Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

星新一の新旧ショートショート2冊

2007-07-01 10:56:17 | 読書
最相葉月「星新一」を読んだので,星新一「作品100」を書棚から引っ張り出した.
早川書房「世界SF全集」28. 1969 初版.帯によれば,このときすでに 500 余篇のショートショートが書きためてあった中から著者が選んだベスト 100 とのこと.この全集で買ったのはこの一冊だけ.

なんとすべての作品を5点満点で採点した書き込みがある.これがなければ初版だし高く売れるのに...
ちなみに当時のぼく的満点は,
ボッコちゃん,おーい でてこーい,宇宙の男たち,ピーターパンの島,友を失った夜,その夜,ひとつの装置,ゆきとどいた生活,華やかな三つの願い,さまよう犬,午後の恐竜
だった.

ちなみに,読者による星新一の全ショートショートを対象とした人気投票が
http://www.ruby.rm.st/urya/
にある.ここでのベスト「処刑」が自選100から漏れているのが面白い!

もう一冊はショートショート1001篇を達成した記念の作品集,「どんぐり民話館」新潮文庫(1992).
1001の前半は10年足らずで書いてしまったのに対し,後半には30年かかったことになる.
1001篇を全部網羅した本も出ていて,図書館にありそうだが,重そうなので,400円の文庫本で最後の作品集を買ってよしとすることにした.
白状すると,今まで他人の書いた学術論文も,たいていは最初と最後と図くらいしか見なかった.その流儀を,中期の作品を読むのは省略することで踏襲したわけ.

晩年の作品 - といっても,1001達成後まだ10年以上の余生があったのだが - には,もはやエヌ氏は登場しない.最相葉月さんも書いているように,結末であっといわせるようなエンタティンメント性は薄れている.著者自身の解説では,民話に近づいたと書いているが,禅問答みたいでもあり,シュールでもある.読んだ後で突き放されたように感じられるものもある.
でもひとつ読むともうひとつ読みたくなると言う麻薬性 ? はなぜか薄れていない.
作品をひとつひとつ採点するなどと言う不遜なことは,もうできません.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg