夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「暗号名はゼロ」―20―

2006-09-29 21:54:09 | 自作の小説

ゼロといれば暗闇でも怖くない 「一生懐中電灯は必要ないな」

非常識なほど頭が光り輝いているから

「証拠って」

「自分たちでベラベラ喋ったろ あれリアルタイムで録音送信

今頃 部隊が ここへ向かっている」

「で終わり?」

ゼロは答えなかった

ゼロの両親が捕まるのだ 異母弟も

内心どうなのだろう

「檻の中にいていただいた方が安心できるってものさ」

レベッカの心を読んだかのように ゼロが言った

「そうはさせんぞ~~~」

戦車のような車椅子に乗ったオオゾン・フエルズが 追いかけてくる

「待て~金儲けの素~~~」

待てと言われて待つ奴は ふつういない

だがゼロは壁に張り付いた 「先に行かそう」

勢い良く車椅子は走っていく 何処かに衝突したのか 凄い音がした

「気の毒な人だ こっちへ行こう」ゼロは次の角を曲がった

「ところでターザンごっこ好き?バンジージャンプは?」

ゼロの問いにレベッカは凄くスゴーク嫌な予感がした

「こっちの道は早道だから」 言うやゼロはロープを掴み レベッカに端を巻き付けた 「行くぞ」

床がバタンと音立てて開き 二人の体は外に 空中に投げ出された

「地下にいたんじゃなかったの?」

「作り手がいかれてるだけに 常識外れの建物なんだ」

すると下で声がした 「レベッカちゃん み~~~っつけ」 アンディだった

どうにも緊迫感に欠ける

しかし取敢えず脱出なのだった


京極夏彦著「邪魅の雫」講談社

2006-09-29 15:25:11 | 本と雑誌

京極夏彦著「邪魅の雫」講談社
探偵 礼二郎の従兄弟 今出川欣一から 益田への命令というか依頼は

―何故続けて 礼二郎の縁談が壊れるか 妨害工作をしている者がいないか調べろ―

というもの

黙っていれば眉目秀麗 学歴優秀 元子爵の家柄で財閥

それが相手側が望んだ縁談なのに 会う前に断ってくる

おかしいだろう―と言うのだ

事が事だけに 調べあぐねた益田は 京極堂こと中禅寺秋彦や 小説家 関口に 礼二郎の過去を尋ねるのだが

いっぽう 先の事件で降格処分を受けた 刑事 青木は ひっかかる事件を 先輩 木場に相談する

犯人も動機も 分からぬ 連続殺人

毒殺された誰か分からぬ女性

彼女につきまとっていたらしい男

常にない言動の礼二郎

捜査は迷走する 死体は増える

そして拝み屋 京極堂の 憑き物落としが 始まる

ひと雫 そのひと雫持ちて・・・

ゆえに 愚かな心は罰を受ける

「ぼくは きみが きらいだ」

平成十八年度版 講談社ノベルス 京極夏彦全作品解説書 つきです

817頁なり はんぱでない厚さです 屁理屈の山を読み進めば・・・現れた姿はねじれた事件

個々の思い込みが 重なるようで異なる

苦悩する探偵は 空腹になり 魚が食べたくなる

それでも・・・彼女にとっては 忘れられない人

余程のメンクイ もしきは 変わった趣味であったのか

かなりはた迷惑な想いだが 恋物語 と言えなくもないかな