すい臓がんで亡くなった妻の墓参り先で土砂崩れがあり 岩森明は鵜頭川村を出られなくなる
村は小作農から会社を興し他の人々を雇用する側の矢萩一族が幅をきかせていたが
続く大雨からの土砂崩れにより 村が外界から閉ざされたことで
終戦後の日本にも似た状況になった
農業に従事し食べ物を持つ家
商品ある商家の身内以外への売り渋り
井戸のある家が強くなる
停電 断水
殺人事件も起きているが 誰も捜査できない
犯人と疑われているのは乱暴者の矢萩大助
彼の父親は矢萩工業の社長
雇用主たる社長にさからえない村人たち
不甲斐ない大人を見ている子供達
かねて自分の境遇に不満ある若者は 他の青少年を扇動し自警団をつくる
岩森が幼い娘の愛子と共に身を寄せている亡き妻の親戚の家では
男尊女卑
嫁は下からもらうがいいーと息子の前でもうそぶく男が家長として専横
たえていた息子が遂に怒りを爆発させたのは 自分の妻を父親が強姦しようとしたから
不便さに不満溢れる村
人間関係も崩れていく
操られた若者達の暴発
乱れ崩れる人々のなかで友情を失わない若者二人
娘を守ろうとする岩森は死闘を
漸く外部からの救助がー
ここで物語は終ります
その後の登場人物たちの暮らしも気になりますが
あのまま 村で暮らし続けられたか
それとも出ていったのか
好色 陰湿なモノ
罪はそれらにありました
自分達さえよければ
他者を害しても 踏みにじっても
その醜さを憎み呪い
村に縛り付けられていた魂は・・・・・
解説はミステリ書評家の村上貴史さん