「学年だより」ボツネタ。
今年のお正月に「セッションズ」という映画を観た。
~ 障害者の性を題材にしたヒューマンドラマ。首から下がまひして動けない青年が、38歳にして童貞喪失を敢行しようとする姿を描く。 … 幼少時に発症したポリオが原因となって、30年以上も首から下が動かない状態にあるマーク(ジョン・ホークス)。思うように体を動かせないだけでなく、重度の呼吸障害も抱える彼は、鉄の肺と呼ぶ巨大な呼吸器の中で、一日のほとんどを暮らしている。38歳になった彼は、美しいヘルパーのアマンダ(アニカ・マークス)に恋をして心身共に愛する女性と一つになりたいという思いを抱くように。旧知のブレンダン神父(ウィリアム・H・メイシー)にも背中を押され、彼はセックスセラピストのもとを訪ねる … 。 ~
という内容の作品だ。
R18指定作品なので、みなさんが3年生になってから紹介しようと思っていた。
観に行くにあたっては、R18指定作品であること自体にかすかな期待をもっていなかったとは言えない。
え? どんなって … 、そりゃあ、やっぱり … エロエロな方面でだよっ!
しかしながら、もちろん気持ちのメインは、障害をもつ人にとっての性の問題を、自分なりに何か受け止めることができるだろうかという、道徳の教材を探す気持ちで出かけたのだ。
初めて行った新宿のシネマカリテは、小ぶりながら実に機能的で、しかも落ち着いて鑑賞できるいい映画館だった。
作品への期待は、思い描いていたのとは全く別種のものとして、そして十分に叶えられた。
ヘルパーのアマンダに恋心を抱いたマーク。
しかし、彼はその気持ちを告げることができない。
こんな体の自分がアマンダに受け入れられるはずがないと思っていたからだ。
しかし、アマンダと結ばれたい、女性とそういうことに及びたいという思いを消すことはできない。
セックスセラピストという存在を知ったマークは、6回のセッションを受けることを決意する。
マークの思いと行為とは、簡単に結びつかない。
ことがことだけに、精神的においつめられたり、プライドが傷ついたりすることは、同じ男として想像に難くない。
しかし、シェリルの献身的なセッションで、マークはついに目的を遂げる。
たんに身体的に結びつくだけでなく、精神的にもお互いを思いやる気持ちで結びつくことが大事という彼女の思いが、マークを支えてくれた。
問題は、ある意味当然とも言えるが、マークがシェリルを好きになってしまったことだ。
シェリル自身も、マークへの思いがわいてくるを自覚すると、残りのセッションを行わずにマークの前から姿を消す。
シェリルにかぎらず、マークのそれをかなえてあげようとする周囲の人々の温かさも心に残った。
マークは、その後、知り合った女性にふつうに声をかけられるようになる。
生涯をともにできる女性とも知り合うことができた。
もともと詩を書いたり、雑誌記事を書いたりして生計を立てられるほどの知力をもつ彼だ。
支えてくれるたくさんの人の存在がいたのは、彼の、前向きで、ユーモアのある会話のできる人柄による。
対女性に関してだけ抱いていた引け目から解き放たれさえすれば、一人の魅力的な男だった。
マークにとって問題なのは、障害ではなく、ハートだったのだ。