ウリパパの日記

自由気ままに・・・

第8回イタリア歌劇団公演「シモン・ボッカネグラ」DVD

2008-09-06 21:21:26 | オペラ
1959年から1976年にわたりNHKが招聘したイタリア歌劇団公演。その最終回(8回)のライブ録画が6月にDVDで発売されました。その中から「シモン・ボッカネグラ」を購入し、夏バテ気味の休日、ゆっくりと楽しみました。

出演者は以下の通りです。

  ■ピエロ・カップッチルリ(バリトン)<シモン・ボッカネグラ>
  ■カーティア・リッチャレルリ(ソプラノ)<マリア/アメリア>
  ■ニコライ・ギャウロフ(バス)<フィエスコ/アンドレア>
  ■ジョルジョ・メリーギ(テノール)<ガブリエレ・アドルノ>
  ■ロレンツォ・サッコマーニ(バリトン)<パオロ・アルビアーニ>

  オリヴィエロ・デ ファブリツィース指揮
  NHK交響楽団/日本プロ合唱団連合
  1976年9月26日 NHKホールでのライブ〔日本初演〕

シモン・ボッカネグラはヴェルディの中では超地味ですが、14世紀の北イタリア、ジェノバを舞台にした貴族と平民の間に繰り広げられる愛と葛藤を描いた人間味溢れるオペラです。タイトルロールのカップッチルリとフィエスコ(後にアンドレア)演じるギャウロフが四つに組んだ迫力ある舞台。歌唱と演技、そして貫禄に圧倒されました。演出はメリハリが無くいま一つですが、男性陣を中心に、溜め息が出るほど素晴らしい声のドラマが、映像を通しても伝わってきます。

貫禄と声量一杯のフィエスコのアリア、そして和解を求めるシモンとの一歩も譲らぬやり取り。ヴェルディのオーケストレーションに支えられた男性陣の声の饗宴にプロローグからノックアウト状態。そして25年後の第1幕。ジェノバの総督シモンが娘のアメーリアと出会い抱きしめる場面では、その歌唱と演技の素晴らしさに涙が溢れ出てきます。第2場の総督宮殿では朗々と響き渡る声量と貫禄が見事。パオロに盛られた毒の影響で次第に衰えていく総督、仇敵フィエスコとの和解、そして最後の死力をふり絞り後継者にアドルノを指名する姿と、すばらしい心理描写と歌唱で英雄の悲劇を見事に演じたタイロルロールに脱帽でした。

そして本オペラの紅一点、アメーリアを歌ったリッチャレルリは当時はまだ30歳。その後の活躍からすると歌唱はいま一つという印象でしたが、シモンとの親子の愛、シモンの政敵アドルノとの愛情を美しい声で歌い上げています・

ところで、主役二人を演じたカップッチルリとギャウロフ共に1929年生まれ、この公演当時は油の乗り切った40歳台後半できっとNHKホールの観客はイタリアオペラの声の饗宴に圧倒されたことでしょう。5年後のミラノスカラ座初来日でも、同じシモン・ボッカネグラを、アッバード指揮、ストレーレル演出で共演しましたが、このときは新聞やテレビでも話題になったのを記憶しています。確かNHKの特殊録画技術で収録された公演がTV放送されたことを覚えていますが(全曲?)、こちらも映像化して欲しいものです。

二人共に50歳代になってからのオペラ公演に私は何度か接したことありますが、貫禄十分、ここぞという時の声量は他の共演者を圧倒していた記憶があります。ギャウロフさんは声が衰えるのは早かったですが晩年まで脇役で歌っていましたね。カップッチルリさんは、藤原歌劇団やヴェローナ野外オペラの来日公演を聴きましたが存在感ありました。決して艶のある声ではありませんが、それを補って余りある卓越した歌唱力、声量、そしてすばらしい演技が私の記憶に残っています。

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