Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

八月の六日間

2016-06-25 08:20:10 | 読書
北村薫,KADOKAWA/角川文庫 (2016/6/18).

昔の方が良かったと言いながら,いちど好きになった作家の本は気になって読んでしまう.北村薫の場合は春桜亭円紫ものがピークだったと思うが,作家は進歩したのにこちらが進歩していないということかもしれない.

このたびは山ガール ? 38 歳から 41 歳までの山行記録.ミステリではない.ヒロインの職業は雑誌の副編集長だが途中で編集長に出世する.9月の5日間,2月の3日間... といったタイトルの連作5編.ただし,例えば9月の5日間はと槍ヶ岳行きだが,最初の1日は下界での準備という具合.
ほとんど単独行.彼女はハイキングクラブ・山岳会で知識を得るということはなく,勝手に山に行っている.16 トンの場合,物理も音楽も絵画も自己流なので,この点は共感.

山行は大学時代に経験している.閉じたサークルだったので,この小説のように知らない人と山で友達になるという文化とは無縁だった.
行ったことがある山々が懐かしかった.高天原の温泉は沢の途中に岩で囲んで作った小プールという感じだったなあ.いま風の登山道具や,山小屋グルメ記録も珍しい.

内容は,山のことと,彼女の職業・私生活でのしがらみが半々.著者の推理小説同様,なかなか本題であるはずの山にたどり着かない.山にも本 (と言っても文庫本だが) を何冊も持っていくので,本に関するウンチクが語られる.
バテるけれど,たいして危ないことは起きないので,安心して読める.

解説 -瀧井朝世- が,著者は山に登らずに書いたということをバラしている. 
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