夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

北森鴻著「写楽・考」新潮社

2006-09-02 23:05:00 | 本と雑誌

蓮丈那智フィールドファイルⅢ

「憑代忌」助手の内藤の写真を欲しがる学生達の思惑はエスカレートしていき

そんな時 那智から言われ調査に行った家で殺人が起きる

それは人形が原因なのだろうか

「湖底祀」湖底に鳥居があると言う だがそれ以上はないだろうーと那智は言う

遺跡に罪なく めぐる人間に悪はある

「棄神祭」那智の学生時代につながる出来事 しみじみした思い出と 当時から那智は那智なのだと納得させられる

その一言ゆえに 殺人は起きた

「写楽・考」 行方不明の男は どうなったのか 

そして冬の狐 陶子も出てきて 北森ファンには嬉しい短編です

このタイトルは おおいなるヒントにもなっていますね

夢のある作品です

再読

何度読んでも面白い そして細部を忘れている自分に気がつきます

名前が出てこない狐目のお方が 私は好きです


「暗号名はゼロ」―9―

2006-09-02 01:28:22 | 自作の小説

赤いハート形の城門が開くと 様々な女性の肢体をモデルに整えられた木が 道に沿って並んでいた

二人が車を降り 入口へ進む石段を上ると 扉が開いた

緑と水色の水玉模様のアンディが満面の笑みを湛え 芋虫のような指がついた手を差し出す 「ようこそ!」

レベッカに差し出された手を ゼロが握り締める

「ご招待戴き有難うございます 素晴らしい内装ですね 実に芸術的だ」

こっこの お~嘘つき!

褒めちぎるゼロの声を聞きながら レベッカは呆れかえっていた

カーテンは金色の水玉 壁紙はピンクの水玉

壁一面にリカちゃん人形が飾ってあった

その人形のドレスも全て水玉である

「お部屋に案内させるわね 来てくれて本当に嬉しいわ」

おまけにアンディは似合いもしない おねえ言葉で喋るのだった

「本当に本当に長い事待ってたの 一緒にしたい事が いっぱいあるのよ~」

正直レベッカは帰りたくなった

「こちらへ」世にも陰気な声と共に老女が現れた

「待ってるわ~レベッカちゃん ウフ・・・」 アンディの声に『待たないでいい!』と思うレベッカ

レベッカに与えられた部屋は 広いベランダがついていた

他の部屋に案内されたはずのゼロは ベランダから入ってきて あちこちに布をかけた

でもってメモを見せる―盗聴器とカメラ―

小声でレベッカは尋ねる「ゼロの部屋は?」―細工してきた―

大丈夫 おかしなことは させない

と ゼロは言う


大倉崇裕著「福家警部補の挨拶」東京創元社

2006-09-02 00:48:57 | 本と雑誌

大倉崇裕著「福家警部補の挨拶」東京創元社
小山 正さんの熱のこもった解説によれば 著者は 「刑事コロンボ」の放送を テープ録音するほど 少年時代からファンであったとか

長じてコロンボのノベライズ本を出すくらい コロンボの同人誌の熱心な書き手でもあると

そんな著者が 同じくコロンボ狂の仲間の協力のもとに 上梓した一冊

読み始めて意外の感を持ったのは 彼らのコロンボ―福家警部補は女性だったのです

小柄で刑事には見えない そんな彼女は事件解決の為には徹夜も厭いません

「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」 以上4作で犯人と丁丁発止 鮮やかな手腕を見せます

「三人目の幽霊」では北村薫さんを彷彿とさせる作風

「ツール&ストール」では軽快なキレの良さ 「七度狐」ではホラー的な味わいも

「無法地帯」では これちゃんと話としてまとまるのか おい!と心配する(笑)うち大団円

本当に一冊ごとに 色々な顔を見せる小説家です

ミステリが好きな読者なら注目していて損はありません

新作を楽しみにし 探し回って買っております