4月2日。
来年の定期演奏会の申し込みに川越市民会館へ。てっきり1日申し込みだと思っていたので、昨日やまざき君としまむら君に出向いてもらムダ足させてしまった。申し訳ない。今日は会議がゼロなので、入学歓迎コンサートの仕込みをなかじま先生にお願いして、会館に行った。
同じ時期になりがちな市立川越の森先生とは話がついたので、たぶん希望日をゲットできるだろうと予想でき、そのとおりになったが、前日仕込みの日をある団体と競合し抽選ではずれる事態になった。来年は綿密な計画をし、当日のみで仕込みから本番をこなさねばならない。
とはいえ、年度末とはいえ土曜をおさえられたのでよかった。
第23回定期演奏会は、2015年の3月28日(土)です。
おそらくこの会館を使用する最後の定演になるだろう。
学校にもどり、歓迎コンサートのリハーサルに立ち会い、入学式用に国歌と校歌を練習して終了。
せっかく夕方余裕がある日なので、下北沢は本多劇場に「リバース~あの瞬間(とき)に戻れたら」を観に出かける。
脚本・演出は坂上忍さんだ。いま旬と言える方のつくる舞台とはいかなるものかを観てみたかった。
東日本大震災の一年後に再び大きな地震と津波が北関東を襲い、その後を描く … という作品だった。
当然のことながら楽しい作品ではない。最後まで見たら結果的には癒やされた … ともならない。
安易にお涙ちょうだいにしたり、いい話としてまとめるつもりはない、むしろ人間の黒さ、暗さ、といった闇の部分をえぐり出そうという作者の強い意志を感じられる意欲作だ。
有名な役者さん、芸能人の方も多く出演されていて、お芝居としての楽しみは得られた。
同じレベルの舞台をけっこう見て来たと思う。池袋シアターグリーンの真ん中の大きさの小屋とか、下北沢駅前劇場とか、萬劇場とか。つまり、100席とか150席の小屋で。2000円とかせいぜい4000円で。
正直に言うと、本多劇場で6000円か … 考えたとき、不満足部分がゼロとも言えないこともなかったのだ。もちろん個人的な感覚に過ぎないし、後半すすり泣きも周囲から聞こえたくらい心をうつ作品ではあった。
ハコの大きさや値段と芝居の質とは、あたりまえだけど比例するものでもないなと思うと同時に、自分の表現したいことをより多くの人に伝えるためには、まず別の道で有名になってから改めてそれをやる方法はありだなと思った。
この学校で働かせてもらいはじめた頃、職場のしきたり、教育への考え方、授業の仕方、生徒指導の方針、様々なことに対し、もっとこうすればいいのにと思うことは多々あった。
若いときは特に、自分の考えこそが一番だと思っていて、積極的に意見したりもし、結果として疎まれた部分もあった。いまは、昔の自分の未熟さがしみじみとわかるけど、当時の自分はなぜうけいれられないのかと歯がゆかった。
はがゆいから諦めるわけにもいかないし、逃げ出すのもやだった。自分なりに勉強し、けっこうのめり込んで働いているうちに、自分の視界も広がり、いつしか組織内での立場も変わっていた。
今の立場なら、二十数年前に変えたい、主張したいと思ってどうにもできなかったことでも、淡々とかえていくことができる。
何を言いたいんだっけ?
そうだ、坂上さんだ。けっこうバラエティに出てタレントとして活躍されていると聞く。
その坂上さんの芝居だからこそ、本多劇場が補助席まで埋まるほどのお客さんが来ていることは否めないだろう。
「いいものは自然に人が集まる」などと言って積極的に宣伝したりするのをためらうのは、ぎゃくに自分の作品、自分の志に失礼なんじゃないかな。
自分の言いたいことを伝えるためなら、いやな人にも頭さげるし、作り笑いもするし、不慣れなバラエティではしゃいで番宣するし、みたいな姿勢の役者さんに、今のおれは心ひかれる。