ダークダックス

平井達司「ゼロ・ビートの再発見」ショパン(2004復刻)は，バッハの平均律クラヴィア曲集は平均律のための曲ではないことを最初に指摘した本らしい．この本の最初のほうに，ダークダックスのコーラスは純正律と書いてあった．
本屋に，そのダークダックスのスポークスマン，喜早哲・通称ゲタさんの本が平積みになっていた．「日本の美しい歌 - ダークダックスの半世紀 -」新潮社，6月刊である．

本のCMによれば
ダークダックスのバリトン・ゲタさんが，愛唱してきた歌と思い出を語ります．「鈴懸の径」と灰田勝彦さん，「雪の降る街を」「夏の思い出」の中田喜直さん，「花の街」の江間章子さん，そしてサトウハチロー，芥川也寸志，飯沢匡，服部良一，谷内六郎…．

ここに名前のあがった人達プラス小島正雄がダークのブレインだった．こうした面々が他界してからは，ダークにも生彩がないように思う．

しかし，自分があきっぽいので，ダークダックスとかMJQとか，おなじことを何十年もやっている人達を無条件で尊敬してしまう．ダークダックスとデュークエイセスとボニージャックスの区別がつかないと言う人がいるが，聴いただけでぼくは区別できる．どのグループもトップテナー，リードテナー，バリトン，バスの4人だが，デュークはバリトンが中心．ダークではリードテナーのマンガさんが中心だったが，声がボニーのリードテナーに比べバリトン的なのが特徴だ．

そのマンガさんが病気療養中とかでダークダックスは3人で活動中．3人でやるくらいならやめてもらいたいというのが，ぼくの正直な思いだが，そうでないファンが多いらしい．

ダークダックスはバーバーショップカルテットを踏襲していて，マンガさんがメロディを受け持ち，パクさんが３度上あたり，ゲタさんが５度下，ゾウさんが 8 度下で支えるという構図で，7 度もあまり出てこない．
そのうちフォー・フレッシュメンが現れて，トップテナーがメロディを歌ったのが新しかった．われらがダークダックスも 2 回にわたってこのオープン・ハーモニーに挑戦している．最初のは Nearness of You という10インチLPに，２度目のは As Time Goes By というCDに残っている．パクさんの声が好きなので，CDはときどき聴いている．

ただしこの新刊にはジャズのことはほとんど書いてない．純正律かどうかはアカペラで聴かないと分からないだろう．