組に出演していたジョディ・ワトリー、ジェフリー・ダニエルズに他1名を加えた3名で結成させたグループで、77年にデビュー。79年にはヴォーカルにハワード・ヒューイットが加わり、男女ツインヴォーカルとなる。ここからはヒット曲を連発。おしゃれなダンスチューンはダンスフロアでも人気があった。しかし83年にはジョディ・ワトリーがソロに転向、85年にはハワード・ヒューイットもソロ活動を開始することに。看板を失ったシャラマーだったが、その後ハワード・ヒューイットが復帰した。

Shalamar - Dancing In The Sheets Official Video




※Shalamar関連の曲が流れる主な映画
1983年・「D.C.キャブ」 = Deadline U.S.A.
1984年・「フットルース」 = Dancing In The Sheets
1984年・「ビバリーヒルズ・コップ」 = Don't Get Stopped In Beverly Hills
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フットルース - 80's Movie Hits ! -(その1)

2013-04-19 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■「フットルース/Footloose」(1984年・米)

監督=ハーバート・ロス
主演=ケビン・ベーコン ロリー・シンガー ジョン・リスゴウ

 高校3年生の夏だったか、毎週見ていた「ベストヒットU.S.A.」で映画の主題歌が1位を獲得した。映画の場面ということで流れたのは、ツンツンした頭の兄ちゃんが暗闇の中で踊っている映像。それがFootlooseだった。やたらニヤけたひげ面のおっさんが歌うこの曲、そしてそれに続くシングル曲が次々とチャートの上位に食い込んでくる大ヒット。この映画サントラが、その後の80年代のサウンドトラック盤が、ポップス/ロックのコンピレーションとなるきっかけをつくったのだ。

 この映画の音楽には、もうひとつ特筆すべきことがある。それは脚本にも携わっているディーン・ピッチフォードが作詞を担当したことだ。そのためストーリーにビシッ!と合った内容になっている。単なるコンピではない。これは新時代のミュ-ジカルだったのだ。現在、「フットルース」は舞台でも演じられるている。ハーバート・ロス監督は2001年に亡くなったけれど、草葉の陰で喜んでくれていることだろう。

 現在も個性派として活躍するケビン・ベーコンが主人公を演じ、相手役にはロリー・シンガー。ロックを聴くことが禁止された保守的な田舎町で、ロックをガンガン流すダンス・パーティを開こうとする主人公。ところがヒロインの父ちゃん(これがジョン・リスゴウという配役。こわ~)が保守派の代表市民。若者が大人達から自由を勝ち取ろうとする物語。

 僕がこの映画を初めて観たのは、友達の家でのビデオ鑑賞。大学生だった。劇場公開から1,2年経っていたためか、それとも16型カラーテレビで観たせいか(後者の要因が大)今ひとつ気持ちが盛り上がらなかった。高校生の頃観ていたらもう、大人達の価値観に立ち向かう主人公にもっと感動したことだろう。でも音楽は別。その小さな画面でも躍動感は十分に伝わってきた。それから現在まで何度か繰り返し観ている訳だ。実は音楽が様々なジャンルに及び、ヴァラエティに富んでいることも面白い。すべて”洋楽”というひとくくりで語れた時代。それが80年代だったのかもね。日本では、このサントラから Holding Out For The Hero(麻倉未希) I'm Free(渡辺美里) Never(MIE) の3曲がカヴァーされ、ドラマの主題歌として使われた。

Footloose (1984) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers




  ★

■Footloose & I'm Free (Heaven Helps The Man) / Kenny Loggins
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)

 80年代にサントラからのヒットを連発した人といえば、ケニー・ロギンス。70年代にロギンス&メッシーナとして活躍。77年までに9枚のアルバムを発表し、高い評価を得た。またソングライターとして、ドゥービー・ブラザースのWhat A Fool Believes(マイケル・マクドナルド共作)などを手がけている。83年の4枚目のソロアルバム"High Adventure"で、作詞のディーン・ピッチフォードとコンビを組んだ。これが縁で「フットルース」のサントラ参加をオファーされることになる。

 ケニー・ロギンスは、タイトル曲 Footloose と I'm Free の2曲でサントラに登場。前者は全米No.1ヒットを記録した。Footlooseはつま先がビートを刻む印象的なオープニング、そしてエンディングで流れる。イントロのギターを聴くと思わず体が反応する方々はきっといるはず。「ロミーとミシェルの場合」で、故郷の同窓会に出かけるヒロイン2人がお気に入りの80年代ヒット曲をかけながら車を飛ばす場面があるが、そのとき真っ先に流れるのも実はFootloose。”あの頃”を語る上で欠かせない曲だと言ってもいいだろう。まさに80年代を代表するヒット曲。

 I'm Freeもシングルカットされ、15位に入るヒットとなった。映画ではダンスパーティを開くことを許される集会の場面で流れる。こちらは力強いメロディーとバックの叫びが耳に残る。この曲は渡辺美里がカヴァーしてデビュー曲ともなった(ちなみにシングルB面はエイジアのDon't Cry)。間奏のギターソロはスティーブ・ルカサー!そしてシンセサイザーはデビッド・フォスターが弾いている。

Kenny Loggins - Footloose (Official Video)


Kenny Loggins - I'm Free (Heaven Helps the Man)




※Kenny Loggins の歌が流れる80年代の主な映画
1976年・「スター誕生」 = I Believe In Love(作曲)
1980年・「ボールズ・ボールズ」 = I'm Alright  Lead The Way 他
1982年・「マイ・ライバル」 = You Don't Know Me
1984年・「フットルース」 = Footloose  I'm Free
1985年・「ロッキー4 炎の友情」 = Double Or Nothing (duet with Gradis Knight)
1986年・「トップガン」 = Danger Zone  Playing With The Boys
1987年・「オーバー・ザ・トップ」 = Meet Me Half Way

■The Girl Gets Around(危険なガール)/Sammy Hagar
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)

 「フットルース」の本編はジョン・リスゴウ扮する神父が、「ロックンロールやらTVやらの悪しき影響で若者たちは乱れきっておるっ!」と熱弁をふるう場面から始まる。でも後方の席では女の子たちが引っ越してきたばかりのレン(ケビン・ベーコン)に視線チラチラ。神父の娘(ロリー・シンガー)は、説教ききながら真っ赤なマニキュア塗っている。少し後には、主人公レンが大人たちに「スローターハウス8」が名作だと言うのだが反論される場面もあり、この町の異常に保守的な大人たちが押しつける価値観がいかに堅く、若者文化とのギャップがあるのかを強く印象づける導入部である。

 神父の娘ロリー・シンガーが友人たちとドライブするところ。走行中の2台の車に立ち、正面からきた巨大なトレーラートラックに向かう危険な場面。男友達の白いトラック積まれたラジカセから流れてくるのが、サミー・ヘイガーが歌うハードロック、The Girl Gets Around(危険なガール)。お説教場面の後だけに、”ロケンロールに乗ってバカをやる若者”を象徴する場面になっている。

 サミー・ヘイガーはヴァン・ヘイレンの2代目ヴォーカリストとしての活動が今や最も知られるところだが、「フットルース」の頃はまだヴァン・ヘイレン加入前の時期。70年代に西海岸で活躍したモントローズというバンドでの活動後、76年にソロに転向。そして86年、ヴァン・ヘイレンに2代目ヴォーカリストとして加入。発表されたアルバム「5150」は、先代ダイヤモンド・デイヴとは違った硬派なロックヴォーカルを聴かせてくれた。96年にはヴァン・ヘイレンを脱退したが、2004年の再結成で再び加入した。映画関連のお仕事も多い(ベストアルバムにはタイトル・チューンを歌った「初体験リッジモント・ハイ」も「ヘヴィー・メタル」も「オーバー・ザ・トップ」も収録)。あのパワフルなヴォーカルはリスナーの心を引きつける。それ故の人選なのだな、きっと。

Sammy Hagar & The Wabos - The Girl Gets Around (From "Livin' It Up! Live In St. Louis")




※Sammy Hagar関連の曲が流れる主な映画
1981年・「ヘヴィー・メタル」 = Heavy Metal
1982年・「初体験リッジモント・ハイ」 = Fast Times At Ridgemont High
1984年・「フットルース」 = The Girl Gets Around
1985年・「シュア・シンク」 = Two Sides Of Love
1985年・「ビジョン・クエスト 青春の賭け」 = I'll Fall In Love Again
1986年・「ランナウェイ/18歳の標的」 = Burnin' Down The City
1987年・「オーバー・ザ・トップ」 = Winner Takes It All (Sammy Hagar with Edward Van Halen)
1989年・「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」 = I Can't Drive 55
1992年・「ウェインズ・ワールド」 = Rock Candy (Bullet Boys)
1995年・「パワーレンジャー」 = Dreams (Van Halen)
1996年・「ツイスター」 = Humans Being (Van Halen)
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トリコロール 赤の愛

2013-04-17 | 映画(た行)

■「トリコロール 赤の愛/Trois Couleur Rouge」(1994年・フランス=ポーランド)

●1995年セザール賞 音楽賞
●1995年シカゴ批評家協会賞 外国語映画賞
●1994年LA批評家協会賞 外国語映画賞
●1994年NY批評家協会賞 外国語映画賞

監督=クシシュトフ・キェシロフスキ
主演=イレーネ・ジャコブ ジャン・ルイ・トランティニャン

 「トリコロール」三部作の中で唯一観ていなかったのが「赤」。映像と音楽の調和がこの上なく美しかった「青」、洗練されたセックスコメディだった「白」。今回やっと観た「赤」が描くのは人間関係の難しさ。でもそれ故に人生は深いし、面白い。フランス映画だからなし得る人間観察のドラマだ。登場する人物は誰もが何かしら問題を抱えている。それらは不思議な共通点で結ばれているのだが、それらの対比が実に見事なのだ。

 例えば、人と人とのコミュニケーションの道具である電話。冒頭、ドーバー海峡を渡る電話線をカメラはハイスピードで撮り続ける。ヒロインのイレーネ・ジャコブはイギリスにいる恋人と遠距離恋愛中。だが嫉妬深い彼氏は、言い寄られることが多いモデルの仕事にも理解を示してくれないし、ちょっと電話に出ないだけで妙な勘ぐりを入れてくる。一方、犬を轢いたことで知り合った退官した判事ジャン・ルイ・トランティニャンは、その電話を盗聴することを楽しみにしている人物。彼はそこに真実があるとまで言う。人が人に関心を持つことが行き過ぎると醜い。ヒロインにとって電話は恋人と自分をつなぐ心の拠り所なのに、電話を通じて彼女は不快な思いをすることになる。他にも法律書のエピソードやラストのドーバー海峡での事故のエピソードなど、判事の思い出と現実とが不思議な接点で結ばれていく。そして全三部作を結ぶラストシーン。これはとってつけたような印象もあるけれど。運命とは不思議なもの・・・淋しい法律家青年とイレーネ・ジャコブのこれからを暗示するようなツーショット。それをTV画面で確かめた後、退官判事は静かに微笑む。トランティニャンが次第に心を開いていく様子は見事な演技だ。

 不思議な伏線が張られた物語の面白さや役者陣の演技もいいのだが、何よりもこの映画は絵になる。その映像美にとにかく酔わされるのだ。巨大な広告とされたイレーネ・ジャコブの赤を背景にした表情、劇場の真っ赤な椅子、赤い自動車・・・。フランス国旗の赤は”博愛”の意味だそうだ。この映画は香り豊かな赤ワインのイメージ。人生のように少しだけ苦い。カンヌ映画祭で受賞を逃したことで、現地の新聞は「審査員たちは”赤”を観ていないのか!」と書き立てたとか。そのときのパルムドールが・・・「パルプ・フィクション」。うーむ。タランティーノファンの僕としてはどちらを擁護すべきなのかなぁ?。

(2004年筆)




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ゴーストバスターズ - 80's Movie Hits ! -

2013-04-16 | 80's Movie Hits !

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■Ghostbusters/Ray Parker Jr.
from「ゴーストバスターズ/Ghostbusters」(アイバン・ライトマン/1984年・米)

監督=アイバン・ライトマン
主演=ビル・マーレイ ダン・エイクロイド シガニー・ウィーバー

 アイバン・ライトマン監督の代表作となったSFXコメディの大ヒット作。実は・・・僕はこの映画好きじゃないんですよねー(ゴメン)。ライトマン監督、主演の2人ビル・マーレイとハロルド・ライミス(兼脚本)のトリオは、この前に「パラダイス・アーミー」という佳作がある。おちゃらけた二人組が軍隊なら衣食住に不自由しない、と入隊。そこで巻き起こす騒動を描いたドタバタコメディ(死語?)だった。マーレイはその後「トッツイー」でも好演(「ワイルド・シングス」以後最近は大活躍!)していたし、お気に入りの男優だった。・・・・ところが、SFXをみせる為だけに製作されたようなお気軽な娯楽作たる「ゴーストバスターズ」。確かに面白いけど、ビル・マーレイだからよかった映画とは思えなかった。マシュマロマンが街を破壊する場面で「あ、なんか僕が求めてるものとは違う」と思い、以来僕は”アンチハリウッド”のミニシアター男になる(笑)。まぁシガニー・ウィーバーの怪演は見事だったけどさ。

 ところで。レイ・パーカーJr.が歌う主題歌 Ghostbusters は空前の大ヒットとなった。有名人が次々出てくるビデオクリップも楽しかった。彼はそもそもスタジオミュージシャンで、スティービー・ワンダーをはじめ多くのアーティストのアルバムに参加、味のあるリズム・ギターを聴かせるプレイヤーだ。デビッド・フォスターやTotoの面々とも競演したアルバムも多い。また自身のグループ、レイディオはR&Bチャートでは上位を獲得している。メロウなヴォーカルも定評があり、Woman Needs Love などのヒットもあるし、ニューエディションのヒット曲 Mr.Telephoneman は彼のカヴァーだ。

 「ゴーストバスターズ」の主題歌は当初ヒューイ・ルイスにオファーされていた。だが都合で降板したため、製作会社はヒューイ・ルイスのデモテープをレイ・パーカーJr.に聴かせて「こんな感じで頼む」と依頼した。そして書き上げたのがあの曲だった。ところが、ヒューイ・ルイスが、「あの曲はオレの I Want A New Drug のパクリだ」とクレームをつけて訴訟に発展。和解が成立し、この時の話を以後口外しないことと取り決めがなされた。しかし2001年にヒューイ・ルイスが音楽番組でこの事をしゃべったために、今度はレイ・パーカー側が告訴した、と伝えられている。Ghostbusters 以後の彼はメガヒットこそないが、根強い人気を保っている。だいたいこのメガヒット自体が例外的なもので、彼の音楽性とはちょっと違うとも思える。2002年には日本でライブも行われた。

 サントラは他にトンプソン・ツインズ(In The Name Of Love)、エア・サプライ(I Can Wait Forever)などが参加している。エルマー・バーンステインの(「大脱走」と同じ作者とは思えない)どこかお茶目なスコアもよかった。・・・・でも映画は苦手だ。





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トータル・フィアーズ

2013-04-15 | 映画(た行)

■「トータル・フィアーズ/The Sum Of All Fears」(2002年・アメリカ)

監督=フィル・アルデン・ロビンソン
主演=ベン・アフレック モーガン・フリーマン ジェームズ・クロムウェル

 一言で言えば、恐ろしい映画だ。世界の平和がいかに微妙なバランスの上に成立しているのか。その恐ろしさが描かれていてゾッとする。政府の中枢に位置する大統領・官僚・軍人が感情に流され始めると、もうどうしようもないのだろうか。「もう2回も攻撃されてるんだぞ!」と叫ぶ政府高官がいたけれど、きっと1年前のアメリカもこうだったのでは。それにしても、かつてキューブリックが”核の恐怖”を皮肉ってから、もう数十年が流れているというのに、ボタンを押せ、やられたのならばやり返せ、と迫る軍人たちの姿は全く変わっていないではないか。それも恐ろしい。実際に起こりうるかもしれない、様々な”恐怖”が描かれる。しかしこの映画で描かれる”核の恐怖”は、”使う恐怖”であって”使った後の恐怖”ではない。ボルチモアでの核爆発後の描写は、あまりにも認識が甘すぎる。我々日本人にはそこはどうしても気になるところだ。

 僕はベン・アフレックがどうも苦手だ。実は「アルマゲドン」も「パールハーバー」も未見。最初にこの映画の話を聞いたときには、頼りなさがイメージとしてあるもので、彼がジャック・ライアン役!と驚いてしまった(原作のシリーズでは大統領になるんだもの)。でもそんな彼が”意外な”(ファンの方々失礼)活躍をするのが面白いところかな。ライアンを敢えてCIAの下っ端に設定を変えたのも、まぁ映画としては成功かも。フィル・アルデン・ロビンソン監督に関しても、代表作といえば「フィールド・オブ・ドリームス」で全く別路線だけにどんな映画になるんだろう?と正直思っていた。あの映画のケビン・コスナーとこの映画のベン・アフレックの共通点は、自分の思いに対するひたむきさかな。

 そんなライアンの活躍で危機は回避され、ホワイトハウスで軍縮へ向けた米ロの合意がなされるラストシーン。それをバックに、次々とこの事件に関わった真の悪人どもが消されていく。ん?、この演出どこかで観たことが・・・・あ!「ゴッドファーザー」だ!。マイケルの子供の洗礼に、裏切り者を抹殺する殺人が重なる名場面。コルレオーネに逆らうと怖い・・・・アメリカに逆らうのもまた怖い、そういう演出なんだろうか?。そう思ったら、この映画の怖さはまた違ったものになるのだけれど。

(2002年筆)




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初体験リッジモント・ハイ - 80's Movie Hits ! -

2013-04-14 | 80's Movie Hits !

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■Somebody's Baby/Jackson Browne
from「初体験リッジモント・ハイ/Fast Times At Ridgemont High」(1982年・アメリカ)

監督=エイミー・ヘッカリング
主演=フィービー・ケイツ ジェニファー・ジェイソン・リー ジャッジ・ラインホールド

 原作者であるキャメロン・クロウ監督やエイミー・ヘッカリング監督の活躍で、近頃再評価されてきたお気楽なハイスクール青春群像劇。80年代青春映画のひとつの流れに、「グローイング・アップ」や「ポーキーズ」といった”性春映画”路線がある。本作も当時お色気の話題が先行していて、そういう部類の映画と思われがちであった。そりゃ仕方ない。だって僕らエイティーズがこの映画のタイトルを聞いて一番に思い出すのは、他でもないフィービー・ケイツの真っ赤なビキニ姿だもん。しかもジャッジ・ラインホールドの想像の中(彼が何してるかは覚えてるよね・恥)で、ブラのフロントホックまで外すんだよ!。ゴールデン洋画劇場録画してここばっかり繰り返し見たひとーっ!。おお、そうかぁ!多くの元男の子がパソコンの前で手を挙げているのが見えるよ(笑)。

Fast Times at Ridgemont High Official Trailer #1 - (1982) HD


 キャメロン・クロウが高校生になりすましてハイスクールライフを取材しまくってできあがった原作だけに、本編は当時の若者の風俗や興味があふれかえっている。「プレイボーイ今月号のボー・デレク見た?」とのたまうショーン・ペン君はいいねぇ(笑)。もちろんそっちばっかじゃなく、レッド・ツェッペリンなど音楽についての話題も今見ると興味深い。ジェニファー・ジェイソン・リーも脇役のフォレスト・ウィティカーもみーんな若かった。

 サントラはイーグルス人脈が多数参加する豪華な2枚組。もち現在はCD1枚に収まっている(曲目とアーティストは下記を参照のこと)。ジャクソン・ブラウンは Lawyers In Love(愛の使者) 等で社会派ロックミュージシャンのイメージが強いけれど、この主題歌たるラブソング Somebody's Baby(誰かが彼女を見つめてる) は彼にとって最大のシングルヒットとなった。軽やかなリフとツインリードで始まるいかにもウエストコーストなアレンジは、今聞いても実に心地よい。僕が出勤の車中でよく選ぶ曲のひとつだ。日本人には山下達郎のカヴァーで知られ、多くの人々に愛される名曲 So Much In Love は、ティモシー・B・シュミットがカヴァー。アカペラに薄いバッキングが重なるアレンジは好印象。サントラ収録曲には他にも佳作が多い。Raised On Radio は特に僕のお気に入り。

 そうそう、それからこの映画はニコラス・ケイジのデビュー作でもあるのだ。ニコラス・コッポラの名前でクレジットされており、ショーン・ペンの友人役。それから現キャメロン・クロウ夫人のナンシー・ウィルソン、「恋しくて」のエリック・シュトルツ、後に「ビバリーヒルズ・コップ」を撮る監督のマーチン・ブレストも役者として出てくるようです。原作者キャメロン・クロウ本人も授業場面に紛れこんでいるとか?。新たな発見を求めて見直してみようかな。

Jackson Browne - Somebody's Baby (1982)


※Jackson Browne関連の曲が流れる主な映画
1978年・「タクシー・ドライバー」 = Late For The Sky
1982年・「初体験リッジモント・ハイ」 = Somebody's Baby
1986年・「サルバドル 遙かなる日々」 = Running On Empty
1994年・「フォレスト・ガンプ 一期一会」 = Running On Empty





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ヒッチコック

2013-04-13 | 映画(は行)

■「ヒッチコック/Hitchcock」(2012年・アメリカ)

監督=サーシャ・ガヴァシ
主演=アンソニー・ホプキンス ヘレン・ミレン スカーレット・ヨハンソン トニ・コレット

あのスリラー映画の大傑作「サイコ」誕生にまつわる舞台裏を描いた物語。僕はヒッチコック監督の大ファン。初めて観たのは高校時代にテレビで観た「鳥」。ジャングルジムにカラスが集まる場面で震え上がったけど、あの不気味な結末が妙に気に入り、その後も繰り返し観た。大学時代に「裏窓」「ロープ」を観てその着眼に恐れ入り、「泥棒成金」でグレース・ケリーに惚れ、「汚名」にハラハラして「めまい」に感涙した。以来、ヒッチコック監督作はサイレント時代や大戦中の短編を含めてほぼすべてを夢中になって観た。妻アルマが若い頃からヒッチコック監督を支え続けたことも予備知識としては知っていた。その前提でこの映画「ヒッチコック」に挑んだ。

映画通じゃないと観られない映画だとか、シロウトにはわからんとか、世間では言われている。うーん。確かに「サイコ」そのものを観てないと理解できない部分も多々あることだろう。逆に、数々の逸話がある映画だけにそれを知っているからこそ、「えー?そこまで?」と物足りなく思えるところも多々ある。有名なシャワールームでの殺人場面についても、「短いカットをつないだ」とは触れてくれるが、体を傷つけるところや裸を見せずにいかに怖がらせるかで映倫のチェックを突破したかなど、詳細に見せてくれはしない。でも、映画が終わって冷静に考えると、そこを全部描いてしまうとドキュメンタリー映画になってしまう。悪く言えば、テレビ番組でよくあるチープな再現ドラマになってしまう危険もあった。サーシャ・ガヴァシ監督はドキュメンタリー映画を手掛けていた人で、劇映画は本作が初監督。だから、おそらく数々の逸話を語り倒したい気持ちを抑え込んでメガホンを握ったのではなかろうか。そのバランスを保ったのは脚本だろう。ただでさえ映画会社の出資を得られずに背水の陣で撮影に挑んでいる監督が、妻の浮気(まぁご本人も主演女優との遍歴があるからお互い様なんだろうけど)で精神的に不安定になっていく様子を軸にして、映画中盤は男と女のドラマに仕立てていく。

「女がわからない。どうして女はみんな私を裏切るようなことばかりするのだ。」と劇中ヒッチコック監督はつぶやく。世に天才と呼ばれる人々は、ヒッチ監督だけに限らず、自分のやっていること以外は目に入らず、みんなどこか奔放で子供みたいな人たちだ。特にヒッチコックはブロンド美人を主演女優に据え続ける(偏執的な)こだわりは有名。ヴェラ・マイルズとのエピソードは劇中でも語られる。綺麗な女優はオレがスターにしてやれるという自負と自信がある一方、それは彼の一方的な恋心でもある。女の子はみんな、オレのもの。そう誤解しているとさえ思える程。男として気持ちはよーくわかるのだけど。そんな彼を支え続けた妻アルマの気持ちが爆発するベッドルームの場面。何も言えずに黙ってしまうヒッチ先生。まさに叱られた後の子供だ。成功者の陰には必ずよき理解者がいる。「ジュリー&ジュリア」でも思ったことだが、夫婦のあり方を考えさせられる。プライドの張り合いは醜い。お互い頼り合えること、理解してあげることが必要だな、と思わされる。

「サイコ」が試写で酷評された後、再編集で一級品に仕上げたのは妻アルマの功績。編集室の場面からラストまでこの映画は一気に高揚感で満たされる。音楽の効果などいらないと主張する監督の意見を一蹴し、バーナード・ハーマンの音楽を付け加える場面は素晴らしい。夫と妻の力関係、アルマがいかにすぐれた編集者であるのか、ヒッチ作品が彼女に支えられたものだということを一気に語りかける。悲鳴のような弦楽器が印象的なあの「サイコ」の劇伴が流れたとき、「ああ、これだよっ!」と世界中の映画館の暗闇で笑顔になった映画ファンたちがいるだろうと思った。配給会社が先行は2館のみ、と厳しい注文をつけた後の宣伝作戦。ここの見せ方もうまい。こういう観客のノセ方がいい。そして迎える公開日。戦慄のシャワーシーンを観る観客の様子を、劇場の外からのぞくヒッチ先生。ハーマンの音楽を指揮するかのような仕草と、呼応する観客の悲鳴。上手いなぁ。

映画は随所にヒッチコック映画らしさも見せる。例えばオフィスからブラインド越しに外を見る場面。ヒッチコック映画は”のぞき”の視点とはよく言われるが、これはまさに「サイコ」の冒頭。ラストの鳥が肩にのる演出もいいね。こう言ってしまうと、この映画が鑑賞者を選ぶような映画通向けの作品ととられるかもしれない。しかし。あなたに映画をつくる人々に対してリスペクトする心があるならば、子供みたいな監督の奔放さとそれを支える妻の心意気に少なからず心動かされるはず。ヒッチコック映画はサスペンスであると同時に男と女の物語でもある。それは銀幕のこっち側で観ている物語だけでなく、むこう側で繰り広げられる男と女のドラマ。久々に淀川長治センセイにみせたい映画!と思えた。あ、そうそう。脚本家ステファノ役が「ベスト・キッド」のラルフ・マッチオ!思わぬ再会w。





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ビバリーヒルズ・コップ - 80's Movie Hits ! -

2013-04-11 | 80's Movie Hits !

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■The Heat Is On/Glenn Frey
from「ビバリーヒルズ・コップ/Beverly Hills Cop」(1984年・米)

監督=マーチン・ブレスト
主演=エディ・マーフィ リサ・アイルバッハー ジャッジ・ラインホールド

「サタデー・ナイト・ライブ」出身といえばこの人も忘れてはなるまい。エディ・マーフィーである。82年に同番組に出演して以来人気が急上昇、翌年にはウォルター・ヒル監督の「48時間」で映画デビューした。この頃、エディ本人が歌ったアルバムもリリースされ、シングルカットされた Party All The Time はかなりのヒットを記録した。以後現在に至るまでのエディ・マーフィーの活躍は語るまでもないだろう。

Eddie Murphy - Party All the Time (Official Video)


そもそも本作はエディ主演のTVシリーズとして企画されたものだったが、劇場映画1本きりということで製作されたとか。ところがメガヒットとなり、本作のマーチン・ブレストにつづき、トニー・スコット、ジョン・ランディスが手がける大ヒット・シリーズとなった。

ヒットしたのは映画だけでなく、オープニングのデトロイトの風景にかぶさる軽快なロックンロールナンバー The Heat Is On は全米2位の大ヒット。これを歌った元イーグルスのグレン・フライはこの後、「マイアミ・バイス」や「テルマ&ルイーズ」とサントラ関連の曲が続くこととなる。他にはパティ・ラベルがスモーキー・ロビンソンの曲を歌った New Attitude やポインター・シスターズの Neutron Dance などのヒットチューンが収録されている。今聴くとこのサントラは、サウンドがスカスカで軽い。低音がズンとくるような曲は皆無で、個人的はあまり聴きこんだサントラではなかったな。でもインストながら全米3位となった Axel F はけっこう気に入っていた。

歌モノで特筆すべきは、一連のティム・バートン映画で音楽を担当しているダニー・エルフマンが、エレクトロポップの楽曲 ♪Gratitude で参加していることかな。CDのライナーには”デペッシュモード風のサウンドにデビッド・ボウイ風のヴォーカル”と表現されている。まぁわかる気はするけど。これはオインゴ・ボインゴのヴォーカルだった彼のソロ作品。



Glenn Frey - The Heat Is On (From "Beverly Hills Cop" Soundtrack)


Harold Faltermeyer - Axel F (HQ)


※Glenn Freyの歌が流れる主な映画
1984年・「ビバリーヒルズ・コップ」 = The Heat Is On
1989年・「ゴーストバスターズ2」 = Flip City
1991年・「テルマ&ルイーズ」 = Part Of You, Part Of Me
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月のひつじ

2013-04-08 | 映画(た行)

■「月のひつじ/The Dish」(2000年・オーストラリア)

●2000年トロント国際映画祭 観客賞

監督=ロブ・シッチ
主演=サム・ニール ケヴィン・ハリントン パトリック・ウォーバートン

 1969年7月21日、人類は初めて月面に達した。その中継を担当したパラボラアンテナは、オーストラリアの羊しかいない小さな町パークスにあった。月面からの中継という大役を任された町の人々、アンテナで働く人々の人間模様を暖かいタッチで綴る秀作だ。華やかなアポロ11号の月面着陸を支えた人々は、NASAの科学者たちだけではない。こんなド田舎の庶民がそれを支えていたという現実は、実に嬉しい。特に、技師の一人ミッチが(NASA職員を代表とする)アメリカ人に対して抱いていたコンプレックスが次第になくなっていく様子や、逆にNASA職員のアリが心を許していく様子が、人間味豊かに描かれていて本当に心温まる。

 製作はオーストラリアのワーキングドッグという製作集団。製作・脚本そして演出もこの集団に属する4名で行われている(監督のクレジットは代表ということでロブ・シッチとされている)。知恵を出し合って手作りしたような温かみがこの映画から伝わってくる。アームストロング船長が月に立ったとき世界が感動に沸いた。この映画が多くの人の手で支えられているのと同様に、宇宙開発ではアメリカのお手柄なのだけど、実は世界中の人々がこの計画を有形無形に支えていたのだな、と感じさせる。そしてその中継という目立たない大役を成し遂げた人々は、人知れず、だが誇らしげに生きている。ラストのサム・ニールの笑顔と背中がそれを物語っている。多くの人が助け合って一事を成し遂げる姿は感動的。それにしても宇宙開発が人々に夢を与えていくものだということを、これを観て改めて思う。

(2002年筆)


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地球に落ちてきた男

2013-04-07 | 映画(た行)

■「地球に落ちてきた男/The Man Who Fell To Earth」(1976年・イギリス=アメリカ)

監督=ニコラス・ローグ
主演=デビッド・ボウイ キャンディ・クラーク バック・ヘンリー

 デビッド・ボウイなくしてこの映画はない。このニュートン役を演じられる他の人間が想像できない。ボウイは時代と共に変貌を遂げてきた人だが、この映画は、ボウイが異星人”ジギー・スターダスト”を現実社会で演じていた少し後の時期。正直なところ、僕は”ジギー”のボウイを気味悪いとしか思えなかったが、この映画での彼の無機質な魅力は形容の言葉もない。巷にいるあんな色の茶髪オニイチャンたちも、このボウイを観たらこんな風にはなれねぇ・・・と諦められるんじゃない?。正直、カッコイイ!です。

 ”ロックスター = 不健康・体弱い・ナルシスト” というイメージってあるけど、この映画のボウイってそのままなのだ。エレベーターに乗ってブッ倒れたり、「水しか飲まない」一方で酒に溺れたりとか・・・。ニコラス・ローグ監督はこの異星人役はボウイしかいない!としてニューヨークまで追っかけ、8時間も台所で待たされたとか。ボウイ自身もこの映画は気に入っているらしく、後のアルバムジャケットにも写真を使用している。ほら、ナルシストでしょう?(笑)。

 宇宙船が飛ぶ場面や、大した特撮がなくてもSF映画は成立する。というか低予算映画なのでチープなものにしかならないのだが、渇水した惑星から地球にやって来て、残してきた家族を救いたいという大目的があったにもかかわらず、主人公は酒に、セックスに、しまいには金にまで溺れてしまう。地球人の文明は異星人さえ堕落させるものなのだ。この辺は妙に風刺が効いている。(落ちた場所がニューメキシコだったから)アメリカに落ちたのが悪かった、イギリスならこうはならなかったんだ、とするニコラス・ローグの英国人としてのジョークだった、と考えたら深読みしすぎなのかな。

 ニコラス・ローグ監督は映像美が魅力、とよく言われているようだ。本作でも他にはない世界が観られる。妙な凹凸の多い宇宙船内部だとか(これもボウイのジャケット写真に使われた)、銀色のボールを載せるオーディオ、変に日本風な家屋、ボウイが閉じこめられてていた屋敷の不思議な内装etc・・・。とにかく古さを感じさせない。

(2002年筆)



コメント (2)
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