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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

本当の戦略とは何か

2012年08月26日 16時54分03秒 | 国際・政治

 最初に日本に戦略が無い証拠を指摘します。①日本には国民と世界(とりわけアメリカ)が共有する国家ビジョンが無い。従って②国の目標と教育がリンクしていない(国家目標を達成する教育になっていない)、③日本にはスパイ防止法が無く、政府内にアメリカを中心とした諜報機関が浸透し、しかも、エシュロンなどにより政府をはじめ全国民の電話・FAX・メール情報がジャジャ漏れ。

 加えて、官僚が日本を支配しながら、官僚には重要度の高い情報について事実が無い。不都合なことをごまかし、嘘をつき、隠ぺいしている。また、教科書や実績のないことは扱わず、都合の良い情報を選択するので、狭い範囲の薄い内容となりミクロしか見えない。戦略を形成出来ない上に、諸外国が戦略を機能させる中では逆戦略(格好のカモ、餌食)となる。

 民間レベルで言えば、日本民族は江戸時代の農業中心から、製造業に移行してきた段階であり、決められたことを決められたようにやることはできても、世界状況の変化には対応できない。例えば、製造することには熱心でも、相手(世界の顧客)がいることが十分理解できていない。

 日本ではビジネスとは、自分で納得できる製品を作ることであり、それは必ず売れるとの確信に満ちている。営業は製造分野で役に立たない劣等な人材が担うと考えている。この考えが180度逆さまであることにトップをはじめ誰も気が付かない。

 従来の事務屋はインターネットや計算機が発達した現在、全く存在価値を失っているにもかかわらず、何としても技術屋を従えて、トップに立とうとしている。そのためには手段を選ばない政治力学の出世レースを展開する。

 一般レベルで、論理性あるいは論理的思考やそれに基づく判断が根付かない。気遣いとか空気を読むのは間違いではないが、程度による。若い世代と接すると、間違いでもでもいかさまでも、それをごく自然に受け入れてしまう。恵まれている一方で就職やポストが少ないことが影響しているのか。

 ◆毎年、夏になるとNHKをはじめとして、戦争の特集などが放映されます。そこで明らかになるのは旧日本軍の無謀な戦線拡大、人命軽視に加えて戦略性の無さです。日高義樹の最新著「何故アメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」でも日本軍の戦略性が無かったことを述べています。日高は長くアメリカのハドソン研究所に所属し、アメリカと日本、両国を客観的に知り得る立場にあります。

 余談ですが、かつて「21世紀は日本の世紀」と予想したハーマンカーン博士もハドソン研究所にいたので、当時、胸を躍らせた私にとって、同研究所は思い出深いものがあります。

 日本軍の下士官以下は勇猛果敢、極めて優秀でした。それで、日本軍は開戦から半年はアメリカ、イギリスなどに対して優位に戦い快進撃できました。しかし、ミッドウエイで致命的な敗北を喫すると、失敗や敗北を想定していなかった軍上層部は機能不全に陥り、なす術なく後退を続けます。日本軍は守りの意識が無く、備えもできていなかった。東京空襲では反撃もできず、50万人が亡くなっている。

 翻って、東京電力の福島原発を見ると、背景は異なるが全く同じような状況が繰り返されている。安全神話を国民に刷り込み、安全対策を怠った。元々BWRは欠陥が指摘されていた方式だった。然るに、スリーマイルやチュルノブイルの事故は日本では起こりえないとタカをくくり、全電源喪失対策を見送り、過去の津波記録を調べもせず最大高さを5.8mに設定し、原子炉の冷却装置を勝手な判断で中止させ、放射能をまき散らした。本来は切腹ものです。

 日本の電気メーカーは全社併せても韓国のサムソン電子1社に勝てない。一時期は日本トップメーカー10社の利益合計よりサムソンの利益が1ケタ多かった。液晶テレビや太陽光発電で躍進したシャープは、台湾メーカーになりつつあり、しかも存亡の危機。現代自動車はトヨタを追い越す勢いである。ここで、日本は現在に至るも戦略が無いことが明確になる。

 それでは戦略とは何なのだろうか?恐らく、日本では戦略の意味が理解されていない。官僚が使う戦略とは、単に予算を取る時の枕詞で、深い意味は無い。私は戦略研究学会の正会員であるが、論文を読んで、文芸春秋の記事との差を感じない。学会に質問すると、引用のあるところが違うとのこと。

 私は新しい進化論を提唱し(場違いな電気学会に3回ほど発表)、生物が戦略的な進化を遂げてきたと考えた。意外に思われるかのしれないが、実は生物進化は人間の戦略の原点であり、しかも、人類のそれをはるかに上回る。勿論、両者に違いがある。人間社会に当てはめた場合、生物とは決定的に異なるのが情報が間接的であり、かつ情報伝達は多種多様で幅広く伝わり、誤情報が多く含まれる。

 両者に共通するのは、コアに優れた評価システム(評価方法)を持つことの重要性。この評価システムこそが戦略を形成する神髄だ。情報の収集と分析、適切な目標の設定、有効かつ合理的な方法の選択や創造、経過や結果のチェックとフィードバック、全てのプロセス、ステップで優れた評価システムが機能しなければならない。

 日本社会は上に行くほど働かず、実行能力が無くなり、責任が小さくなる。それに反して権限、地位、報酬が増えるというという不思議な構造を持つ。目的達成ではなく、組織を維持するためのネガティブフィードバックをかける。ネガティブフィードバックは数学で安定性が高いことが証明されている。これで既得権維持構造が強固になっている。

 日本型構造は目的を達成してはいけないから目的を曖昧にする。きれいごとに終始し、不都合なことは誤魔化す。切れ者官僚は特に重要な場面で嘘を上手に混ぜる。事実が少ないだけ、戦略性を形成しにくい。本当のことを言い続けたら日本の社会では絶対に権力構造の階段を登れない。都合の良い、ばれない嘘を採用し、都合の悪い事実を封印してしまう。

 日本企業も戦略性に疑問符がついた。その顕著な例は、日本メーカーの製造重視、営業軽視の姿勢である。あのトヨタでさえ、世界状況や顧客の要望に関係なく、おらの車を作ろうとする。アメリカではピックアップに進出しGMを追い詰めた挙句に痛い目にあった。かつてトヨタは満足を売ると豪語し、製造技術にこだわる日産やマツダを笑っていたが、今や現代自動車に笑われる立場だ。

 かつて鳩山首相が戦略局を作るというので、複数方面から「戦略の基本の基本は幅広く関連情報を集め、事実を究明すること」と提案したが、仮に本人に届いたとして理解できたかどうか。

 日本は歴史的に何でも受け入れる寛容さがある。ただ受け入れるだけではなく、過去の思想や技術やベースとなるものを総動員し、咀嚼し、融合させ、完成度を高めた創出を繰り返してきた。世界中を原点とする造形物が日本で極致を極める。従って日本は世界に欠かすべからざる民族だ。しかし、それには時間がかり、また、方向性や目標が有ったわけではない。まじめに、こつこつ処理してきたのだ。

 日本はいまだ、その職人的製造レベルから抜け出したわけではない。その日本全体を記憶エリート、イエスロボットの官僚が支配し統率しているしている。彼らは実行・実現能力を持った上で、あるいは評価された上で地位を得てきたわけではない。だから、教科書や実績に従い、実体の無い作文の世界を出ない。責任も負わない。元々、戦略とは無縁の世界にいる。

 戦略形成にはまず、論理的な思考方法(思考力)を身に着ける事、次に事実を徹底的に追及する手法を開発するところから始めなければならない。国内企業ではトヨタのように製造現場でトラブルの原因を徹底的に追及してきたケースはある。しかし、それがより上の組織では実践されていない。特にトップの経営判断においてなされていない。

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