Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

キング・コング

2008-08-29 | 外国映画(か行)
★★★★☆ 2005年/アメリカ 監督/ピータ・ジャクソン
「予想外の傑作」




仕事帰りにしょっちゅう行くビックカメラ京都店のJR連絡口ド真ん前の62インチ液晶でいつもいつもこの映画を流してました。(この前行ったらようやくスパイダーマンになってた)いやはや、ビックカメラのチョイスは正解!これ、大画面で見たら迫力倍増でしょう。初めて我が家のテレビの小ささが悔しく思えました。

ナオミ・ワッツ好きで随分前にレンタルしていたのですが、ゴリラと人間の愛ってどうよ…と結局見ないまま今に至り激しく後悔。実に型破りなパニック怪物映画の傑作でした。次から次へと現れる恐ろしい生き物たち。そもそも最初の原住民たちの描写に度肝を抜かれるんですが、休む間もなく恐竜は現れるわ、超キモいムカデやら軟体動物やらが襲ってくるわで、息突く暇もありません。また、これら島に棲む者どものCG描写のレベルの高さに圧倒されっぱなしでした。結局この孤島でのサバイバルが171分という長尺の実に2/3ほどを占めているんですが、全くダレません。さすが指輪三部作を撮り上げたピータ・ジャクソン。

そして、何と言ってもナオミ・ワッツ。「マルホ」「21g」よろしく、極限状態で脅える演技が最高です。おまけに、スリップ一枚で泥だらけになって、飛ばされるわ、走らされるわ、叫ばされるわ。よくぞ、ここまでやりました。精神的に追い詰められる役もたいへんでしょうか、これほど体力的にハードな仕事をこなすのも一筋縄じゃ行かないと思います。惚れ直しました。

アンのコングに対する感情的なセリフが非常に少ない。ここがいいんです。こういうシチュエーションだと、コングに対して「私が助けてあげるわ」とか「かわいそうに」なんて話しかけたりしがちじゃないですか?大衆に対しては「彼を見世物にしないで!」とかね。でも、そういうしみったれたセリフが一切ないんですよ。途中で気がついて、注意深く見ていたのですが、徹底的に陳腐なセリフをカットしてます。このハリウッド大作特有の生っちょろさ、わかりやすさを排除していることが、作品に凄みを与えています。終盤のNY凱旋以降は、人間のエゴイズムがぐいぐいと迫り、ラストに至っては、何と落涙。まさか、泣かされるとは夢に思ってなかった!尺は長いですけど、それだけの醍醐味があります。張り切って大画面買ったぜ!という方は休日のじっくり観賞にピッタリな1本ではないでしょうか。