「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「伝統を背負って」

2015年11月16日 | 家族・孫話

               
               参加することに意義を求めて、カー君       準優勝、関脇に叶う、兄ちゃん

孫兄弟が住んでいる地区には、『天下御免 豊太閤官許 田浦(でんぼ)相撲』という古式ゆかしき伝統行事がある。
地元の民俗芸能保存会によって手あつく守られており、今年423年目を迎えたという。
但し、年に複数回相撲大会が開かれたこともあって、回数としては今大会が435回目だということであった。

由来のあらましは、423年前、豊臣秀吉一行が文禄の役(1592年)朝鮮に出兵した際、瀬戸内海のこの地に「風待ち」のため仮泊した。数日間の滞在となったため、将兵の志気を鼓舞することや慰労の具として、相撲をとらせた。当時はちゃんとした土俵もなく、田んぼが土俵となった。それ以来この相撲大会は『田浦相撲』と書いて「でんぼずもう」と呼ばれている。しかも、豊臣秀吉から許可を得たことから「豊太閤官許天下御免」の旗印が受け継がれている。
そして現在でも、通津小学校校庭の一角には「鋼鉄四本柱屋根付き」の本格的土俵がしつらえてある。今は男女関係なく土俵に上がっている。

そんな恒例の由緒ある相撲大会。土俵に上がるのは、小学生は予選通過の選手だけ。服装は普通の体育服。
中学校は、クラスの中で適当に選手を決める。上半身裸、体育用半パンの上から、まわしを付ける。
市の相撲連盟から派遣された指導者が、本格的にまわしを締めてくれる。何もかもホンモノ仕立てである。

どういうわけか、クラスでも身体は2番目に小さいカー君が出場することになったという。ま、いいか「オリンピック精神にのっとって・・・」
かっこうだけは一人間。大きな相手の身体に巻き付いて、土俵際で勝負はもつれた。審判から「物言い」が付いた。
協議の結果、相手の勇み足の前に、カー君の身体が完全に出ていた。ということで敢え無く一回戦敗退。でも出場した通気に拍手。

兄ちゃんはそうはいかない。小学校時代から予選突破の常連選手。足腰はスキーで鍛え上げている。
順調に勝ち進みいよいよ「大関」という優勝をを目指して決戦。互角の勝負、強引な勝負手が裏目となって、残念準優勝。
「関脇に叶う」という梵天を手に、嬉しさ半分口惜しさ半分。小中通じた田浦相撲の選手を卒業した。

     
             化粧まわしも凛々しく弓を大きく回して       肩に担いで、ヨイショッ!四股踏みにかかる兄ちゃん
 
これほどの由緒ある相撲大会だけに、儀式など相撲に関わる一連の行事は全て、大相撲並みのしきたりが織り込んである。
呼び出しも行司も勝負審判も、そして最後の弓取式も。
兄ちゃんは最後を飾る「弓取り式」を任された。化粧まわしを付けて、土俵の真ん中で左右に大きく弓を回し、チリを祓って四股を踏む。
大きな掛け声にちょっと照れながら、教わった通り堂々とやってのけた。世話役のお年寄りからお褒めの言葉がジジに寄せられた。

兄ちゃんにとって、栄光も悔し涙もあった9年間の慣れ親しんだ土俵に、弓取り式という晴れ姿で別れを告げた。
次なる試練に、この日のような晴れやかな笑顔を見せてくれることを、静かに期待しよう。 そして有難う孫兄弟!

コメント (6)    この記事についてブログを書く
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6 コメント

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かっこ良い兄弟!! (ピヨピヨ)
2015-11-18 10:39:04
スポーツマンお兄ちゃん、何と素敵な笑顔で長い9年間を良い成績と大役で締めくくりだったのですね。
表現力豊かなカー君は、この日の出来事をどんなどう表したのか興味がわきます。
次に控える、悠雅君の活躍も今後の楽しみになってくるのでしょうね。
流石伝統ある相撲大会、何から何まで本格的に行われるのですね。

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「栄光も悔し涙も」 (阿貴)
2015-11-18 11:00:49
またひとつ素晴らしい体験を積んで、じんわり心に宿った力があることだろうと想像します。
弓取り式の大役を担ったことも、9年間の締めくくりにふさわしい晴れ姿です。
まじかで成長を見守られて、感動ですね。まさに「ありがとう」のことばを掛けたくなりますよね。

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頼もしい兄ちゃん達 (takeko)
2015-11-18 11:29:56
かっこいいー!ジーちゃんの顔が目に浮かぶよ.幸せ者じゃ.
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ピヨピヨ さん (yattaro-)
2015-11-18 21:44:10
兄ちゃんは生まれ持った運動神経はあるようです。
カー君にはまた別のものがあるようで、それなりに楽しませてくれます。
民俗芸能保存会の顔ぶれを見ても、本当に熱心な方ばかり。
だからこういった伝統行事が大切に引き継がれ、ほんまもんの良さを味あわせてもらえる彼らは幸せ者です。
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阿貴 さん (yattaro-)
2015-11-18 21:51:13
選手としても頑張ったのですが、弓取式という、選手とは一味異なる体験をさせてもらって、有難いことです。
多くはしゃべりませんが、自分の中で「やったよ」という思いはあるようです。
これで、このような地元の行事との付き合いが薄れるのはジジにとっても惜しいような気がしますが、これも成長の一歩と考えることにしましょう。
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takeko さん (yattaro-)
2015-11-18 21:54:45
兄ちゃんもカー君も、それぞれに自分の思いをしっかり持ってやってくれるのが嬉しいよ。
ヒヨヒヨのカー君。負けても笑顔を見せるのがいいような悪いような。
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