夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「紅葉狩り外伝―妖怪始末人―4―」

2006-11-06 18:24:02 | 自作の小説

人は何に恐怖を覚えるのだろう 誰もいないはずの部屋で聞こえる話し声

夜何処からか聞こえる無気味な音 悲鳴

得体の知れぬモノに肩を叩かれる 髪を引かれる

うずくまる影を見る

月光の下 島を見回りながら そんな事を考えていた

この島で何があったのか

何が起きようとしているのか

叔父 鷹夜に何があったのだ

亜貴欧は「先に寝たら?後で起こすから」と言った

この時にはもう この島が何か判っていたようだ

俺は 長い夢に引き摺り込まれていた

夢と自覚しながら

掴まる

ざわざわ生まれてくるモノたち

目の前を白骨が過ぎる 血刀さげた鎧武者

沈む船

荒れる海 波が島に襲いかかる

海底

般若の面

祭りの夜 踊る人々

眠る叔父 鷹夜の姿

ただ眠っている

触ろうとすると―消える さらさら白い蝶の群れとなり 溶け消えていく

「叔父さん」叫んで起き上がると 目の前に亜貴欧がいた

「みんな夢だよ」そう言う 「全部夢なんだよ 叔父さんには会えた?」 うなずいて 体が重く また夢に引き込まれる 夢だ・・・夢なんだ

しかもその夢は妙な力を持っているようだ

あれは姫巫女 何かを出している 箱の中身は・・・

これは現実か?

「体に戻れなくなるぞ起きろ!」

姫巫女が言う

弓に射られて鎧姿の若い娘が海に沈む

ざんざんと 船がいく 夢の中 叔父の眠り続ける姿がある 叔父の体は 島と同化していた

この島の形は貝に似ている

桔梗 桜 椿 紫陽花 ひまわり 一緒に咲いている

有り得ない

巨大な魚が人を食う

魚の顔した人間の群れ 海から異形のモノが生まれる

人は海に引き摺り込まれる

ずんか ずんか

一夜で景色も季節も変わる

変化が理解できず狂う

「もう・・・いいだろう これ以上は危ない」 俺を起こして亜貴欧は言った


加藤廣著「信長の棺」日本経済新聞社

2006-11-06 06:44:09 | 本と雑誌

加藤廣著「信長の棺」日本経済新聞社
太田信定もしくは牛一は 信長公について書いていた 現実に 書いた物が残っている

本能寺の変後 牛一は信長の遺体が何処にあるのか 探し始め

やがて 太閤の血筋 陰謀までも知ることになる

信長の死についての新しい見方 と言えば それまでの話である

若い娘との色模様も無理やり差し込まれたようで 落ち着きが悪い

作家に転身 最初の作品であるらしい

思い付きを書き上げる力と根気

正直な感想を言えば 話の種に読んでもいいが ひどく疲れることを覚悟してほしい