和宮様の「梅仕事」がなんとか終了した。梅雨のような雨天続きの合間に晴れた日を見つけて梅を干したのだった。この時期はいつも天気との格闘だ。梅干しを一つひとつ並べるのは修行僧のようだ。
梅は中国から伝来したというのが定説だが、最近、縄文遺跡から梅の実が発見されて、梅の在来説が浮上してきた。とはいえ、飛鳥・平安時代には鑑賞用・薬用として注目される。なにしろ、万葉集には桜が42首に対して、梅は118首というから、梅を愛でるのは貴族らの中国(外国)通のステータスを誇示するものであったかもしれない。
戦国時代では、食中毒予防・傷の手当など戦場に携帯する優れた食品だった。それが庶民に行き渡るのはやはり江戸時代以降だ。そのことで、日本は梅の消費大国であり、梅干しとして国民的に食用にするのは日本だけと言っていい。
明日から、また暑苦しい日々が復活しそうだ。和宮様お手製の梅干しをうやうやしくいただきながら、この暑さを、この気候変動の地球の痛みをなんとか乗り越えていきたいものだ。