チェーンソーの刃も新品のうちは感激する程の切れ味を見せるものの「形あるものは壊れる」の諺の通りに切れ味が鈍っていく。廃棄するまでには何十回と研いで切れ味を保つのが安全作業の一部ではあるものの、これが意外に手間で億劫になる。
刃研ぎ道具に固定台や角度ゲージ、はてまた電動研磨器まで揃えて使えもするものの基本は手研ぎなのである。電動ダイヤモンドシャープナーは簡便だけれど実際に使用してみると切れ味の回復は今一つと言う面があり、やはり手研ぎの方が結果が出る。しかしながら作業中の応急的の研磨はヤスリ1本で対応する事が多く時折は「修正」の意味で電動ダイヤモンドシャープナーを使うのだった。
とは言え「何か有効な治具は無いものか?」と幾つかのプランを有していたのだが制作するまでには至らなかった。今回、腰痛が長引いて時折は「骨休み」を入れなければならないと感じ試作で時間を潰してみる事にした。古い案は廃棄のガイドバー2枚を組んで外したチェーンソーの刃を取り付けて研ぐ方式なのだったが「刃を外す手間」が多くて棚上げのままだ。二つ目の案はチェーンソー自体を刃のすくい角30℃に合わせて立て寝かせる固定台だった。この方式だとヤスリの送り方向が水平であるから左右の目立ては同一条件で出来るはずなのだが具体化まではしていない。
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結局、この日チャッチャと作ったのが上掲写真の器具である。これもガイドバーの孔を固定に使う点では共通しているのだがシンプル限りなしで既にある固定器具のように木材に打ち込まなくても使える方式のはずだった。実際に作り使ってみるとヤスリの負荷で架台が滑ってしまうのだった。
予想はしていた事で、そのためにアングルを伏せた状態にしたのだが滑り止めの突起かゴム質で防止する必要があるのが判明した。しかしながらそれを解決さえすれば現場に携行しネジ止めするだけなのだから有用な治具になるはずだ。ゴム材がどこかにあるはずだから滑り止めに裏打ちすれば使えるはずである。鋼材はフエンスの廃材で寸法に切断し曲げ穴を開けるだけの簡単加工で済んだ。
そのあと、駐車場の何時も研磨する場所で使用してみたらそんなに滑る感じも無くチェーンを水平にするためエンジン部下に枕を入れるのだが、これを後部ハンドル下へ移動させると本体の重みが二分割され荷重で動き難くなるのが分った。当座はこのまま使えそうなのでゲージも取り付けて完成した。
何回かセットして研磨してみたが固定器を使わない時と比較すると切れ味が格段に上がったのだ。やはり研磨時に動きやすいのは刃先の角度も出ず切れ味が悪いし左右の刃先が均等に研ぎ難く切削時に曲がって入り易くなる。この治具、小生の案としては久々のグッド!なのだった。
刃研ぎ環境を考慮し実際の作業中に持ち運びながら試用してみたが改良点が見えた。下部の直線をアーチ状にした方が動き難いはずだ。廃用の鋸刃や両端に爪をつけようかと考えてはみたものの危なくなる。やはりアーチ状に削り込んだ方が安心なのだが現在、その作業を行う時間的余裕がないのだ。会のイベントと夜間演劇への手当てが一段落しない限りは先送りだ。日程が決まっていないのは緊急事態、漏水とか断水とかではない限り、まあ、しょうがない後回し・・・。