カ－マという言葉
11月20日（火曜日）2012
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心の奴隷それとも統括者？
アハンカーラという自我意識について考えてみる。
“私が” という意識を、アハンカーラ と呼び、生きていくために
必要な自我意識である。
と同時に、アートマを覆い、”真の我” を隠す正体であることは
すでにお話しした。
肉体がある以上、誰でもアハンカーラがあるために、自分意識を持つ。
喩（たとえ）で使われるのが 蝋燭（ろうそく）とそれを覆う
筒である。
火をともした蝋燭に７つの穴をあけた鉄の円筒をかぶせる。
さらにその上に厚い布をかける。
こうして、蝋燭の火は筒の孔から光となり、こぼれるのだが、
それを厚い布をかけてまったく見えなくする。
この布がアハンカーラ、蝋燭の灯がアートマに当てはまる。
鉄の穴をあけて光りがこぼれるようにした筒が
私たちの肉体だ。
アハンカーラの布は “私” という意識が縦糸（たていと）、
“私の物” という意識が 横糸 となって織られている。
蝋燭にかぶせた筒は、私たちの肉体の象徴だ。
７つの穴は私たちの身体に開いている ５つの感覚器官の門。
口や両目、鼻の孔や両耳、など、７つの門を肉体はもってる。
それでは、どうしたらこの状態で、円筒の中にある
アートマの光を見ることができるのだろう？
布の覆いをそのままにしてでは蝋燭の存在にすら
外側からではわからない。
この布を分解するには、構成している糸をばらばらに
ほぐすほかない。
いっぺんにほぐすことができなければ、 この布の縦糸と
横糸を 根気よく、一本ずつ抜いていくほか方法はない。
アハンカーラが付随しているこの身体でどのように
アートマを知ることができるのかということになる。
経糸と横糸を一本ずつ抜いていくということは
どういうことだろう？
この布、つまり、アハンカーラを解体するのは、
布の縦糸と横糸を取っていく方法にのっとって、
”私の”、と ”私” という意識を やはり、
根気よく取っていくほかない。
布をほどいていく、つまり、アハンカーラを
解いていかない限り、私たちの内部に輝く、
アートマの光は見えないということだ。
“私のもの” という所有意識と “私”
という自我意識を取り去れば、
アートマはその姿を肉体を通じて
みることができる。
それはすぐに、私の所有物を手放すということではない。
私の意識をなくすことは、相手と同一だからといって、
相手の領域を犯すほど、親切の押し売りをすること
でもないと思う。
自分の意識は大切に、と同時に、相手の意識も大切
に思う心持からスタートしていくのだろう。
この円筒を覆っている布は アハンカーラ以外にも、
次の物にも例えられる。
これらの要素は人間の心の隙間に入り込んで、
内側の道を邪魔するものだ。
それらは、
① カーマ＝欲望
② クローダ＝怒り
③ ローハ＝貪欲
④ モーハ＝執着
⑤ マーダ＝誇り
(金銭・学識・位・若さ・美貌など外側の道に付随する)
⑥ マーツァリャ＝嫉妬・羨望
の６つをさす。
円筒にかけられた厚い布は 上記の心の6つの敵の
象徴でもある。
そして、光であるアートマの輝きを奪う。
アートマの輝きは心にはいりこんでくる６種類の
感情に打ち勝ったとき、発揮される。
梵語のアヴァラナとはこのアートマを覆いかくす
厚い布をさす。
真我の光が蝋燭の光、これを アートマジョーティ
といい、唯一の光、エーカジョーティ とも言う。
唯一の光 と呼ばれる理由は、アートマから出る光
だけが本物の光だからだ。
若さや美貌でいくら輝いていても、肉体に属する
輝きにすぎない。
肉体が衰えれば、その輝きもプライドとともに
衰退するのは当然だ。
アートマの光はいつも、私たちの奥で輝いているのに、
アヴァラナ（厚い布）のために見ることができない。
アハンカーラの意識、(私の)という心と、心にはいりこむ
6つの心の敵によって、光を覆い隠されているのだ。
アートマ以外の心は完全ではない。
完全でないというのは、消えていく存在であるということだ。
一過性の命が私たちの命の本質ではない。
肉体が滅びても、生き続ける、命がある。 意識がある。
その意識の心をアートマと呼ぶ。
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