中学時代の同級生が、長い長い都会生活に別れを告げ、このたびふる里岩国へ帰ったよ、との葉書をくれた。「ようやく岩国に帰りました、いずれお会いできる機会があれば・・・」と、昔のまんま彼の人柄を偲ばせる丁寧な報せである。
思い起こせば70年前、互いに紅顔の美少年??だったころ、別々の小学校から一つの中学校に。そこで初めての出会いである。気は優しくて力持ちを地で行くような、柔和な柔道部員であった。何故かウマが合って2年・3年時代は何かにつけてそばにいてくれたような、そばにいたような気がしている。学業も私なんぞとは比べ物にならないほどよくできて、大学に進学した。
そして不思議なご縁はまだ続いていた。私は高卒で地元大企業に就職した後、彼は同じ会社に本社採用で入社し研究所畑を歩いていた。レールは異なるが同じ釜を飯を食った誇らしい同級生の一人である。そして50歳を迎えたときの中学校同窓会に出席して以来、喜寿までに8回開催した中学校同窓会の準レギュラーとして数回参加してくれた。
晩年の私に本社勤務が命じられたとき、本社デスクにいち早く訪ねてきて夕食を共にしながら、本社事情を色々話してくれたのも彼である。今では中学校同窓会を開く馬力もなくなったが、個人的な付き合いは出来る。もうしばらく同じ空気を吸える懐かしの友の出現はありがたい。