ステージおきたま

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残すはエピローグ!シニア演劇学校5期生公演『生前葬につき』

2016-08-24 08:59:30 | シニア演劇

 ようやくここまでたどり着いた。残すはエピローグだけ。こいつは、ほぼ案が固まってるから悩むとすれば、場転をどうスムーズに進めるかと生前葬式典の飾りつけをどうするか、そんなところだ。おっと、会葬者のお悔やみの言葉も練らないといけない。

 『生前葬につき』演じる当の5期生の間では相当期待が高まってるようで、先週の稽古日には時間延長してまで、妻は誰、愛人がいてとか、遺産相続がどうのとか、盛り上がっていたそうだ。いいねぇ、役者たちが待ち望んでくれる、台本作者にとっては本望だ。シニアにとって身近な話題ってこともある。60歳超えれば、どんな葬式上げてもらえるんだろって、ちらっとでも考えない人間はいないだろう。誰が喪主でだれだれが参列してくれて、悲しむの誰で、喜ぶ奴もいたりして、残された家族はどんな思いで送ってくれるのか、葬儀のランクはとか、様々空想した挙句、まっ、その時になってみなくちゃわからない、その時には死んでるんだから、なおさらわからない、こんなところに落ち着く。いや、霊となって、空中から様子を見守ってるかもしれないから、当人が知りえない、とは断言できないけど。

 霊に頼ることなく、逐一、自分の葬儀を観覧したいとなれば、これは生前葬ということになる。調べてみたら、かなり多くの有名人が生前葬を執り行っていた。古いところじゃ水の江瀧子ターキーね、ビートたけしやサザンの桑田佳祐、先日亡くなった大橋巨泉、学者じゃ養老孟司。小椋佳なんか、儀式の様子をDVDにして販売したりしてるから抜け目ない。でも、どちらかと言うと、目たちたがり屋の芸能人のお遊びって感じが強い。

 一般人の場合はどうか?これがけっこう隠れたトレンドで、すでにそれを売りにした葬儀社も出現したりしている。ただ、生前葬を選択する理由となると、なかなかつましいものがあって、子どもたちにできるだけ負担をかけたくないってあたりが中心のようだ。中には、生前葬を期に養護施設に入所する、なんて、切ない葬儀もあるそうだ。なるほどなぁ、と感慨深いものがあるが、シニア演劇の題材としては、生々しすぎる。まして、僕が書くものだ、笑いとペーソスは味付けのベースにしたい。

 作品の題材に持ち込んだのは、金持ちのほぼ弧老、縁者としては義理の妹だけ。あくの強い実業家として、会社乗っ取り、金融業、土地ころがしなどバブルを巧みに泳ぎ切って相当の資産を築いた。となると、相続をめぐるごたごたか?と先走る人もいるかもしれないが、そんなありきたりを僕は書かない。あっ、いかん!以前書いたことがあった。『死んだ私の殺し方』、遺産に群がるプチ亡者どもを書いた。が遺産争いは目くらまし、眼目は、当の未亡人ははるか以前に死んでおり、介護を続けていた女性が成り代わって生きる、というひねった作品だった。

 そう、今回も、白井健三のFランクとはいかないが、そうとうひねりが効いている。お話しは、人を呼ぶのにどんな葬儀がいいのか、どうして生前葬を選ぶのか、この2点を中心に展開する。呼ばれた葬儀社の2人は悩み抜いて奇抜なアトラクションの数々を提案、依頼者の逆鱗にふれたり、個人史作家も加わって生前葬の意味合いを論じ合ったりする。今どきの葬儀についてもそこそこの情報提供は行った。このあたりでも十分に楽しんでもらえる趣向にはなっているが、そこはやはりひねくれ者のひねりジジイだ。どんでん返しの連続、驚きの結末が待ち受ける、って、安物のサスペンスドラマのうたい文句になるが、多分、その辺も納得してもらえることだろう。

 そして、エピローグ、葬儀屋2人組が思いついた心温まる生前葬とは・・・・と、期待感を煽っておいて、ここは終わるわけだよ。

コメント
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