Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ハッスル&フロウ

2008-08-05 | 外国映画(は行)
★★★★ 2005年/アメリカ 監督/クレイグ・ブリュワー
「ナイスバディねーちゃんを下からぐいーんとあおるのだ」





車で売春させる女をしきる、いわゆるポン引きの裏稼業を「ハッスル」と言うんだね。知らんかった。そのハッスル稼業をしているDジェイが、もう一度音楽で成り上がろうとするお話。

主演のテレンス・ハワード、「クラッシュ」や「ブレイブワン」のスマートな黒人の面影なし。黒人ラッパー特有のにちゃにちゃした英語が板についていて、ポン引き稼業のダメ男を熱演。アカデミー賞ノミニーも納得だね。ラップもすげえうまいぞ。白人ピンプ、ノラのスレンダーなミニスカ姿を道ばたからぐいーんとあおる、そのカットの美しさ。キメたいショットがびたーっと決まるのが、サイコーに気持ちいい。それは、おそらく、車で売春、そこから醸しだれるイヤらしさを敢えて見せていないから。

これ例えば日本で言うと、売れない演歌歌手が一旗揚げてやろうみたいな、ベタで泥くさーいストーリー。今どき「Dジェイ」なんて名前もダサすぎるし。有名人と知り合いなんてうそぶくのもカッコ悪いし。でも、そのダサさが、演出次第で「かっけー!」みたいな瞬間をキラリと生み出す。そこが、この作品の醍醐味。

タランティーノもそうだけど、やっぱり車の映像を撮るのが、アメリカ人はうまい。ガチャガチャとカーラジオのボタンを押したり、銀色に輝くホイールがぐいんぐいん回るのを路面からとらえたり。ラップという音楽の力強さ、シンプルさと、映像がぴったりマッチしてる。汚ねーボロアパートで、録音作業。Dジェイの魂の叫びが、ビートに刻まれる。うまくいかなくて、ケンカしたり、投げ出したり。あんたら高校生かってくらい、青いし、熱いし。そんでもって、スタジオにはこれがないと、ってシャグが持ってきたもの。おいおい、それ、ラバーライトじゃん。アタシは、ラバーライトだけの照明が光るショットバーを開くのが夢なのよね。BGMはラップじゃなくて、ソウルだけどさ。一つ買ってみるかな、アタシも夢に近づけるかな。こりゃ、めっけもんの1本。未だに、Whoop That Trick!のフレーズが頭駆けめぐってる。