同級生に電話を入れ、「もみ殻」を求めに、彼の持つビニールハウスを訪ねた。
大きなビニールハウスの戸を開けて声を掛けたが、その広さとラジオからの音楽で届かない。
かまわずに、ずんずんと広いハウス内を歩いて作業中の彼に話しかける。
懸命に「ウルイ」の収穫中だった彼はようやく気付いてくれた。
にょきにょきと伸びた「ウルイ」は丁度収穫適期となり、
もみ殻のベッドに、テレビで見たことの有る、ホワイトアスパラの収穫器具のようなもので収穫している。
「ウルイ」のベッドはこんな風に土にもみ殻を掛けて出来ている。
向こうのまだ、ビニールの覆いを掛けられたベッドのところには使用済みの「もみ殻」も見える。
忙しそうに収穫を続ける彼に遠慮しつつも見学しながら話をする。
礼を述べ、別れを告げると「食べるか」と言いながら採ったばかりの「ウルイ」を貰った。
栽培の山菜など、不味いものと言う先入観が有ったが、この「ウルイ」は別物だった。
山で採る「ウルイ」とは別物の、美味しい野菜に変身していたのでした。
山菜の「ウルイ」は、私の場合は、まだ先のとがった小さな物を主として収穫する。
そして、茹でて少しぬるぬるとした若芽を「ヌタ」として食べるのがふつうの食べ方。
でも、この栽培し軟白化した「ウルイ」は生で食べても驚くほど美味しい。
生のままでマヨネーズを付けたり、味噌を付けたりしてその目新しい味を堪能。
この白さが命なのかもしれない。
聞くと、消雪のために屋根上から流す地下水が暖房の役目も担うと言う。
そして、芽出しを促すためにベッドの下には電熱線が入れられていると言う。
収穫を終えては、畑で畜養した根をベッドに並べてもみ殻を掛けて発芽を促す。
一冬に何回かこんな作業を繰り返し、切れ間無く収穫を続けると説明してくれた。
「君もハウスを建てて始めたらどうだい」と真面目な顔つきで言われて驚いた。
冬場の仕事としては、暇つぶしどころでは無い収入を彼にもたらせているような口ぶり。
ま、一朝一夕に真似の出来ることでも無いけれど、大いに興味はそそられる。
すぐにその気になる私は、一昨日農器具屋に立ち寄り、見積もりを依頼したところです。
こんな大きなハウスが出来たら、野菜の苗作りも可能だし、夏場はトマトだって作られるはず。
でも、私に残された時間はそうは多くも無いはずで、先のことを思うと悩むところです。