Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

SEX and the CITY  シーズン6

2008-08-10 | TVドラマ(海外)
<VOL.1>
「シャーロットに幸福の予感」

私、シャーロットの何がイヤだって、周りを良く見ない猪突猛進なところなのね。その最たる物が、トレイとの妊娠格闘合戦。見ていて、いいかげんにしなさいよ、と突っ込みたくなった。でも、ハリーと知り合って、彼女の一途な部分がようわく報われようとしている。一途な女を受け止められるのは、度量の広い男だけ。男のために改宗なんて、正直まだまだ引いちゃうところがあるんだけど、当のハリーがそれを愛だと感じてくれるのなら、それはそれでいいじゃん、と思い始めてきた。やっぱり、相手次第で人間って、短所が長所に変わってしまうものなのね。みなさん、自分を輝かせてくれる男を選ばないとダメっすよ!

そして、ミランダ。やっとアンタは気づいたのか、スティーブへの愛を。遅すぎるよ~っと、じだんだを踏む、そんなアタシみたいな視聴者いっぱいいるんだろうなあ(笑)。子どもを産んで、家族で過ごす何気ない日常生活に愛しさを感じるようになったミランダ。アンタはかけがえのない大切な物に気づいたんだね。

んでもって、サマンサのお相手のジェリーってウエイター、カッコ良すぎ!このレビュー、ハリーがすごいいい奴だから、男は外見よりも中身です。って締めようとしたけど、できなくなったじゃん。ボクの本当の顔を知って欲しいって言うジェリー、かわいすぎる。それでも、適当にあしらってるサマンサ、アンタは本当にBIGなオンナだぜ。私なら、速効撃沈してます。



<vol.2>
「シャーロットとハリーに泣けた」

最終シーズンに入って、4人それぞれの恋愛が山場を迎えていくんだね。そのトップバッターが、シャーロット。えーハリーと別れちゃうわけ~っとガッカリさせておいて、実に微笑ましいハッピーエンド。ハリーに再会して、自分の本当の気持ちを打ち明けるシーンが、泣ける。見栄を張ったり、嘘で気を引いているうちは、本当の愛じゃないのよ。「やっぱり、あなたのことが忘れられない」って、正直に打ち明けるシャーロット。手放したくない時は、駆け引きせずに素直に行くのがイチバンなのよね。ひざまずいて「ボクと結婚してください」。ハリーは、ちゃんとシャーロットの理想のプロポーズをしてくれましたよ!イイ奴だぁ~。

そして、ジェリー改めスミスくん。サマンサが彼をどんどんオトコマエに磨いて行く!これぞ、本当のあげまんってやつじゃないっすか。最初はゲイ、その次はティーン。さすが、サマンサ姐さん、狙い所を知ってらっしゃる!PR会社社長として手腕を磨いてきたのは、スミスくんを得るためであったかのよう。あのポスター、欲しいなあ。しかも、名前だけだけど「ガス・ヴァン・サント」が出てきてびっくり。メジャーな娯楽作品じゃなく、ガス・ヴァン作品のジャンキー役に抜擢ってのが、なかなかツボを抑えた渋い展開ですね。

キャリーは、案の定バーガーと別離。ミランダは、正直になれないイライラばかりが募る。ミランダよ、今回ばかりはシャーロットを見習い、素直になるべし。


<vol.3>
「ラストまで一気です」

この辺りから最終話まで一気に見ちゃいました。だって、ホントにどんどん面白くなるんだもん。キャリー以外の面々はそれぞれのパートナーとの関係が丹念に描かれていくので、結構考えさせられることも多いの。

晴れてハリーと結婚したシャーロット。散々な結婚式に号泣するけど、「式がひどければひどいほど結婚はうまくいく」と言うキャリーの励ましで気を持ち直す。昔のシャーロットなら、こんな励ましでも絶対立ち直ってなかった気がするなあ。好きな人と一緒になれることの喜びを心から感じられるなら、結婚式がどうなろうと関係ないよね。笑顔で式場に戻ったシャーロットを見て、「アンタも大人になったねえ」と母親の気分のようで感慨深かったです。でね、よく考えてみると、映画版のキャリーは、このシャーロットの結婚式の顛末を全然教訓にしてないのよ!実は、このドラマシリーズで精神的に一番成長できていないのは、主人公キャリーじゃないかと思う。

そして、キャリーの靴騒動。485ドルのマノロ・ブラニク…。育児でてんてこまいの人間からしたら、皮肉のひとつも言いたくなるのもわかるような気がするの。まあ、その物言いがあまりに横柄で腹が立つんだけどさ。でも、このエピソード、既婚女性と独身女性のズレを見事に描いていると思う。「子供のために」という冠が付けば何でも通ると思っている子持ち女性の図々しさは、世界共通だね。(私も子持ちだけど)一方、出産祝いを持って行くのに、そこまでオシャレしなくてもいいじゃんとも思うのよ。これどっちの立場に立っても、何かと突っ込めますね。これぞ、SATCの醍醐味。


<vol.4>
「愛の告白は場所を選ばない 」

シャーロットに引き続き、恋の山場を向かえるのはミランダ。私はずっとミランダを応援してきたので、この洗濯室での告白シーンは、ちょっと泣けた。たまらず口に出てしまった「愛してる」。ずっと蓋をしてきた気持ちが、思わぬところで開いてしまった、そんな感じがとてもいいの。以前、一度お洒落なレストランをセッティングして告白しようとしたけど、失敗したでしょ。あれとは真逆。ホントの気持ちは、場所を選ばず口からあふれ出てくるんだね。この間、付き合っていた黒人のロバートがすごくイケメンだったので、ちょっともったいないぞ、と思ったりしたんだけど(笑)、地位もルックスもある男を振ったってのがミソ。やっぱり、それでもスティーブが忘れられないってね、うーん、泣ける。

そして、真打ちビック登場。以前タイミングのいい男って言ったけど、今回もバーガーにフラれた後に、タイミング良く現れる。手術をするんだと言う告白に思わず号泣のキャリー。あれこれと世話を焼くキャリーを見ていて、彼女にとってビックってのは、既になくてはならない存在だってのは一目瞭然よね。ただ、その気持ちは例えば自分の肉親が病気になってしまったようなものなのかしら、とも思えるの。いつも自分のそばにいて当然、空気のような、身内のような感覚なのだとしたら、「恋をしたい!」気分が人一倍強いキャリーが果たしてビックとハッピーエンドになるのか?と思ったり。もうそろそろドラマも終盤ですからね、この二人は結局どうなるのかを常に妄想(笑)しながら見てしまう。結局、この回では視聴者の期待は見事にスカされるわけだけど、お楽しみは後にとっときましょうって、ことなのよね。このじらし方が巧い。


<vol.5>
「サマンサの涙」

昔の男、リチャードとセックスして、後悔のあまり涙を見せるサマンサ。「女だって、楽しむためにセックスをする」が持論の彼女にとって、男を寝たことを後悔したのは、これが初めてじゃないかな。毎回、違う男と寝るような華々しいセックス遍歴を持つオンナをついに泣かせたわけですからね!スミスくん、アンタは大物です。この回から、もう私は完璧にスミス派になっちゃいまして、ビッグも、アレクサンドルもどーでも良くなりました(笑)。ハートがあるから、ハリーっていいヤツって、思ってましたけど、スミスくんは見た目もハートも完璧ですから。「サマンサ姐さん、ついに運命の男をゲットしたんでないですか!?」とひとりテレビに向かって吠える。

さて、ロシア人アーティスト、アレクサンドルとデートを重ねるキャリー。あのさー、何度も言うけどキャリーって、コラムニストのくせにファッション以外のこと知らなすぎじゃないかしら?おしゃれなニューヨーカーなら、アートのことくらい少しは詳しいもんなんじゃないの?正直、ファッション以外に関しては「ダサイ」のよ、キャリーって。この野暮ったさが、見ててホッとするとか言うのでしょうか?私は結構イライラしますけども。

そして、ミランダは街中の小さなガーデンで慎ましく結婚式。黄色やオレンジの木々の落ち葉がすごくきれいで、赤毛のミランダにぴったりなのよ。そして、サマンサの乳ガンが発覚。なるほど、こう来たか…と感慨深いですね。シーズン4あたりから、結婚や出産など、4人それぞれ好きなときに好きなことを何でもできる状況じゃなくなってきた。でも、それでもユーモアを交えつつ、友情を描いてきたわけです。しかし、ガンとなると、話は深刻でしょ。物語は湿っぽくならざるを得ない。このガンという緊急事態から、どれくらいSATCらしさを発揮できるのか。そこが、ラストまでの大きなポイントなのです。第14話のラスト、結婚式を終えたミランダがしんみりとテーブルを囲む3人に「何なの?今すぐ話して!」と詰め寄るシーンは、かなりお気に入り。


<vol.6>
「それぞれの暮らし」

乳ガンの化学療法で髪の毛が抜け始めるサマンサ。くよくよと悩むくらいなら、いっそのこと丸刈りにした方がマシとバリカンで刈り始める。そういう結論に至るサマンサのオトコマエなところがいいのだ。そして、そんな彼女を愛おしく見つめるスミス。「もう、あなたは私に関わらない方がいい」と言う彼女の言葉を聞いて、バリカンをひったくり迷わず自分の頭を刈り始めるスミス。はあ、泣けました。SATC全エピソードの中でいちばん、泣けました。100の慰めの言葉を言うより、本能的に彼が取った行動の何と愛にあふれていることか。そして、レッドカーペットに降り立つ二人。はあ、丸刈りのスミスくん、超カッコイイし!前より、素敵になってるし!「サマンサ姐さん、スミスくんを手放しちゃダメだ」と、またテレビに向かって吠える。

そして、ミランダは家族の暮らしのためにブルックリンへお引っ越し。都会の華やぎや便利さを捨てて、家族の暮らしを取る決意をするミランダ。転居前に夜のバーにみんなで集合して「マンハッタン」で乾杯。友だちっていいね~ってしみじみ思わされます。

キャリーは、アレクサンドルとパリに行くかで悩む。ええっと…。あなた、ニューヨークを離れるビッグにさんざん「ニューヨークを捨てるなんてジンジラレナイ!」とか、言ってませんでしたっけ?エイダンの時から綿綿と続く「自分のホンネを男に言えない体質」が未だに直ってないんですよね。一体、どれだけの恋愛を重ねれば変わるのでしょうか。

最終回はまだ先ですけど、結局、このドラマでいちばん変わらなかったのは、キャリーなんですよね。ミランダは仕事一筋から家族思いになったし、シャーロットは自己中心的な性格が直ったし、サマンサはワンナイトラブから卒業したし。キャリーの変わったことって、クローゼットの中身くらいでしょう?でもね。ここんところが、このドラマのツボなのかも知れないですね。出会う度にいろんな男に右往左往するキャリーを、他の3人が何だかんだとフォローしていく。それが、最終話、見事に結実するんですね。シーズン6の脚本はなかなか秀逸です。


<vol.7>
「友情あればこそ」

こんなに長いアメリカのドラマを見たのは初めてでしたので、「ついに終わった…」と感慨もひとしお。特にシーズン6に入ってから、ますます面白くなり、4人それぞれが新たな局面を迎えつつ、しっかりと深い絆を描き出しているのが、とても良かったです。

ビッグがパリに旅立てたのは、シャーロットが留守電を聞いたからであり、ミランダが背中を押したからこそ。そう考えると、みんなの友情がキャリーに幸福をもたらしたわけで、実にSATCらしいエンディングで大満足でした。特に3人がランチしているところにビッグがやってくるシーンはお気に入り。ビッグの告白を聞き、少しうつむき加減に何かを考え込んだミランダが、ぱっと顔をあげて「キャリーを連れ戻して!」と言うところは、何度も巻き戻して観てしまいました。

また、会場の観客が次々とかつらを外すサマンサのスピーチシーンが泣ける。キャリーのハッピーエンドよりも、こっちの方が感動的だったな。ちゃんと会場に来てて、誇らしげに拍手をするスミスくんが、素敵。そして、「春を待ってる」というカードと花の贈り物。何なんでしょうか、この包容力は。まさにサマンサが育て上げた男と言えましょう。そして、養子縁組が決まり喜ぶシャーロットとハリー、体調の思わしくない義母をお風呂に入れてあげるミランダ。いやはや、あちこちに「愛」があふれた最終巻となりました。

キャリー以外の面々がシーズン6で直面する出来事は深刻なものばかりでした。不妊に悩むシャーロットは、流産したり、養子縁組が決まらず悩みます。また、ミランダは長年親しんだ街を離れ、義母が認知症に。そして、サマンサは乳ガン治療による副作用に苦しみます。あのおちゃらけたシーズン1から、このような展開を誰が想像したことでしょう?それでも、4人はできるだけ時間を作ってテーブルを囲み、グチをぶちまけ、励まし合い、ジョークを飛ばして笑い続けてきた。このランチの時間が、どれほど4人にとってかけがえのないものだったか。アレクサンドルとのデートでキャリーが一度ランチタイムをすっぽかしたことがあります。あの時ミランダがキレまくってましたね。「たかがランチに来なかっただけ」じゃないんです。あの時間を失えば、友情も、思いやりも、絆も何もかもがなくなってしまう。だからこそ最後の4人が集まるシーンは、パリから帰ってきたキャリーをランチタイムに迎えるシーンなんでしょう。40代になっても、50代になっても、こんな友情が築けたら本当に素敵。身の回りの友を見渡し、彼女たちとの絆を大切にしようと、自ら言い聞かせる。そんなドラマとなりました