(烏のカッコと母と妹)
「烏」-2
ある日の事、小学生たちがはしごを担ぎ賑やかに来る。見るとまだ羽根の生え揃わない、
カラスの雛を何羽か抱いている。私が独活(ウド)を採りに行った際に見つけて、
巣の在りかを教えたカラスの巣から、親の襲撃をかわしつつ、捕まえてきたのである。
私が教えたのだから、一羽を譲ってくれと頼み、小柄ではあるが気の強そうな一羽を選んだ。
幸い家族全員が動物好きな我が家。誰も非を唱えることも無く、私のいない日中は、
母が面倒を見ることになった。
他の家に行った子カラスは、全て死んでしまったが、母の世話のお陰か「カッコ」と名付けた、
我が家のカラスはすくすくと成長した。雑食性であり、餌に困ることも無い。
猫と同じに家に上がり込み、食卓のおかずをさりげなく見回し、気に入ったとなると、
すばやく咥えてしまうのだった。
畑仕事には当然のような顔をして付いてくる。母の背負った籠の縁にとまり、
坂道をゆらりゆらりと揺れて行く。畑ではコオロギなどの昆虫が大好物で探し回る。
赤い布切れを首に巻いてあげていたので、隣の畑に行ったりすると、
その畑の主は「赤い首飾りをしたカラスがいる」なんて大声を上げて驚いていたものだった。
(続く)