![]() | 押入れのちよ (新潮文庫) |
荻原 浩 | |
新潮社 |
「お母さまのロシアのスープ」
人目をおそれるように育てられたターニャとソーニャ
父親はおらずロシア人の母親が マァさんに身の回り品を売りながら どうにか生活している
とうとう売るものが無くなった母親に「いい商売になるー」とマァさんが勧めてーソ連の兵士がやってくる
ターニャとソーニャの姿を見た兵士は怖れた・・・
兵士の姿は無くなりー母親の作るスープには肉が入っていたー
おぞましい所は描かれていないが 読みながら想像できる
娘を育てる為の母親の覚悟が凄まじい
「コール」
仲の良い二人の青年は一人の女性を好きになり どちらが告白するかゲームで決めるが 勝負が決まったあとで一人の方がずるをする
そして死後 ある約束を果たす
ハッピーエンドでもあるけれど ある痛みをともなう
青春と人生と
「押入れのちよ」
安い家賃の裏にはー幽霊付きという理由がー
住人と共存するようになる幽霊
しかし建物には別の幽霊もいたのだ
消えてなかった幽霊とほのぼのとした交流
「老猫」
家に住む人間を操るようになる不気味な猫
ちょっと猫が怖くなるかもー
「殺意のレシピ」
互いに相手を殺そうとする夫と妻
料理に間違えていれてしまったのはー
互いの計画は失敗するけれど
この夫婦の今後がこわい
また殺し合おうとするのかしらん
「介護の鬼」
病気で呆けた舅をいたぶる嫁
父親を軽んじる陰湿で小心者の息子
ぼけてたはずの父親の復讐・・・・
人にはしてはいけないことがあるー
そう思います
「予期せぬ訪問者」
殺してしまった女の死体を始末しようとする男だが アクシデントに見舞われる
「木下闇」
かくれんぼをしていて居なくなった妹
その場所を久しぶりに再訪した姉は・・・・・とうとう妹を見つけた
その場所を離れられなかった男は死ぬ
「しんちゃんの自転車」
土葬の風習のある地方 死人たちもおおらかでー
現実だったか夢だったかー
その想い出を懐かしむ女性がいる
幽霊や怪異より恐ろしいのは 人という生き物
「愛しの座敷わらし」にて ほのぼのとした物語を紡いだ作者の こちらは「闇」も描いた作品集
ちょっと笑ってしまうもの ゾ…ッとするもの ほのぼのするもの 不気味なもの
色々な怪異が あります