畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載94-2「バンビの事」(その2終わり)

2016-12-25 07:14:37 | 暮らし

   「バンビの事」-(2終わり)


  そこで「バンビ」に手振りをしながら話し掛けた。「こうしてな、首に巻いていた手拭いを落としてしまったよ。バンビ、見つけて来なさい。」と。

 

 しばらくしてゼンマイ採りを続けていた婆ちゃんの前に、手拭いを咥えた「バンビ」が現れたそうだ。本当に賢い犬で、私の話を理解したのだと、嬉しそうに話した。


 そしてしばらくの後、どんな事情かのっぴきならぬ理由が出来たらしく、

そんな可愛がっていた「バンビ」を手放してしまった。

二十数キロも離れた小千谷の鯉飼いに譲ったのだと言う。

 

 我が家は「バンビ」が貰われた小千谷の家と母の実家のほぼ中間に位置していた。

 ある日外で何かしていた私が、ふと国道を見ると「バンビ」がトコトコと歩いているではないか。

「バンビ!バン!」と大きな声で呼んだ。バンとも略して呼ばれても居たのだ。

その犬はチラッと私に視線を向けたが、立ち止まりもせずに歩き去った。

国道もまだ砂利道で、車の通行もまれではあった。


 似ていたが違うな。「バンビ」のはずが無い。それにしても似ていたと思った。

その頃は犬の放し飼いだって珍しくも無かった。

 

 しばらくして、驚くべき話が聞かされた。やはりあの犬は「バンビ」だったのだ。

痩せてやつれ果てた姿で実家にたどり着いたのだったと言う。


 そして、そのまま床下に潜り込み死んでしまったのだそうだ。

話を聞いて涙がこぼれた。どうしても帰りたくて、命がけで帰ったのだ。

しかし、疲れと自分の居場所が無いと言う絶望感からか、

哀れ餌も食べずに死んだのだ。


 哲学者じみた垂れたヒゲの顔が思い出され、その気持ちに考えさせられ、

私の思い出し泣きの涙は止まらなくなってしまった。


             (終わり)

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十二ヶ岳に登る(その2)

2016-12-25 04:41:09 | 登山

 杉とヒノキの樹林帯を抜けると「見透し台」と言う標識にぶつかる。

読み方は何だろう普通だと「見晴台」ですけれどもねー。何か曰くがあるのかな。

 

 でも、名前の通りと言うか絶景が見えるポイント。

気取って松の葉を借景と言うか前に意識して入れてみました。

  

 

  山すその斜面に広がる市街地は「伊香保温泉」だと言います。

その手前にはゴルフ場も見え、なんと他にも6カ所のゴルフ場が見えましたよ。

 

  さて、その「見透し台」からの登りがきつかったですねー。

カメラを操作しているうちにスタートが一歩遅れ、なかなか追いつけません。

 スベルべよりも年上の先輩も、そして女性たちも健脚なことは驚くばかり。

必死で追うと、心臓が口から飛び出しそうな気がしてきましたよ。

 

  そして、ラスト5分は最後のもがき。

急登と言う事でしょうか、コース中で唯一のロープが張ってあります。

 

 昨年登った「掃部ヶ岳」も同じような場所がありました。

 火山性の山が多い群馬の山の特徴でしょうか、垂直に近い斜面です。

             (続く)

 

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