こちらの畑への珍客は「ムジナ」で彼等もスイカは大好き
「狸とスイカ」-2
それまで全く狸の進入の形跡が無かったので油断して、
簡単に結び合わせて補修した。
目敏い狸は、わずかな隙間を見つけ出し侵入し始めた。
ある日の朝、大根の畝を作ろうと山の畑に行って驚いた。
スイカ畑から二十メートルも離れた畑の中に、
大きなスイカが一つ鎮座している。
回りに狸の足跡はあるが、スイカには噛み跡一つ無い。
転がしたような形跡も見当たらない。
「狸とスイカ」-2
私の頭の中を色々な推理が渦巻いた。
もちろん見た訳ではないので真相は分からない。
しかし、何匹かで担ぐ。何匹かで抱える。
などと想像して、犬のマックスに推理を話しかけ、一人で笑ってしまった。
そして昼食に帰宅し、一休みして再び畑に行って驚いた。
畑の真ん中にあったスイカが、影も姿も無く消え失せていたのである。
午前中私が仕事をしている間、藪の中からスイカが心配で見ていたに違いない、
と思わせる様な状況である。
まー良いだろう。今のところは深刻なトラブルも無い。
ここは一つ気前良く狸たちにプレゼントしよう。
(終わり)