夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

畠中恵著「百万の手」東京創元社

2006-11-02 23:18:13 | 本と雑誌

畠中恵著「百万の手」東京創元社
中学生の夏貴は 死んだ父に生き写しのせいか 最近母の言動が常軌を逸してきた

異常に行動を疑い嫉妬するのだ

たまったものではない 今日もたまらなくなり部屋を飛び出し 親友の家に

だが その家は燃えていた

止めた手をふりきり友は炎の中へ

夏貴の手には 友の携帯が残った

その携帯から死んだはずの友の声がした

火事の原因を調査してほしい

そんな夏貴の前に次々に起こる事件

それは彼の出生に結び付いていた

クローン人間は存在しても良いのか?

夏貴の新しい父となる東が 物語を安定させます

こんないい男が何処に落ちていたんだ?と思いつつ

スーパーマンじゃありませんが

頼れる存在って いいですね

読み応えのある本です

「しゃばけ」シリーズとは また違った味わいがあります

読んで損は ありません


「紅葉狩り外伝―妖怪始末人―2―」

2006-11-02 19:20:48 | 自作の小説

いつからか人がいつかなくなり ほぼ無人島と化した島

近くで下ろして貰い ボート漕いで島へ

夜は流れの関係か島から出られない―とか

「刑務所によさそうだ」と亜貴欧

「お前また変な本読んだな」

「フランスでさ 島が刑務所っての」

二重人格まではいかないが こいつの中に こいつでない こいつがいるように思える時がある

普段はあけっぴろげだが 時々凄みをます

背は190をちょっと切る俺と同じくらい 髪は僅かに栗色を帯びている 色が白い 若殿様みたいな育ちの良さを漂わせている

年上女が好みそうな甘い優しさがある

そこが生きてる間は人間だったが 死んでから吸血鬼になった俺の従兄弟 令一さんとの 顔は同じでも違いだろう

「あ・・・島へ上る前に お守り」

と言って紅葉をくれた 亜貴欧は紅葉を操る 陰陽師の式神のようなものだろうか

植物やら小さな生き物そんなあたりを手下代わりにしている

「言葉の通じる相手なら呪(しゅ)もいいけれど通じない相手なら どうしようもないじゃん そう言うのだった

ところで運悪く 力及ばない化け物と遭遇したら どうするか

みっともないが 俺は助っ人を頼む事にしている

人にして人に非ず 真姫と言う 異世界から魔物封じの家系である 彼女には異世界の親友が いるのだった

人の形をとる時は いずれもゾッとするほどの美形となる

俺は裏の仕事に行く時は 真姫(まき」さんに 連絡をいれておく 終わったあとは報告も

たいていの妖怪は寂しがり屋で臆病で 人間に害なそうなんて 思っちゃいない

ごく一部の悪しき存在(モノ)が 人間にとって代わろうとするのだ

叔父の鷹夜は 島の不気味な変化についての調査を依頼された

その島では一時間日の出が遅く 一時間日没が早い

青空を見ることが少ない

何故?

魔を見る力があるという犬も猫も急死か行方不明となるかで いつくことはない

それでも叔父が来た頃には 海岸沿いに漁をし 畑耕す人々が わずかに残っていたそうだ 「ありゃ~死霊が出るけぇ」 船を出すのを嫌がった一人は そう言った


「紅葉狩り外伝―妖怪始末人―1―」

2006-11-02 17:34:43 | 自作の小説

父の弟 つまりは叔父が妖怪退治なるアナログな仕事をしていると知ったのは 小学校の終わり

「内緒だよ」と叔父 狩生鷹夜(かりゅうたかや)は言った

血筋の中に素質ある者のみが引き継ぐ仕事なのだと

「結構命に関わる ま 余程の変わり者か物好きでなくてはね」そう笑った

おもえばあの時に 選んでいたのかもしれない

色々変わったモノが見える理由が判った

やがて時々叔父は相棒として声をかけてくれるようになり

割りのいいバイトとして手伝っていた

叔父は何処かの神社さんから 依頼を受けて動いていた

姫巫女と呼んでた恐いような美少女が連絡係 長い髪 少しつり上がった大きな瞳 にこりともしない表情 結ばれたままの唇

高3の夏 叔父が消えた

叔父の最後の仕事は 瀬戸内海の島 ある無人島で続く怪異を調べ できれば治めること その場所が 幾ら調べても判らなかった

それから―大学で死んだ従兄弟そっくりの男に会った

妙に変な力持つ男 相棒としては このうえなく頼もしい 彼の名は 高崎亜貴欧(たかさき あきお) 同じ会社にひっぱって 旅先で 亜貴欧は自分の運命と正体を知った そして俺は漸く 叔父の消えた島を突き止めた

叔父が消えたのと同じ夏

俺と亜貴欧は その島へ渡ることにした

「先輩って辺鄙なとこが好きですよね」

俺でなしに妖怪はそういう場所が好きなんだよ

海の色が変わる部分がある

俺達を送ってくれた船は 一週間後に迎えに来てくれると言った

余程の物好きと思われたらしい


岡本綺堂編・訳「世界怪談名作集」下 河出文庫

2006-11-02 12:34:29 | 本と雑誌

岡本綺堂編・訳「世界怪談名作集」下  河出文庫
「修禅寺物語」は面打ちの父親が幾ら打っても死相が出る面に 悩みますが 後日その相手が暗殺されたことを聞きその運命を 己の腕が悟っていたことに気付く 娘とその死ぬべき男との恋と

そんなお話だったように記憶しています

他にも記者時代に「番長皿屋敷」を書き上げたというからその才能に 舌を巻きます

そんな才気溢れる綺堂先生が 下巻に選んだのは

まずはアーサー・コナン・ドイル作「北極星号の船長」 きりりとした容姿で男らしい船長を悩ませたいたものは―船に同乗した医学生が船長の死までの怪異を記し
医学生の父がさらに付記する構成です

幻想文学の雄 ホフマン作「廃宅」 愛する男が妹の夫となり誇り高い娘は 妹夫婦を呪った その経緯から始まる不思議

アナトール・フランス著「聖餐祭」 死者の会う時間 若くして死んだ婚約者に出会った老女に訪れた死は 優しかったのだろうか

詩人としても有名なキップリング作「幻の人力車」 不倫の恋の挙句 男を思い切れず人妻は死んだ

その未練は男にまといつき 遂に死へと導く

怪奇小説は得意なクラウフォード作「上床(アッパーバース)」 船室の窓は勝手に開閉し 何かが訪れる その船室に眠る者は死ぬと言う

アンドレーフ作「ラザルス」 1度埋葬された男が戻ってきた やがて人々は彼を怖れ始める

フランスの文豪モーパッサン作「幽霊」 再会した友人から頼まれ 訪れた部屋に現れた亡霊は 髪を梳いてほしい―と願った

男は願いをかなえるが

次はイギリスの作家マクドナルド作「鏡中の美女」 青年は鏡の中に現れる美人に恋をし 呪いから解き放つ為に 己が命を捨てた・・・

「女か虎か」で有名なストックトン作「幽霊の移転」 これは波津彬子先生に漫画化をお願いしたいような ユーモア溢れる佳品です

最後は「牡丹灯記」作家名が携帯からは打てない漢字なのでした く宗吉(そうきつ)作 どうやら中国は明の時代の人らしいですが その生年没年は明らかでない―とのこと

日本では「牡丹灯籠」と換骨奪胎された物語になっています

懐かしいような幽霊話 スプラッタはありませんが そんなに恐くないところも 夜の読書に安心してオススメできます 長いばかりが怪談 恐怖小説ではありませぬ 読了してから 更にその先を読者に想像させるものこそ 本当の怪談なのだそうです

最後にひとひねりのショートショートにも一脈通じるものがありますね

あら 後ろから肩を叩く人は誰ですか? 振り向き仰ぎ見ても安心な・・・存在でしょうか 聞こえるはずない音が 何処かから近付いてはいませんか

大丈夫・・・ですか・・・