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俺を本当に撃つ気なら、出よう・・・とジングク。
部屋の中では、ジンガンが見てしまうから・・・ですね。あくまでも、ジンガンのためです。
その瞬間、ムヨンが一発撃ちました。植木鉢が粉々に砕け散りました。
お前の父親カン・スングを、俺が殺した・・・と、ジングクは言いました。
何故?・・・とムヨンは言いました。ミスだった・・・とジングク。
「子供の頃、ボロ家でも幸せだった。あんたが壊したんだ。そんな日々を、我が家を、家族をあんたが全部ぶち壊した。理由を言え。」
ジングクはそれには答えず、言いました。俺を殺したら本当にお前は殺人者になってしまう・・・と。そうなってほしくないと。
ムヨンには、偽善者としか思えなかったようです。こんな状況になっても、まだムヨンを心配するフリをしていると思いました。
ムヨンが銃をジングクの額に付けた時、玄関の呼び鈴が鳴りました。
タク・ソジュンでした。
結局、ムヨンはそのまま帰るしかありませんでした。
セランから調査報告が届きました。
なんと・・・。ムヨン父は妻を殺していたのです。
新興宗教にのめり込んだムヨン母は、子供二人をつれて信者たちと共に隠れ家に潜んでいたようです。
そこに乗り込んだムヨン父は、妻を殺してしまいました。そして通報しようとした信者2名も殺してしまったのです。
あまりにも衝撃的な事実に、ムヨンは流石にショックを受けました。大きく動揺しました。自分は殺人者の息子だったのですから。
自分が絵に描いた幸せそうな家族は、幻想でしか無かったのです。
ジングクに言った“幸せだった日々を壊したのはあんただ”と言った言葉が、虚しく思い出されました。全て自分の幻想だったのですから。
家を飛び出して、ヤン医師の元に向かいました。
だから、先生は俺を行かせたのか・・・とヤン医師に言いました。
「あれは父親が引き起こした事だ。君とは何の関係も無い。」
と、ヤン医師は言いました。
自分とは関係無いと思う一方で、だから俺はこうなんだ・・・とムヨンは変に納得できる気がしていました。
それが余計にムヨンを苦しめました。
「私も同じだ。私の父も殺人犯だ。」
と、ヤン医師が言いました。なんと彼の著書の第1章に書かれた『殺人犯の息子』は、ヤン医師自身の事だったのです。
だからこそ、ムヨンに別の世で生きられるチャンスを与えてあげたいと思って、出て行くのを止めなかったのです。
でも、それは間違いだったとヤン医師は言いました。
今ならきちんと話してあげられると思っています。父親と自分は切り離して良いんだ・・・と。
またムヨンの居場所が分からなくなったジンガン。
家に行って見ると、ドアのカギは開いていて、部屋の中には、家族の絵がくしゃくしゃに丸めて捨てられていました。
何かあった・・・とジンガンは察しました。
部屋で待っていると、ムヨンが帰って来ました。
何も無かったかのように振る舞うムヨン。
ジンガンは、くしゃくしゃになった絵を差し出しました。ムヨンはそれをもっとくしゃくしゃにして捨てました。
「俺の空想だった。」
ムヨンが言いました。
ジンガンには何でも話したいけど、今は無理だ・・・と言いました。今度・・・と。
でも、結局、口から出ちゃいました。
「父は人殺しだった。それも3人も。」
一人にしてくれとムヨンは言いました。
ジンガンは、部屋を出て行きました。絵を持って・・・。
一人になって、ムヨンはやっと苦しみを露わにしました。ジンガンは泣きました、声を出さずに。
セランは、部下に命じてイチーム長から当時の事件のあらましを聞きとっていました。
イチーム長の音声が入ったメモリを受け取ったムヨン。
初めて母親の名前を知りました。イ・ミヨンという・・・。
事件の詳細が分かりました。
応援の到着を待てと言うのを振り切ってアジトに踏み込んだジングク。そこで見たのは、ムヨン母と信者たちの死体。
家に入ると、血だらけの凶器を手にしたムヨン父がいました。
その状況で、ジングクは発砲したのです。
正当防衛だという上層部の指示にジングクは猛反発。結局、チームは解散。そして、ジングクはムヨンを探しまわったのです。
ジングク・・・やっぱり殺人者と言う言葉は似合わない人間でした。
ムヨンはすぐにジングクを呼び出しました。
何故俺を探した?・・・とムヨンは聞きました。どうせ死刑になる人間だったと正当化すれば良かったのに・・・と。
正当化した、正当防衛だった、相手が先に動いたんだ・・・と思おうとしたとジングク。
でもね、動いたのは、ジングクを襲おうとしたためではなく、偶然そこに入ってきたムヨンから、凶器を隠そうとしたためだったのです。
それに気がついたのは、後になってからでした。
「あの時聞いた“アッパ”と言う声が忘れられない。いくら正当化しようと、人を殺した事実は消し去れない。すまない・・・。」
あまりにも不幸な出来事だたとしか言いようがありません。ムヨンもそう思ったのでしょう。
ジングクを殺す気は無いけど、許す気も無いと言いました。
背を向けたムヨンに、ジングクはムヨン父の眠るお寺を教えました。そして命日も・・・。
その日にちが、以前ジンガンから聞いた兄妹で毎年恒例となってるお寺への遠足の日だということに、ムヨンは気付きました。
どこまでもジングクは誠実だと思えたでしょう。
やりきれない思いを、どこにぶつけたらよいのか、どうやって解消すれば良いのか、ムヨンは悶々としました。
そして、ジングクから聞いたお寺に行ったのです。
そこには、父親の位牌の横に、母親の位牌も並べられてありました。
初めて泣けました。思い切り泣けました。
帰りのバスの中で、届いたメールを見つめるムヨン。ジンガンからだろうと思いましたが、何て書いてあるのだろうと思ったら、
“愛してる”
と一言だけ。
堪えた涙が、また流れるムヨンでした。泣けましたわ・・・
家に戻ってくると、ジンガンが待っていました。
「こんな俺でいいのか?」
「当然でしょ。」
生まれ変わりたい・・・とムヨン。
ジンガンは走ってきてムヨンに飛びつきました。
ジンガンを力の限り抱き締めるムヨン。
二人の結びつきはいっそう深く強くなりました。
ムヨンはセランに銃を返しました。
この時、既にセランはジンガンがムヨンの実の妹だという事実を掴んでいたようです。
でも、話さなかったのです。
「あの日ヘサン病院に搬送された中に、弟はいなかった。」
とだけ。ここでは韓国語での表現がとても生きています。つまり、“ナムトンセン(男の年下の兄弟)”はいなかった・・・とセランは言ったのです。ヨトンセン(妹)だったってことです。
あなたは本当に重要な事を何も知らないのね・・・とセラン。
教えろとイラつくムヨンに、少しはお礼をしてくれないと・・・とセランが差し出したのは、航空券。行き先は北海道。
そこで続きを話すと言いました。
でも、セランから聞く前に、ムヨンは気づいてしまったのです。
ある日、ムヨンの部屋に来ていたジンガンが、ちょっとしたはずみで薬缶の熱湯を手にかけちゃって。
慌てたムヨンは、薬を買いに走りました。
薬を買って帰る途中で、ムヨンは激しい頭痛に襲われました。昔の記憶が突然戻って来たのです。
同じような状況がありました。父の事件の時に・・・。
確かに、ムヨンとジンガンの腕の火傷の痕は、まるで地図のようにつながって見えていました。
父が撃たれて倒れた時、ムヨンの後ろから弟のユンが顔を出しました。弟のユン・・・。
その顔を思い出しました。
ユンの顔は、以前、ジンガンからもらった彼女の子供の頃の写真の顔と同じだったのです。
セランの言葉が甦りました。
「妹だった・・・。」
ムヨンの悲痛な表情、胸が痛いです。