Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

Blood The Last Vampire

2013-10-20 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その5)★Production I. G/日本刀を持つヒロイン

■「Blood The Last Vampire」(1995年・日本)

●2000年毎日映画コンクール 大藤信郎賞

監督=北久保弘之
主演=工藤夕貴 中村左恵美 ジョー・ロマーサ  

 「キル・ビルvol.1」の本編で強い印象を残すのが、オーレン・イシイの生い立ちを語るアニメーションの挿話だ。あんな残酷なアニメは観たことがない。それ故に強烈なインパクトを僕らに与えたのは言うまでもない。タランティーノが製作を依頼したのは「Ghost In The Shell 攻殻機動隊」で知られるProduction I. G。タランティーノ自身が同作品や本作「Blood The Last Vampire」を気に入っていたという。本作ではヒロインが日本刀でバンパイアたちに戦いを挑むが、そのイメージはそのままザ・ブライドに、またヒロインがセーラー服姿で戦うという点は(ブレザーの制服ではあるけれど)栗山千明に引き継がれているのだ。

 わずか50分足らずなれど見応えのあるデジタルアニメーションである。奥行きのある絵と従来のアニメらしい誇張された描写が同居する、ビジュアル面でまず圧倒される。さらに必要最低限の長さに凝縮された物語は謎だらけなのだが、これが実に魅力的。60年代の日本が舞台で、横田基地内のアメリカンスクールに潜んでいるとされるバンパイア(劇中では”人間の血を吸う鬼”と説明されている)を、特命をおびた少女小夜が退治するというストーリー。ベトナムの戦地へと飛び立とうとする飛行機を追いかけたバンパイアは何がしたかったのだろう?。戦場で獣のように殺しあう人間たちは、血を追い求めるだけの”鬼”たちともしかしたら何も変わらない。”鬼”を仕留めた小夜は”同族なれど”最後の理性・・・ということになるのかな。押井守による小説版は安保で揺れる時代を舞台にしており、また現代を舞台にしたゲームも存在するとか。



BLOOD THE LAST VAMPIRE [Blu-ray]BLOOD THE LAST VAMPIRE [Blu-ray]
寺田克也

アニプレックス 2009-05-27
売り上げランキング : 8785

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子連れ狼 親の心子の心

2013-10-19 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その4)★「子連れ狼」関連作
子連れ狼 親の心子の心【期間限定プライス版】 [DVD]

■「子連れ狼・親の心子の心/Baby Cart In Peril」
(斎藤武市/1972年・日)

主演=若山富三郎 山村聰 林与一 東三千 小池朝雄

 「三途の川~」を探しにいつも行くレンタル店を訪れたら、シリーズ4作目「親の心子の心」を発見。これは見なければ。何故って、人道的?な題名のくせに”おっぱいに刺青”がビデオのジャケットなのよ(こらこら)。

 萬屋錦之介のTVシリーズはほとんど見ていないし、シリーズ4作目だから予備知識いるかと思ったが、柳生一族と拝一刀の対立を回想シーンできっちり説明してくれるので大丈夫。尾張藩の侍を次々と殺すお雪(東三千)。いきなり胸をはだけたお雪と侍のチャンバラから始まるプレタイトル。もう目は釘付け(笑)。遺族から彼女の殺害を依頼された拝一刀(若山富三郎)は、彼女の後を追う。お雪はかつて辱めをうけた尾張藩の孤塚円記(岸田森)に復讐すべく殺人を重ねていた。そして男を欲情させ怖がらせるために、胸に乳をまさぐる金太郎、背中に山姥の刺青をする。内田朝雄扮する彫物師が刺青のうんちくを語りながら墨を入れ、お雪の裸体の美しさを語る場面は緊張感が漂う。同じ刺青場面でも「スワロウテイル」とはえらい違いだ(比べるなっつーの)。狐塚との決闘シーン。バッ!と胸をはだけて狐塚がひるんだ瞬間にやっつけるんだけど、あの美貌なら別に彫り物しなくても男だったらひるむよなぁ・・・とも思いましたが(恥)。

 柳生の忍者が次々と一刀を襲うのだけれど、ここで出ました人体バラバラ!。仏像に身を潜めて待ち伏せしていた忍者を斬る!斬る!斬る!。手が飛び足が飛ぶのは当たり前。立っている忍者を稲刈りみたいに足首を残して斬り倒すところもあり、思わず笑いが出てしまう。この場面では「父母に会っては父母を斬り、仏に会っては仏を斬る・・・」と、「キル・ビルvol.1」でのナレーションと同様の文句が聞ける。切腹の介錯をする場面もあるのだが、切り落とされた首が転がり間をおいて胴体から血が噴き出す(タランティーノもこの間にこだわったらしい)。あぁこれこれ!と思わず口にしてしまう「キル・ビル」ファン。

 それにしてもこの頃のアクション時代劇って何でもありだったのね。大五郎の乳母車の前が開いてマシンガン!ドドドドドド!おおぉー!噂には聞いていたけど、面白ーい!マカロニウエスタンみたい!棺桶からマシンガン出すジャンゴだ!。クライマックスの大殺戮シーンでも爆破・マシンガン・柳生烈堂の片目が潰される・・・派手なアクションが展開される。斎藤監督は日活アクションものの監督らしいので、このあたりのスピード感は見事。だが原作のファンからは嫌われるところかもしれない。山村聰の娘を思う父親の心境も泣かせます。このシリーズ他の作品を観てみたくなった、ほんと。こりゃハマりますわ。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子連れ狼 三途の川の乳母車

2013-10-18 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その3)★青葉屋の大立ち回り・殺陣は「子連れ狼」
子連れ狼 三途の川の乳母車 [DVD]


■「子連れ狼 三途の川の乳母車/Baby Cart At The River Styx」(1972年・日本)

監督=三隅研次
主演=若山富三郎 松尾嘉代 大木実 新田昌玄

 青葉屋で繰り広げられる大立ち回り。人体メッタ斬りと血の海に唖然としたり、やりすぎだろっ!と笑ってしまったりしたことだろう。手が飛び、足が飛ぶのは当たり前。國村隼オヤブンの首が斬られて血が噴水のように飛ぶところも含め、「キル・ビル」は本当に血まみれの映画だ。タランティーノは「子連れ狼/三途の川の乳母車」のようにやりたい!とスタッフに言ったのであった。

 「子連れ狼」シリーズは勝新太郎がプロデュースした大ヒットシリーズで、「三途の川の乳母車」はシリーズ最高傑作とも言われる第2作。トム・ハンクス主演「ロード・トゥ・パーディション」の原作は「子連れ狼」をベースにしている、というのも有名な話だ。映画史研究家によると、このシリーズが後の残酷スプラッター映画の原点だとも言われている。いきなり冒頭で虚無僧姿の二人組から襲われる主人公拝一刀(おがみいっとう)。拝の刀を真剣白羽取りで押さえた一人。既に刀は彼の額に食い込んでいる。その男の肩に飛び乗り、ジャンプしてさらにもう一人が襲いかかる!。「機動戦士ガンダム」ファンにはトリプル・ドムのジェット・ストリーム・アタックか!と感じさせる攻撃だ。そんな見せ場から始まるこの映画は、とにかくチャンバラシーンの多いこと多いこと。息をつかせぬ緊張が全編に漂って飽きさせることはない。足手まといと思われがちな大五郎が意外に大活躍するし、乳母車の仕掛けも見どころ。また仇役の松尾嘉代が女としての感情に揺れる様子も印象的だ。

 タランティーノが真似た残酷描写”人体メッタ斬り”は、随所に出てくるが、中でもうわっ!ここまでやる!と感じさせるのが、女だけの明石柳生一派に腕利きとされる忍びが挑む場面。指が落ち、腕が落ち、足が斬られ・・・胴体と頭だけの肉の塊にされてしまう。ここは「キル・ビルvol.1」のラスト、ジュリー・ドレフュス拷問シーンにつながっているのだろうか。映画のクライマックスでは三人の殺し屋と砂丘で対決するのだが、この三兄弟が鉄の爪やら鉄のこん棒やら個性的な武器を得意とする恐ろしい奴ら。意外にすんなり決着は着くのだがそれぞれの殺され方がまたすごい。魚の開きのように真っ二つにされる残酷描写はオオッ!と驚くけれど「キル・ビル」同様”やりすぎ”。最後に喉を切られた男は、”喉を斬られると息が笛みたいに聞こえるというが、それを自分で聞くとはなぁ・・・”とご丁寧な説明の後、血しぶきをあげて果てる。とにかくこの時代のアクション時代劇ってすごかったんだなぁ・・・と改めて思う。

 そして「vol.2」で死んだと思っていた娘と再会する後半。娘が寝る前に観ているテレビ。そこに流れていたのは・・・「子連れ狼」!だめだよ、そんなの見ちゃ!




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死亡遊戯

2013-10-17 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その2)★黄色のトラックスーツはもちろん李小龍!


■「死亡遊戯/Game Of Death」(1978年・香港)

監督=ロバート・クローズ
主演=ブルース・リー コリーン・キャンプ ギグ・ヤング 

 「キル・ビルvol.1」でユマ・サーマンが青葉屋になぐりこむときのコスチュームは、黄色に黒のトラックスーツ。これはブルース・リーが「死亡遊戯」のクライマックスで着用しているものと同様のデザインであることはおわかりであろう。ユマ・サーマンの衣装はツーピースになっているが、足下はブルースと同じくアシックス!。ブルース・リーに対するオマージュはこれだけでなく、オーレン・イシイの部下クレイジー88がTVシリーズ「グリーン・ホーネット」でブルースが着けていたマスク(役柄からカトウマスクと呼ばれる)をしていることでも一目瞭然だ。

 「死亡遊戯」はブルース・リーの遺作。撮影途中で本人が死亡したため、「燃えよドラゴン」のロバート・クローズが監督を引き継ぎ完成させた。クライマックスのアクション場面は撮り終えていたので、前半はそっくりさんのタン・ロンやユン・ピョウを使って撮影された。全体的にはどうしてもちぐはぐなものだけれども、わずか10数分ながらブルースの最後の勇姿はファンの心を引きつけた。マカオが舞台であることもあり、カジノのゲーム数々が映し出され、そこにブルースの出演作の場面が重なる洗練されたかっこいいタイトル。ジョン・バリーの音楽もよくできていた(「007」音楽を香港映画が無断使用しているのかと思えるくらいにね・笑)。しかしビデオで見られる版は怪鳥音も他人のものだし(DVDや香港公開版は異なる)、そっくりさんも似ていないから、やっぱりトホホな映画ではある。相手役コリーン・キャンプは「地獄の黙示録」ではプレイメイトの一人を演じており、本作では主題歌も歌っている。マカオの格闘技大会ではサモハン・キンポーも登場。

 しかし、これだけで終わらない。ロバート・クローズ版に使われなかった未公開フィルムが存在することがわかったことから、ブルースが望んだ「死亡遊戯」とはどんなものだったのか?とファンの間でその公開が切望されていた。その完全版フィルムは、当時の製作の様子・裏話を再現したドラマを付け加えて「Bruce Lee in G.O.D. 死亡的遊戯」として日の目をみた。再現ドラマは学芸会並の情けなさだが、ブルースの構想にあった、様々な格闘技の猛者が各階にいる五重塔での死闘、その全てが観られる!。それだけでも劇場に足を運ぶのに十分なものだった。僕も映画館で観たクチだが、観客層が30代以上で男ばっかりだったのは忘れがたい(笑)。今回「死亡遊戯」を見直したが、「G.O.D」を観た後だけに”これだけ?”という気持ちは隠せないな。それでもブルース・リーは永遠の存在。それを改めて思った。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女囚701号 さそり

2013-10-16 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その1)★復讐ヒロイン梶芽衣子!/♪怨み節


■「女囚701号 さそり」(1972年・日本)

監督=伊藤俊也
主演=梶芽衣子 夏八木勲 渡辺文雄 

 70年代の東映アクションもの・・・僕にはおそらく最も馴染みの薄い時期の映画。そして”女囚もの”。僕ら世代だとリンダ・ブレアの「チェーン・ヒート」があるけれど、暴力・エロ満載という作風は好んで観るものでもなかった。だいたい女性がいたぶられる映画って嫌いだから。しかぁし!本作はまさにそれ。恋人だった刑事に騙されておとり捜査に利用され、ボロ布のように捨てられた主人公松島ナミ。刑事に包丁で斬りかかったところを捕らえられてしまう。彼女は復讐に燃えていた。刑務所の中での仕打ち、扱いはこれでもか!というくらいに陰湿。普段ならもう十数分で投げ出してしまうところかも。

 でも面白いのね、これ。デビュー作だった伊藤俊也監督は”劇画調の演出”ということで数々のアイディアを盛り込み、飽きさせない。劇画のコマ割りの様にアングルが斜めだったり、下から見上げたり、明暗がやたらと強調されていたり、時折入るクローズアップが妙に印象的だったり。時代が時代だけに、反権力的な描写があるのも見逃せない。冒頭君が代をバックに刑務官の表彰が行われる場面。ナミの脱走で式はぶち壊しになり、賞状は無惨に踏みつけられる。ナミが悪徳刑事に処女を奪われる場面、白いシーツに広がる赤い血は日の丸を思わせるじゃない。女囚がいきなり髪逆立てて襲いかかったり、派手なライティングがあったりと、まるでホラー映画。タランティーノのアイドル梶芽衣子はひたすらカッコいい。次々と降りかかる危機をクールにかわしていく姿が何より面白い。クライマックスに出てくる黒一色の服装につば広の帽子姿!一度見たら忘れないね。ユマ・サーマンがこのファッションやったら笑っちゃうぞ。作業所の奥でサイコロ博打しているところは任侠映画まんまだし、暴動(「アバレをやるよっ!」)を起こす女囚達に「しずまれーっ!」って時代劇じゃないんだからさ。

 刑務所長や事件の黒幕の薄暗い部屋に差し込む照明は「スケバン刑事」の暗闇指令の部屋みたい。そういえば「スケバン刑事」が製作されるとき、アイドル路線でいきたいフジテレビ側と東映は意見が違っていたらしい。東映側が求めていたのは、この「女囚さそり」の空気だったのだ。マッポの手先にされた女子高生の哀しみと悪への怒り・・・うーん、なるほど納得。ビデオ観ている僕の後ろで配偶者が「何か嬉しそう」と言う。エロが多いのは確かにあるけど、墜ちるところまで墜ちる女性の話はやはり苦手なのだ。それでも、男を社会を悪を恨むヒロインの姿に魅了されたのは間違いない。あぁ今日も ♪怨み節 を口ずさんでしまう~。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キル・ビル vol.1

2013-10-16 | 映画(か行)

■「キル・ビル vol.1/Kill Bill vol.1」(2003年・アメリカ)

●2004年MTVムービーアワード 女優賞・格闘シーン賞・悪役賞

監督=クエンティン・タランティーノ
主演=ユマ・サーマン ルーシー・リュー サニー千葉 デビッド・キャラダイン

※注・ネタバレ・わかる人しかわからない記述あり

 映画でしか得られない興奮・楽しさ。それをここ最近最も感じた映画かもしれない。全編からビシビシ感じるのはタランティーノの映画愛。主要キャスト観るだけでもおおおぉ!と思うのに、脇役まで気が利いているのがすごい。「少林寺三十六房」のリュー・チャーフィが「グリーン・ホーネット」のカトウマスクで登場するのは驚いたし、風祭ゆきまで出てくるんだよ!(僕のルーツまでバレそうだ・汗)。物語はマカロニ・ウエスタンを彷彿とさせる復讐劇。筋に起伏がないのがやや不満ではあるが、キャラの一人一人が魅力的だし、随所にタランティーノ流のユーモアが散りばめられ飽きさせない。特にルーシー・リュー最高!。

 しかぁし!タランティーノ映画に欠かせないのはバイオレンスというテーマ。「パルプ・フィクション」も楽しめたが、黒人少年の頭ブッ飛ばした後始末をあそこまで笑い飛ばす演出に「マジ?いいのか?倫理的に。」とひいてしまった僕としては、「キル・ビル」の暴力描写にやはり同様に感ずるところはある。特にジュリー・ドレフュスを「ボクシング・ヘレナ」状態にしてしまうくだりは、ちょっとねぇ・・・。確かに往年の時代劇でも人体バラバラはよくある(市川雷蔵主演「斬る」の真っ二つはビックリしたよなぁ)。けれどあそこまでサディスティックにやんなくても・・・とラストにはかなり保守的になってしまいました。青葉屋での”血湧き肉片踊る”大立ち回りは、やりすぎだからもう笑いしかでなかったけどね。

 それを抜きにしてもこの映画は魅力的。タランティーノの選曲のセンスの良さは今回も脱帽です。映像と音楽の調和という点では、雰囲気バッチシ。雪の日本庭園での決闘シーン、フラメンコ調 Don't Let Me Be Misunderstood(悲しき願い) の使い方は見事。そしてザンフィルの ロンリー・シェパード は、ハットリハンゾウから刀を受け取る場面とエンドクレジットの2回流れる。イージーリスニング(ポール・モーリアとかピエール・ポルトとか)を聴くのが一時期流行っていた頃に、パンフルート奏者ザンフィルは日本でも人気があった。その哀愁漂う音色。あの曲をまるでマカロニウエスタンのように使っちゃうんだから、すごいよなぁ。

 かつて、小学校高学年で「スターウォーズ」を観たtak少年は、その元ネタに黒澤明作品や往年のSF映画があることを後に知り、”そのルーツを知り尽くしたい”と心底思った。本作もそこまでの衝撃なのか?と言えば違うと思うけど、「キル・ビル」もタランティーノのルーツを知る人程面白いはず。それは確かだ。映画バカ程楽しめる。そういう人々の為の映画だね。梶芽衣子の「女囚さそり」シリーズとか藤純子の「緋牡丹博徒」とか観たくなっちゃったよ。かなりマジで。エンドクレジットで流れる怨み節。素晴らしい。

(2003年筆)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビリー・ジーンの伝説

2013-10-14 | 映画(は行)

■「ビリー・ジーンの伝説/The Legend Of Billie Jean」(1985年・アメリカ)

監督=マシュー・ロビンス
主演=ヘレン・スレイター クリスチャン・スレイター ピーター・コヨーテ

 80年代組には、ヘレン・スレイターというと「スーパーガール」や「摩天楼はバラ色に」のヒロイン役が思い出されることだろう。本作は日本未公開作で、「スーパーガール」の次に出演した青春映画。弟のバイク(ホンダのスクーター)が町の不良に壊されたので、姉のビリー・ジーンはその父親たる男に弁償を迫った。ところが家の貧しさを悪く言われた上に手込めにされそうになる。彼女は逃げるが弟が握った銃が発砲し、男に怪我を負わせてしまう。逃げ出したビリー・ジーンとその仲間は、男の証言で不利になるが、次第に若者やマスコミの理解を得て彼女の支持者がアメリカのあちこちに出てくる社会現象を起こしてしまう。果たして彼女は望み通り謝罪と弁償金を手にすることができるのか?・・・というお話。

 何とも都合のいいエピソードもあるのだけれど、それでも観客を飽きさせないのは、やはり撮影当時20歳くらいだったヘレン・スレイターのピチピチした魅力!。映画の冒頭、弟と川で泳ぐ場面はとびきりセクシーなコスチュームでサービスショットの連続だし、長い髪を切り落としてボーイッシュになってからの活躍がまたかっこいい。あなたが彼女のファンならこの映画は必見。ジャンヌ・ダルクの映画を観て触発されたビリー・ジーンは、ティーンたちの支持を集めてカリスマと化す。だが大人や世間に対する若者の怒りという描写は皆無なので、ヒロインを勝手に支持することで勝手に若者が盛り上がっているだけにしか見えないところもある。それだけに、ヒロインをジャンヌ・ダルクに重ねるのはやりすぎだろう?と感じてしまう。しかし逃走する主人公をラジオのDJが英雄にしていく様は、ピーター・フォンダの「アウトロー・ブルース」(古っ!)に通ずる痛快さがある。パット・ベネターの Invincible が主題歌で全米トップ10ヒットを記録した。

(2004年筆)


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイピスト!

2013-10-13 | 映画(た行)

■「タイピスト!/Populaire」(2012年・フランス)

監督=レジス・ロワンサル
主演=ロマン・デュリス デボラ・フランソワ ベレニス・ベジョ ミュウ・ミュウ

これだ。こういう映画が観たかったんだ!。映画館を出る瞬間、こんなにも幸せな気持にしてくれた映画・・・最近何があっただろう。映画を観る前から、パステルカラーに彩られたレトロフランスな香りのポスターやチラシにものすごく心惹かれていた。でも予備知識は特にもたず、ただ「観たい」という気持と、期待を込めた映画選びの嗅覚だけで映画館へ。女子向け映画?的な色彩から敬遠する人もいるかもしれないが、こんなにロマンティックで、コミカルで、わくわくする映画は最近ちょっとなかった。しかもこれがフランス映画なんだよ、というダメ押しのラストシーンにもうメロメロです。映画館で久々に拍手しちゃったもん!。

50年代のフランス。都会で憧れの職業である秘書になることを夢みて保険会社の面接にやってきたローズ。タイプなら自信があるという彼女の才能から一週間の試験採用をした上司ルイ。ところが失敗ばかりしでかず彼女。ルイは採用を続ける条件に、早打ちタイピング大会で勝つことを条件にする。そこからローズとルイの大特訓が始まる。二人の関係は恋に変わるのか?タイピング大会の結果は?

レトロな雰囲気が漂うタイトルバックで完全に心を奪われた。そこから続く場面ひとつひとつが楽しくて目の前のスクリーンに映し出された映画以外の何も考えられない。普段だったら余計なことが頭に浮かんだりするんよね。ブログに載せるレビューの文章をこう書こうと頭浮かんだり、オレにもこんな経験あるよなぁと共感したり。それはそれで映画観る上では大事なこと。でも「タイピスト!」はとにかく2時間銀幕に夢中にさせてくれる魅力が尽きない。まずはヒロイン、ローズを演ずるデボラ・フランソワ嬢。ロワンサル監督は彼女の役作りのためにオードリー・ヘップバーン主演作を観させた。「昼下がりの情事」「麗しのサブリナ」など大人になろうと背伸びするオードリーだ。主人公ローズは、そんなオードリー主演作のヒロイン同様にだんだん綺麗になっていく。映画の最初、姿勢も悪く、アゴを引いてふて腐れたような表情、上目遣いで人を見ていた彼女が、映画後半は美しいドレスに身を包んだり、自信に裏付けされた態度、微笑みを身につけていく。

大会を勝ち進んで魅力的になっていくヒロインの成功物語としては、とてもわかりやすくて結末だっておそらく予想できるものだろう。だけどそれを"やっぱりねー"と月並みな感動で終わらせないのが、この映画の上手さ。タイピング世界大会では、各国代表選手がいかにもステレオタイプな描かれ方をしているのも面白い。そしてダメ押しはラストの粋な台詞。フランス映画には小難しい人間ドラマも多いけど、色恋を描かせたらやっぱり上手い。しかもこんなに楽しいんだからもう言うことはない。女性が就ける職業が限られている現実、部屋にピンナップされたマリリン・モンローとオードリー・ヘップバーンで時代を無理なく描くところもいい。しかもそのピンナップが恋する気持ちに気づくひとつの要素になっているのもいい。台詞なしに納得させる巧い演出だ。

そして楽しさを決定づけているのは色彩と音楽。タイピングの練習に色分けされたキーボードと同じ色に塗られたマニキュア。美しいファッションの数々。映画の記憶と共に色彩が心に残る。

音楽も魅力的。躍動感あるジャズがタイピング大会のバックに流れ、昂揚感を味あわせてくれる。タイトル曲もレトロ感を演出してるし、人気者となったローズを歌ったエキゾチックな音楽はタイプの音がパーカッションとして使われてとても楽しい。

映画の幸福感がまだ持続中。この幸福感は、ジャック・ドミがドヌーブ姉妹で撮ったあの映画や、ゴダールがアンナ・カリーナに恋してた頃のあの映画を観た後の幸福感に似てる。

ロマンチストな彼氏とだったら、デートムービーにこれ程適しているものはないと思うぞ。女子諸君。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作戦成功。

2013-10-12 | うちの子に御用?
長女レイア姫は兄ルークと違って読書をなかなかしない。
小学生の頃、「100冊達成したよ」というのでリストを見たら
薄っぺらな妖精のお話を繰り返し借りての100冊・・・。

兄ルークは、小学校高学年で「涼宮ハルヒの憂鬱」を読破し、
宗田治の「ぼくらの七日間戦争」で大人にヘリクツが言えるようになった強者。
ボキャブラリーには決定的な差がある。

なんとかレイアをノセる手はないものか。

中学生になったレイア。
長い文章が苦手だから、朝読書用に星新一を勧めたらやっと読むようになった。
図書館では星新一ばかり借りているらしい。
よーし、うまくいったぞ。

NHKのテレビ番組をおじいちゃんおばあちゃんと見ることが多いレイアは、
当然この半年「あまちゃん」にハマっていた。

そこで僕は考えた。

「レイア。」 
(ポケモンのナエトルのぬいぐるみをだっこしながら)「なぁに、ちち。」
「来年の朝ドラなんだか知ってるか?」 
(ナエトルの頭をなでながら)「知んない。」
「赤毛のアンを日本語訳した村岡花子さんが主人公のドラマなんだ。」  
「そ、そーなん!」
「今読んでおくと、来年ドラマが面白くなるかもよ。」  
「おぉー。」

父親ににてノリやすい性格の長女は「赤毛のアン」を読み始めた。しかも異例のハイスピード。
「ちち、続き買っといて。」

来週から「アンの青春」に入ります。作戦成功っ!

赤毛のアン (新装版) (講談社青い鳥文庫)赤毛のアン (新装版) (講談社青い鳥文庫)
L.M. モンゴメリ HACCAN

講談社 2008-07-31
売り上げランキング : 24329

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)
村岡 恵理

新潮社 2011-08-28
売り上げランキング : 11391

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゲキ×シネ シレンとラギ

2013-10-08 | 映画(さ行)

Tジョイがやってる舞台劇を映画館で観るゲキ×シネ。興味はあったけど、舞台劇って常に誰か叫んでるイメージがあって馴染めず、ついつい敬遠していた。ゲキ×シネも料金は普通の映画よりやや高いもんね。今回、幸運なことに「シレンとラギ」試写会に当選!これは、日頃の目線を変えるいい機会だ。しかも主演は藤原竜也と永作博美だし!(もちろん永作ちゃんがお目当て)。

「ゲキ×シネ」観るのは初めて。舞台の生々しさと緊張感。後付けの特殊効果がもっとあって過剰に演出されているのかと想像していたが、ほぼそんなことはない。とにかく役者さんたちの迫力に圧倒された。こんな表情して演じてるんだ、こんな細かい演出してるんだ、とクローズアップで迫ることができる。いい映像体験させてもらいました。

対立する二つの国がある時代。敵国の指導者を暗殺すべく、凄腕の女性の刺客シレンと、彼女を慕う若き武士ラギが付遣わされることになった。シレンは以前に敵国に忍び込み暗殺を実行したが、その死んだはずの指導者が復活していた。動揺するシレン、それを守ろうとするラギ。さらに二人は衝撃の事実を突きつけられる。戦の行方は?二人の運命は?

永作博美は大熱演。激しい殺陣もあるし、叫んでる場面も多いし、女性として苦悩する難しい役どころを見事に演じている。何より感激したのは古田新太の凄み。笑いのツボも心得て、観客をうまくノセてくれる。とにかくひきこまれる3時間でございました。テレビじゃこの感激は伝わらないよ。料金は高めだけど、変な3D映画観るくらいなら、ゲキ×シネの3時間は有意義なものになるぞ。

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする