学年だより「就職力(1)」
どの大学を第一志望にすればいいか。何学部にすすめばいいのか。
こういう職業につきたいという気持ちが固まっている人以外は、今後悩むべき問題となってくるだろう。
とくに文系のみなさんは、学部ごとに何をやるのかが非常にわかりにくいと感じているはずだ。
法学部は法律を学ぶ、経済学部で経済の仕組みを学ぶ、という言葉だけの理解をして、けっきょく就職にはどちらが有利なのか、という発想が先に立ってしまう。
たとえば、経済学部と経営学部と商学部とはどう違うのだろうか。
さらに、経済学科、経営学科、商学科、金融学科、会計学科、国際経営学科、会計情報学科、会計ファイナンス学科、会計情報学科、企業経営学科 … 、と学科名までみたとき、いったい何を基準に選べばいいのかと考えてしまうかもしれない。
結論から言うと、どうでもいい。
経済系の学部を目指すのであれば、漠然とこういう勉強をするのだろうという予備知識程度は必要だが、大学毎にどこがちがうのかを調べ、理解して、自分にあった学部・学科を選ぼうとなどと考えるのは時間のむだだ。その時間を勉強にあてた方がいい。
A大学の経済学部の中身と、B大学の経営学部に中身が大変似通っているとか、C大学が「うちでしか学べない」ぐらいにアピールしている内容が、D大学で普通に学べたりする。
まして、これらの学部、学科のなかで、就職に有利不利があることはない。
自分に向いているのが、経済系なのか、経営部系なのかも、実際に学んでみないとわからない。
もちろん違いはある。理論派タイプの人は経済系がいいとか、現場主義の人は経営系がいいみたいに、人間のタイプと相関する学問分野はある。
でも、かりに経済学部に入ってから、理屈よりももっと現実の企業経営とか会計とか学びたいと思うようになったら、そういう科目を履修すればいいだけのことだし、授業がなければ本を読んで大学の先生に習いにいけばいいだけのことだ。
大学の先生は、ものすごく喜んで教えてくれるだろう。そんな学生はめったにいないから。
法学部とか社会学部とか、別分野に話を広げても、今の話はだいたいあてはまる。
その学部・学科でいったい何を学ぶのか、それが自分にあっているのかあっていないのか。
それは、実際に行って学んでみてはじめてわかる。
現実問題として、自分のやっている学問とはこういう内容なのかなと漠然とわかるまでに2、3年はかかる。
そうこうしているうちに、就職活動の時期になってしまうので、文系の学生は、自分の取り組んだ学問がどのようなものか、判然としないままに卒業していくのが普通だ。
逆に言うと、学問に打ち込み、その内容をそれなりに語れる学生の場合、「サークルの副部長やってました!」とか、「アルバイトで副店長を任せられました!」とか言うよりも、面接での評価は大変高くなる。