ウリパパの日記

自由気ままに・・・

ウルビーノのヴィーナス展を見学

2008-05-02 15:53:54 | 展覧会
GW2日目。午前中、上野の国立西洋美術館で開催されているウルビーノのヴィーナス展会を見学してきました。本展覧会ではイタリア各地から貸し出されたヴィーナスを主題とする絵画や彫刻、工芸品などが展示されています。古くは古代ギリシャ神話の女神アフロディテ、ローマ時代のウェヌスに関する工芸品から、ルネサス、バロック初期に至る美しい数々の絵画を堪能してきました。

圧巻はティツィアーノの名作「ウルビーノのヴィーナス」。この作品だけは神話性が一切排除され、官能的な姿が迫ってきます。特にヴィーナスの視線が特徴的です。他の作品は傍らに登場するキューピッドと向かい合っていたり後姿であるのに対し、この絵はヴィーナスの視線が絵を見る我々に注がれているのです。忠誠のシンボルである犬とのバランスも絶妙。神話性を排除したためどこがヴィーナス?と一瞬思いましたが、解説によると赤いバラや窓辺の鉢植え(ミルト)がヴィーナスを象徴しているそうです。この名作はその後、女性ヌードを描く画家にとっての手本となったそうです。

ミケランジェロの下絵に基くポントルモの作品「ヴィーナスとキューピッド」には衝撃を覚えました。よく見ると男性のような筋肉隆々としたヴィーナスの裸体。男性的な筋肉とキューピットと絡む女性的な愛の融合がマニエリズム的に描かれています。

ティツィアーノの「ヴィーナスとアドニス」。ヴィーナスの制止を振りきって狩りに出ようとするアドニス。狩りの最中に猪に突き殺されてしまいますが、アドニスの表情に不吉な予感を感じてしまいました(蛇足ですが、アドニスの流した赤い血からアネモネが咲いたのです)。音声解説によるとキューピッドがヴィーナスを誤って傷つけてしまったことがこの悲劇の発端となったそうですが、その張本人のキュピッドは昼寝を決め込んでいるのです。

最後にアンニバレ・カラッチの2作品「ヴィーナスとサテュロス、小サテュロス、プットー」「ヴィーナスとキューピッド」も印象に残っています。

朝早い時間であったこともあり人出は予想よりも少なく、2時間かけてじっくり鑑賞できました。その後、久しぶりに常設展を訪れ、モネやルノワール、マネなどの近代絵画を見てきました。
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