台本書くのに寄り道が大切だ、ってことを昨日書いた。ああ、それって人生全般ぴったり当てはまることだよなぁ、って思い当たった。少なくとも、僕については、あっち寄りこっちはみ出しの寄り道が、その後いろんなところで役に立ってるもの。
思い起こせば、寄り道だらけの人生だった。大学止めて、あっ、多分除籍、中退の届け出してないから、まっ、どうでもいいんだけど、パン屋に入った、てのがある。5年半もやってたからねぇ、パン屋の職人。パン学校にも行かせてもらったし。この寄り道で、ほぼパン作りの技術はマスターしたから、農業高校で食品加工を教えるのに大いに役立った。いまだに置農パンは人気商品だし、僕の焼くごはんパンにはちょくちょく注文が舞い込む。講習の依頼もちらほら。ほら、役立ってるだろ。
それと、40年前のパン屋って、人生の縮図だった。流しの職人さんなんてのが住み込み着いてて、飲む打つ買う呑むですり減ってる人が何人もいた。呑むが一つ余計だ?いいんだよ、これで、中には呑み屋=私設馬券屋、やって大損して夜逃げ直前のお兄さんだっていたんだから。この職場で見聞きしたこと、今もの書くときの堆肥になってるから、その意味でも価値ある寄り道だった。
パン屋を止めて一念発起、受験生に舞い戻った2年間もなかなか味わい深い寄り道だった。見方によっちゃ、30歳を前にして大学を目指すなんてのも寄り道かもしれないが、それは正道への復帰、岐路ではあっても道草じゃあない。入る前の2年間だよ、役に立った道草は。すでに結婚してたから、神さんが外で働いて、こっちは受験生兼主夫、食事、洗濯、掃除なんでもござれだった。この経験が今モノ言ってるわけだよ、老人の一人やもめに。特に料理だ。テレビの「今日の料理」(NHK)見たり、料理本読んだりして熱中したからねぇ、基本はほぼ身に着けてしまった。本当か?って疑う人、最近作った料理、カニクリームコロッケ、野菜の天ぷら、ハンバーグステーキだから、ってちょっと胸そらしたりして。一人で暮らすようになって、ほとんど外食しなくなったほどだもの、このお役立ち度は実に大きい。
二度目の大学時代、有機農業に首突っ込んだてのも、寄り道て言やぁ、寄り道だ。理屈ばかりか、実践にまで飛び込んでしまって、悪戦苦闘!のめり込み方半端じゃなく、こっちが本道だろう、と言えるほどだ。この道草、迷い道のおかげで、農家暮らしの今がある、ね、大切だろ、寄り道って。
さらに上げれば、演劇だけど、この効用はいつかまた書くことにして、今日の結論。人生、寄り道ですよ、大切なのは!