学年だより「宝くじ」
通学時間が長くて勉強時間がとれない、先生の教え方が悪いから成績があがらない、経済的に苦しいから自宅を出て大学に通うのは難しい、練習時間が短いからチームが強くなれない、男子校に通っているから彼女ができない … 。もっとお金があったら、自分の好きなことをせいいっぱいやれるのに … 。時間さえあれば、やりたいことにどんどんチャレンジできるのに … 。
経営コンサルタントの神田昌典氏が家族と電車に乗っていた時、こんなセリフが聞こえてきた。
「宝くじで、7億円あたったらどうする?」おそらく20代前半の若い男女の会話だ。
「そうだな、マンションを買って月々の家賃収入で、遊んで暮らしたいな」
「あたしは会社をやめて自分のヒーリングサロンを開きたい」
~ 私は、この女性に思わず駆け寄って、いきなりレクチャーを始めちゃいそうでしたよ。なぜなら、本当にやりたいことがマンション経営だったりサロンを開くことだったりするなら、宝くじが当たるまで待たなくても、いくらでも方法はあるからです。
昔は、たしかに宝くじが当たることを夢見ることは意味がありましたよ。
なぜなら、ビジネスをスタートすること自体に、非常にお金がかかりましたから … 。でも、いまはビジネスをスタートするのに、お金がかからないのです。だから宝くじを買っているあいだに、自分の才能を使ったビジネスを始めることを私は提案したいと思います。
宝くじを買わなくても、いま、この瞬間に、「本気でやろう」と思えば、彼女の夢はすべてかないます。その可能性が目の前にあることを知ってほしいのです。 (神田昌典『成功のための未来予報』きずな出版) ~
「自分のやりたいことって何だろ、よおし、進路関係の雑誌を読んで考えてみよう」
「そろそろ自分の夢ともとう、何にしようかなあ、よし考えてみよう」
やりたいこと、夢、志とは、こんな風に考えて、わいてくるものではない。
むしろ、気づいたらやっていたこと、それをやらずにはいられない「何か」だ。
宝くじが当たらないかぎり始めないものであるなら、それは本気でやりたいことにはならない。
「宝くじに当たる」ほどのことでなくても、われわれは、つい「タラ・レバ」を言い訳にしてないだろうか。
もう少し時間があれば、もう少し自分の地頭がよければ、他の学校に行ってたら、あの時こうしておいたら、一年のときにあれだけはやっていたら … 。
そうしたら別のちがった充実した生活があったかもしれない、と。
現実にはどうすることもできない「タラ・レバ」を想像するのは、宝くじに当たることを待つのと同じだ。
交通事故で命を失うことよりはるかに確率が低い、宝くじ当選に期待するのはやめて、目の前のことを言い訳しないでやっていこう。
やりたいことをやれるようになる、一番の近道だ。