Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

果てしなき欲望

2008-08-26 | 日本映画(は行)
★★★★ 1958年/日本 監督/今村昌平
「万国共通、穴掘り映画って、面白い」




戦時中に埋めておいたモルヒネを掘り当てて一攫千金を狙う4人組。どいつもこいつもひと癖あって、腹の中のさぐりあい、化かし合い。人情喜劇のドタバタコメディかと思えば、さらにあらず。それぞれの人物の正体は一体何かというミステリと、一人ひとり殺されていくサスペンスがうまくミックスされて、穴掘り作業が進むほどに結末が楽しみな展開になっていく。

ファム・ファタールを演じる渡辺美佐子がとてもセクシー。戦後のドサクサ期の勝ち気なオンナっていうのは、本当にバイタリティがあって、その生命力がそのままセックス・アピールに繋がっているのよね。とても、わかりやすい。着物からちらりとのぞく生足に男どもが生唾ごくり。西村晃、殿山泰司、長門弘之など常連メンバーの演技も冴えてます。

嵐の中を渡辺美佐子がずぶ濡れになって壊れた橋の欄干を逃げまどうクライマックスは、なかなかの迫力。そして、誰もいなくなって、たった1本残ったモルヒネを烏がかっさらっていく。ニクい締め方ですね。物語の構成、緩急の付け方、キャラの際だち方、全てに監督の手腕が光る1本だと思います。