戦後、アメリカが世界に対してとった戦略で、最もうまくいったのは日本である。焼け野原から不死鳥のように蘇り、一時はアメリカをもしのぐ勢いを見せた。しかし、日本がアメリカに挑戦してくると、態度を反転させた。日本を叩きながら、世界の工場を中国に移し、同時に諜報機関を駆使して賄賂型日本ビジネスを暴き、アメリカや旧英連邦にシフトさせてきた。
1990年代は旧英連邦の大繁栄となり、中国での投資は莫大な利益をもたらした。しかし、中国は共産党の一党独裁体制の国家であり、日本のように、諜報員を政府内に潜り込ませられないし、脅せば従うわけではない。
おまけに、中国はかつての日本の経済成長から現在に至るプロセス、アメリカが超大国として君臨してきた仕掛けを十分研究している。日本がおかした失敗を繰り返すことは無いし、更にバージョンアップしてバブルを膨らませている。その目的は軍事力でアメリカを凌駕することである。
中国は強大な軍事力をバックに対外交渉を有利に導き、元をドルに固定させ、安い元で輸出を有利に展開する。巨大化した軍事力で、更に経済を発展させる。経済力と軍事力でやがては中国がアメリカを上回るであろうと予想される。行き詰まりを見せるアメリカに中国に対応できるだけの戦略があるだろうか?
中東はアメリカにとってドル箱だったが、インターネットのフェイスブックなどで、アメリカと友好関係にあった、国々の体制が崩壊しつつある。この動きは止められない。中東諸国が反アメリカで結束すると、アメリカの地位は著しく失墜し、またドル箱の石油の権利なども失いかねない。
南米もかねてより、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領のような反米勢力が力を増し、かつてのアメリカの裏庭ではなく、身近な敵陣の要塞になりかねない状況である。ここのところの世界情勢はアメリカにとって孤立化を招きかねない憂鬱感の増す展開である。
日本憎し、中国大好きで来たアメリカではあるが、アメリカの日本に対する流れは変わりつつある。例えば宇宙飛行船の船長に若田氏が任命されたことや、グラミー賞で4部門受賞などに現れている。アメリカ人の心は文化だとかちょっと経済や政治とは関係のないところから、徐々にその姿が現れてくる。
笑う人がいるかもしれないが、かつて、バブルの頃は、タワーインフェルノやロボコップなどに、実に醜い日本人が搭乗していた。ハリウッドの映画はアメリカ人の心を顕著に映し出していた。