少し古い話になるが、2021年に制作されたドキュメンタリー映画「くじらびと」(監督 石川 梵)を鑑賞するチャンスを得て、今日午後岩国市民文化会館で鑑賞した。
岩国ユネスコ協会創立60周年記念として催されたもので、たまたま協会長さんと顔なじみのご縁で、珍しく映画鑑賞に出かけたというお話。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)とは、今さら私など不勉強な者が申し上げるまでもなく、先刻ご承知のこととは思いながら、会場で頂いた数々の資料に目を通す中で、私なりに少し感じたことをおさらいしておきたいと思ってここに記すことをお許しいただきたい。
ユネスコとは、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関のことを言う。と書かれている。
ということは、現在の世界情勢は、至る所多くの国でユネスコの精神とは全く逆の現象、つまり国際平和と人類の福祉の促進、などという高貴な精神など微塵もなく踏みにじられているではないか、と単純に素直に感じてしまう。もともと国際連合という組織が全く体をなさない弱体化に問題がある。都合が悪くなったら大国であるがゆえに拒否権なるものを発動させて、侵略や際内紛争・国内紛争、世界秩序無視といった横暴が許されるこの仕組みがおかしい。いっそトランプ氏が、世界を相手に大喧嘩するつもりで『国連』を権威ある姿に戻してみればいいのに、なんて勝手なことを考えてみたりする。
映画「くじらびと」は、今も銛(もり)1本でクジラを捉えて島民の空腹を満たすという、生きることと動物の命を奪うことの罪深さにさいなまれながら、神に祈りを捧げることで許しを請う、そんな内容だったと思う。くじら食文化を受け継いでいる我が国も、飼育してもいない海洋動物くじらを捕ることで顰蹙をかっているが、飼育している動物は食ってもいいが、くじらはダメだという理論も噴飯ものである。くじらを際限なく野放しにすれば、エビや小魚は海から消えてしまう恐れも考えないといけないんじゃないか。色んなことを考えさせられるユネスコ、くじらびと鑑賞であった。