Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

カレーライスの唄

2016-07-25 09:04:54 | 読書
阿川弘之 ちくま文庫(2016/4).

阿川佐和子さんのお父さんの 1961 年の新聞小説の何度目かの文庫化.著者のこの路線では「ぽんこつ」を覚えている.遠藤周作や三島由紀夫のエンタメ小説も面白い.

倒産した出版社に勤めていたカップルがカレーライス屋を始めてゴールインする話.そこはエンタメ小説だから,調子がいい.良すぎると言いたいが,ま・いいか.飲食店開店のための食品衛生責任者などの手続きについてもあっさり,大雑把に省略される.

著者は本来は「山本五十六」「井上成美」などを代表作とする硬派の文学者.阿川嬢の筆から察すると弘之氏は保守そのものの頑固親父のイメージだが,この小説の底には健康な反戦主義がある.主人公の父親は職業軍人だったが上官と衝突して民間人となる.しかし戦争中にまた駆り出され,戦犯として中国で処刑される.主人公は「戦犯の子」といじめられる経験を持つという想定.

著者は広島県出身なので,この主人公の出身も広島.広島弁も出てくる.広高の寮歌?として五万節が出てくるが,このメロディは後にクレージー・キャッツが歌ってヒットしたのではないだろうか.

登場人物は16トンと同世代.特製インドカレー150円,カレーライス100円などの値段が,解説(平松洋子)の言うように,気持ちよく潔い.

図書館で借用.
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