巣箱を片付けようと脚立を立てて手を伸ばした時だ。杉の幹の裏側で羽音がした。ビックリして覗き込んでみるとアブラセミがあられもない格好で固まっている。一瞬、状況の理解に窮したが、直ぐにその理由を見つけた。
産卵中のセミのところへ小生が突然お出ましした、ということでセミは大慌てで産卵管を差し込んだままひっくり返ったのだ。ショックで失神したのか絶命したのかピクリとも動かない。お陰で産卵管と幹の様子をつぶさに眺めることが出来た。これも千載一隅の場面だ。
撮影して頭部を幹に戻してやっても何の反応もなし。産卵管を外すのも間違っているように思えたからそのままだ。針葉樹の幹、と言うより樹皮内に産卵するとは知らなかった。孵化して地中に潜る生態だから落葉樹でなくてもいいのだろう。