寒さを気にしているうちにいつの間にか汗をかいていた日があった。そうかもう3月になったんだ。そんな実感が湧いたのは春を呼んだ花だった。春の到来を予感して「まんず咲く」、「マンサク」(マンサク科)だった。
花がよく咲けば豊作、花が少なければ不作など、稲の作柄を占う植物として昔から人の暮らしとの深いつながりがあったことから、「満作」とも命名された。
今年は花数が多いので畑も豊作になりそうだ。いつもだと、「のらぼう菜」が勝手にこぼれ種でいっぱい若芽を芽吹くはずなのにどういうわけか今年は皆無だった。しかし、山猿さんからいただいた「菜の花」の種から見事な花を見せてくれた。おかげでここ数日、柔らかい菜の花のおひたしを堪能できた。
その隣に、4月以降咲く予定の「トキワマンサク」が濃いピンクや白色の花を満開にしてくれるはずだ。マンサクはその花びらの特異な線形が目を引く。
実生から育てている「ソシンロウバイ」がやっと花をつけてくれた。シカの食害で葉を食べられたり、たびたび枝が折られたりした連続だったがなんとかここまで来た。花はまだ3個ほどの控えめだけど。30本くらいは植えたもののなかなか開花までの道のりは遠い。
家の裏側には先月から「小梅」が満開だ。ほんとうは低く剪定するつもりだったがなかなかやり切れていない。それほどに放任状態でもあるので、実も少ない。カリカリ梅は期待できるが入れ歯装着状態で難しくなった。
切り花にしたいが、枝が高くて届かない。それでも、春の到来を予告してくれる予報官に違いない。冬のダークムード一色の眺望の中に突然白い小梅を見るとささやかな希望が見えてくる。きょうの3・11は東北大災害の日だが、地域復興や原発廃止がままならない人間の怠慢には呆れるが、そんな中でもポツンと咲いてくれる花一輪に救われる。